ずいぶん前に、とある短歌の賞に応募したのですが落選してしまい(落選したら未公開扱いなので)、全く日の目を見ないままの短歌たちを放置していました。
今後どこにも出す予定がないので、ちょっと供養の意味合いでこちらに載せてみたいなと思いついた次第です。全部で五つです。
①家猫を洗濯カゴに捕まえる小二のあそび父のなりわい
せっかくなので解説します。
最後の七音に行き着くまでは、読んだ方に「猫をカゴに捕まえて遊ぶなんて子供は残酷だ!」と思って欲しくて書きました。「家猫」にトラウマを植え付けるかもしれない……などの想像には至らない小学二年生の子供がしたことです。幼稚で無邪気な残酷さが伝わればいいなあと思います。
そして最後の七音は、ここで違和感を持ってもらえたら、と思って書いてました。「なりわい」は生計を立てるために主にやっている仕事という意味での「生業」です。
猫をカゴに捕まえることが父が収入源としている仕事、と思うと変な感じがしますよね? ……しますかね? 伝わっていると良いのですが……。
ここで最初を振り返って、「家猫」と書きましたが、なにもこの父と小学二年生の子供の家の「家猫」と限定されていないのです。この父子の飼っている猫ではないと考えると、例えば他人の家の飼い猫を路上なんかで勝手に捕まえて売りさばくような想像が膨らんで、この父子が悪人に見えてきませんか? さっきは子供が残酷と言いましたが、こうしてみると子供は父に言われるがままに猫を捕まえて遊んだだけで、悪意を持って酷いことができる大人ってよっぽど怖ろしいな、と思えます。
長々と解説してしまいました。どうでしょうか、腑に落ちますでしょうか。腑に落ちなくても大丈夫です。むしろ私の意図に反した解釈は大歓迎です。短歌は自由なので。
例えば「父のなりわい」の部分の視点を私の解説とは変えて、父が猫をカゴに捕まえるのはお風呂に入れるため、とすれば「これが自分の使命なんだ」と言わんばかりに張り切って家猫を一生懸命洗ってあげようとする優しいお父さんの姿になるでしょう。
途端にほのぼのした感じに見えませんか? 面白いですよね。そして、そんなほのぼの解釈をする方がいても全然間違いではないです。短歌に間違いはないのです。短歌、楽しいですよフフフ。
こうして創作物を供養できるとスッキリしますね! 今後もしばらく続けさせていただきます……。