十月半ばころ。連休ですっきりとリフレッシュし、勤続七年の職場へ向かおうと起き上がる。すると目の前がぐるぐると回った。立ち上がり、歯を磨こうと洗面所へ向かうとまるで三半規管がなくなったかのようにバランスを崩し、バタンと廊下に伏す。目を瞑ってもぐるぐると暗闇が回る。慌てて同居人が駆け寄るが、わけがわからずに突っ伏したまま泣いた。そのあと、アスファルトの凸凹さえ気持ちが悪く、歩くたびに不快だったが耳鼻科に向かった。理由は右耳の違和感と、難聴が認められたからだ。
メニエール病。ストレス、責任感とかの精神疾患のような言葉が断片的に聞き取れる。確かに責任職ではあったものの、恵まれた職場で、仕事が生き甲斐の人間だったため、素直に頷くことができなかった。
半ば強引に職場のストレスということで丸め込まれた。別にどうでもよかったが、今仕事に行けないストレスで活字に逃げている。
活字の渦に飲み込まれて溺れてしまうのも本望である。