人に興味なきくせに
ただ 吾が孤独ばかりに敏(さと)し
『今晩、来れる?』
吾は聞いた バイトの愚痴に噂話
さば 君も聞け 吾が煩(わずら)いを
君は優し 吾は狡しや
哀れなる顔して 慰めを得んとする
独り言(ご)つごとき心地よ
君こそに語る話の あらざらしかは
抱(いだ)かれて 満ちる心地は
利己に染むる吾にも 愛を錯覚せしむ
君は優し 故に吾をも愛すと言う
愛されたしや 吾なるが故に
吾も愛すとは 得(え)応えず
愛すとは如何なることか 知らざりしかば
夜は闇 闇は静寂
熱のみが 吾が肌を刺し 君を知らしむ
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夜の明けて、さらに三首
壁に背を着くほど寄せし君は 未(ま)だ夢をこそ見れ
朝(あした)は七時
事もなき夢なれと 頬を撫づる心地
愛と呼びても 許されてしがな
寝覚めた目が 吾を見つけて微笑みて
触れ初むるよな 柔(やわ)き口付け
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『天狗に拐われし子』の仕上げ中。
理不尽な感情、寂しさを書くうちに、
なんだか自分自身が「メンヘラ」的な思考をするようになってしまい、
自己肯定感が低くて面倒くさい恋人
の立ち場で詠んでみた八首。
私自身は、決してこんな奴ではないはずなのですが、十分に素質あるなと自覚させられました。
話は変わりますが、現代短歌は「句切れ」をほぼ無視してかまわないので、リズムの緩急で遊べるところがおもしろいですね。
万葉歌を作った時は、五七/五七/七 、もしくは、五七/五七七 で作っていましたけれど、
私はおそらく、初句切れが好きなはず。