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短歌の供養をします⑥

 前回で短歌は五つともご紹介し終わったのですが、実は前回までの短歌は五首連作で出してたものなのです。一度タイトル付きで並べてみたいなと思います。


飼う

①家猫を洗濯カゴに捕まえる小二のあそび父のなりわい

②水満杯たらいの蛙今朝方は金網の内でなぜかあおむき

③標本のクワガタ逃がす磔の最期なんてとなじる盗人

④外見が命の優劣つけるからマリモの瓶を振った壊れた

⑤ぼくらみな突然変異の青い鳥羽むしり合うまでのさえずり


 こんな感じで一つの作品として提出しました。
 さて、こうして全体をぱっと見た時、文字の密度と言いますか、漢字やひらがな、カタカナが満遍なくあって、特別読みづらいというところは少ないかと思います。実はこれは短歌連作を作る際に、かなりこだわってわざとこのようにしています。

 というわけで、今から表記のこだわりについて喋ってみたいと思います。私の個人的なこだわりなのですが、短歌だけでなく小説を書く時など創作活動全般に共通するので語ってみたくなりました。

 例えば、①の歌についてこだわりポイントを挙げますと。
 まず1つ目。「洗濯カゴ」を「洗濯かご」でも「洗濯籠」でもなく、あえてカタカナの「カゴ」にしています。これは、漢字続きで重たい印象にならないためと、「籠」の古めかしいイメージではなくどちらかというとプラスチック製のカゴを思い浮かべて欲しいからです。あとは現代日本の一般的な家庭にあるカゴが想起されることで「小二」の子供や「父」の暮らしが想像してもらいやすいかなと思ったからです。
 次に2つ目。「あそび」と「なりわい」をひらがなで表記しています。最初は「あそび」と「生業」というように、子供の無邪気さはひらがなで、大人の悪意ある行為は漢字で表記しようかなと考えていました。しかしこのほうが、対になる言葉ですよ、と伝わりやすいかなと思ってどちらもひらがなに変えました。

 あとは、一番シンプルに分かりやすいので②の歌のこだわりポイントもついでに述べます。これもこだわっているのは漢字の表記です。②の歌を全部漢字にするとどうでしょう。
「水満杯盥の蛙今朝方は金網の内で何故か仰向き」となって漢字だらけでちょっと読みづらいですよね。
 ……といった感じです。

 実はまだまだこだわりが隠れていたりします。長くなるのでそこまでは書きませんが、一単語、一文字、一音の表記や配置がすべて意味を持つように、といつも考えています。

 この考え方は小説にも共通しています。
 例えば、「つける」をひらがなにするか漢字の「付ける」にするか。「~すること」を「~する事」と漢字にするか。「かまきり」を「蟷螂」と漢字にするか「カマキリ」とカタカナにするか。などなど表記の選択はたくさんありますね。

 短編小説を書く時などは特に、端的に(視覚的に)文章の硬さや柔らかさが伝わって欲しい気持ちがあるのでこの辺りはこだわります。書き始める前に、最初に表記を決める作業をするくらいです。
 そうすることで、これはこういう雰囲気のお話です、こういう重みや色合いがあります、というのがちょっとでも伝わったら嬉しいなと思っています。

 ……まあ、その、もしかするとそこまで気にして読んでおられる方は少ないのかもしれませんし、誤字脱字はともかく表記が印象に大きく影響することはあまりないのかもとも思いますが……。
 以上です。表記についてなかなか語る機会がないので、こちらで失礼いたしました。

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