消防設備点検業という半ばガテン系の業種の親方・兼作業員である私は連休中もほぼ休み無く働き、夜間は非火災報の対応に走り、気が狂いそうなほどの量の事務作業に精神的に苛まれ、今日も大規模物件の点検作業に従事し、急に雨が降って作業着が濡れて寒いなあと思っていたら晴れて急に暑くなったりして、その大規模点検物件の北側の敷地と南側の敷地を、時間的なゆとりが無いのに徒歩で行ったり来たりしなくちゃいけなくて、疲れ果てた身体を引き摺るようにその道路沿いの歩道を、でも大急ぎで歩いていて、何だか疲れてボンヤリしてしまって、急な晴れ間の強い西日が眩しくて、顔をしかめて空を見上げると、太陽の光が束になって地上に降り注ぐ様子が見えて、なぜだろう? 急に自分がカクヨムで小説を書く作家のハシクレであることを思い出し、あらゆるものを、――美しいもの、儚いもの、貴いもの、愛しいものを、不完全ではあるけれども、文章で表現できて、それは何も私に限ったことではなくて、文字を書ける人すべてに等しく与えられたごく普通の能力なんだけど、
――ああ、オレは、神に祝福されている、なんという自由、なんという幸福、なんという奇跡なんだろう、……!
と思いながら痛む右ヒザを庇いながら歩き続けた、というだけの話!
どうだ、参ったか?!
これが作家という生き物だ!!