まぶたのーうらーにいーるこーとでー
瞳を閉じて見ました。
特に何も浮かびませんでした。
なんだろうこの寒さ。
どうも私です。
出来てから数ヶ月経ってしまいましたが、ついに一蘭にラーメンを食べに行ってまいりました。
いや別にラーメンブログとかじゃないのでこんなこと書くのもどうかなとは思うのですが、それでも書きます。
一蘭というラーメン屋のウリは、博多とんこつラーメンですが、店の構造の特殊性もウリの一つです。
一蘭は味集中カウンターという席の形態が特徴です。
基本的には一人一人に席が充てられていて、仕切りで別れているためお互いの顔は見えません。
店員とのやりとりも小窓を通してなのですが、必要のない時はすだれで仕切られています。
よりラーメンの味だけに集中できるようにとの、お店側の工夫なのです。
それに、一人で入りやすくてぼっちには優しいです(いい笑顔)。
混雑を避けて、11時前に来店しましたが、すでにまばらにお客さんがいました。
一蘭のラーメンを食べるのは初めてではないので、ラーメン一杯に加えて替え玉も購入しました。食券制なのですが、食べた後にも追加注文できる工夫があります。
一人で席について、味付けの好みを選びます。
味は普通、濃さも普通、麺固め、秘伝のタレ普通、青ネギ。オーソドックスな選択だと思います。
秘伝のタレは辛味がそこそこ強いので、初めてであれば通常の量がいいと思います。
注文を終え、ラーメンが来るまでゆったりと待ちます。
天井付近には、ラーメンに対する拘りがびっしりと書き連ねられていました。
……怖い。
懐かしい曲が流れる中、ラーメン屋特有の威勢のいい声が響き渡ります。
「幸せー」
「幸せをー」
……
え?
聞き間違いかと思い、周囲を見渡すと、この挨拶に関する説明が書いてありました。
言霊というものがあります。
一蘭では、言霊の力ですお客様の幸せを願うために、いらっしゃいませには幸せーと、ありがとうございましたなどには幸せをーと言葉を届けさせて頂いております。
とのことでした。
つまりこういうことです。
「幸せー(いらっしゃいませ)」
「幸せをー(ありがとうございました)」
とても素敵な習慣ですね!
とでも言うと思ったか!
寒気がしますわ!(鳥肌)
とても素敵な言葉であることは間違いないのですが、この言い換えは受け止めきれませんでした。
この無理やり感!
ほらバイトっぽい女の子完全に「いらっしゃいませー」のトーンで言ってるから、ギリギリ幸せーに聞こえるように言ってるから。イヤイヤ感が伝わってきます。
ラーメンが運ばれてきました。
とんこつラーメンにはどうしても臭みが伴いますが、研究に研究を重ねたであろう一蘭のラーメンには、臭みは少なくとんこつ特有の香ばしさが際立っています。
スープを一口、口内に含みます。
スッキリとしたコクに、溶け込んだ旨味がじっとりと広がります。
後味を忘れないうちに、二口、三口と少量の麺を啜ります。
短時間しかスープにつけていないにも関わらず、麺にスープが馴染んでいます。
スープの味を存分に活かした細麺ならではの性質です。
啜る行為は本来ではお行儀がよくないのでしょうけれど、食べるペースはどんどん早まります。
食べるごとに味が脳を刺激します。
もっと、もっと食べたい。
身体の反応がよりこころを急かします。より空腹が満たされるごとに、快楽の中枢が刺激されます。
ただ食欲を満たす行為。それ以上の意味がラーメンを食べるという行為にはプラスされます。
ああっ。
隣からは仕切られて、純粋にラーメンを食べる行為にのみ集中されます。
この瞬間、心は限りなく自由になるのです。
麺を食べ終え、替え玉を注文する際、ふと手が止まりました。
くどくない濃厚さは、さっぱりとした白米と相性が抜群です。半ライスだけでも食べたい。
しかし、冷静な自身はやはりいいます。
炭水化物に炭水化物などもってのほかだろ。替え玉だけで満足しておくべきだ。
それもそうだよなあ。
私ももうアラサーです。好きなだけ食べていいような時代は過ぎ去ったのです。
光を反射する、黄金のスープを眺めていると、幼い頃の思い出が想起されます。
初めてのラーメンは、日清の醤油ラーメンだったはずです。
舌をくすぐる醤油スープ。荒く刻まれたネギにメンマ。荒っぽく単調な味ではありましたが、世の中にはこんなご馳走があるのかと感動したものでした。
カップヌードルのコロコロした肉にハマり、外で食べるご馳走はスガキヤのラーメンでした。
お店で食べるようになり、ラーメンチャーハンに、時には唐揚げや餃子も一緒に食べるようになりました。
醤油塩味噌鶏白湯に担々麺など、一口にラーメンと言っても色々な味があります。
ただラーメンを食べるために、広島に行ったり和歌山に行ったり、友人たちとラーメンをはしごしたりした日々を思い出します。
油のようにギトギトとして、まぜそばのように暴力的な日々もありました。
体重やカロリーなんて気を配らず、ただ欲望のままに貪っていたあの日々。
腹が減ったから満たす。そんな根源的な営みを、一体いつから恐れるようになってしまったのだろう。
私は、
いつからほどほどに縛られる大人になってしまったのだろうか。
ほんのりと香る思い出は、懐かしきこころを温めてくれました。
私は、無意識に半ライスに丸を打ち、笑顔で注文しました。
半ライス一丁(カロリープラス)
替え玉と半ライスも食べ終えて、満足した気持ちで咳を立ちました。
「ごちそうさまでした」
「幸せをー」
ああ。
また来ますよ(鳥肌)。
満足を抱えながら店を出ました。
身を冷やす寒さも、先ほどの一杯のラーメンが温めてくれました。
やはりたまにはラーメンを食べるのもったいいいですね。
心も体も満たされて、やる気が湧いてきましたよ。
ちなみに、一蘭の斜め向かいにラーメン屋があるのですが
とってもガラガラでした。
これは潰しにきてますわ(弱肉強食)。
さすがに一蘭をぶつけるのは鬼すぎます。
諸行無常を見た気分でした。
これで一本エッセイ書けるのに、何故近況ノートに書いたのか……まあいっか。
多分今日中にエッセイを更新すると思います。
そして何もしてないわけでなく、新作をぼちぼち書いてます。今まで1話2000〜3000字くらいでしたが、色んな話しを見てると短いってなりました。
他の方の物語を見ていて、更新を待ってたのにそんだけかいって読者の目線で思いました。
今後は1話せめて3000〜4000字くらいでがんばりましょう。必要性があればですが。
ただ今新作出しちゃうと今の話を書かなくなりそうなのと、ストックほぼなくて待たせそうなので、もう少し書いたら出します。
今の物語はせめて来週中にちょっと更新します。
そしてプロフィール欄で遊んでいるのは、生存報告代わりです。
本題の方がラーメン食べる話より短かった……。