ご紹介する最後の短歌になります。
⑤ぼくらみな突然変異の青い鳥羽むしり合うまでのさえずり
皆様きっとご存知かと思います、チルチルとミチルが登場する童話の「青い鳥」をモチーフにした短歌です。
青い鳥の物語のオチは、実は青い鳥(幸せ)は最初から自分の身近にあったんだ、という気付きです。
ここから先は短歌の解説をしますが何度も申しますように私の解説通りでない解釈も大歓迎です。
この歌の最初で「ぼくらみな青い鳥」と言っているのは、自分たちはすでに幸せを手に入れているんだよ、という意味です。「突然変異の」が挟まっているのは皮肉のニュアンスが伝わればいいなと思って入れました。皆幸せをすでに持っているけれどその幸せはすごく貴重で特殊なもの、という感じです。
「羽むしり合う」のは互いの青い羽(他人の幸せ)を奪い合う、という意味です。すでに幸せを持っているのに奪い合うのは、自分の幸せに気付いていなかったり過小評価しているからです。
となると最後の「さえずり」が意味するのは、「青い鳥」たちが、自分がすでに持っている幸福に気付けないまま幸せになりたい、自分は不幸だと嘆いている様子、というふうに見えてきませんでしょうか。
最後は羽をむしり合った果てに力尽きて、さえずる気力もなくなってしまいます。他人を傷つけることで、最初に持っていた幸せまでも失ってしまうわけです。
解説は以上です。
少し考えたのですが「幸せの青い鳥」は幸せを運んできて与える存在として描かれますが、青い鳥自身が幸せになれる、というふうには言われていないんですね……。その視点から広げると違う解釈になりそうです。
いかがでしたでしょうか。私は思い切り短歌の話ができて、未公開だった歌たちの供養ができたのですごくスッキリしています。
もしこちらを読まれてご興味が沸いたら、短歌作ってみてください。五七五七七の一文があればそれはもう短歌です。