今まで数多くのネット小説を読んでまいりましたが、つい自分でも書いてみたくなって始めたのが本作。
しかし創作なんていう崇高な行為が素人の自分に出来るだろうか、最初はそんな不安がありました。
いや、逆に考えよう。オリジナリティを入れようとするから難しくなるんだ。そんなものはいらない、むしろ全シーン自分が好きな作品からの引用とオマージュで構成してやろう。そうすれば出来はともかく自分が嬉しい作品にはなるはず。
本作はそういう意気込みで、作者が今まで読んでてきたSF、ファンタジー、漫画、ネットの異世界小説、ゲーム等々をパッチワークして構成されています。
全部ではありませんが、そんな元ネタの解説を。
●第1話 プロローグ:ようこそ男女比1:30の国へ ~ハーレムが合法というか義務というか もういっそ男は奴隷な世界で 僕はあの娘に純潔を捧ぐ~
「男女比1:30世界」――――
元ネタは「ようこそ女たちの王国へ」(ウェン・スペンサー:早川SF文庫)から。多数の姉妹に囲まれるというシスター・プリンセス設定を合法的に実現した秀逸な設定。ネタ元の方は比率が1:20でしたが、欲望というものは肥大化していくものです。
「歌舞鈘(かぶき)の巴の駙馬(ふば)」――――
かぶきの鈘は当て字。三本足の釜という意味の漢字。下ネタですね、申し訳ない。我々の世界とは逆に、かつて男が人前で舞い踊ったのが始まりというカブキ、当然今や女が男装した男方として演じております。
駙馬は貴人の夫の称号。巴御前の男版となります。男だてらに妻姉妹のために剣を振るった史実の人物を主役にしたカブキの人気演目。長寿漫画作品でよくある男女逆転世界的なネタです。
この辺りの女性視点で男の立ち位置を示す言葉は少ないんで、本編で扱う時は頑張って造語します。
●第2話 異世界
小さな人形を踏み越えた瞬間に転移、というのはアイザック・アシモフのSF小説「宇宙の小石」の冒頭シーンから。そちらの主人公が事故で転移した先は未来の地球でしたが、圭一も転移自体は事故だったということでシーン拝借しました。
●第4話 異世界喫茶でコーヒーブレイク
「魔法使いエリーゼ」――――
元ネタは魔法使いサリーから。それにアイザック・アシモフの「我が名はサリー」を絡めました。サリーはAI制御の自動運転車の名前。グーグルカーが自我に目覚めていつか人類に反旗を翻すのでは? という内容の短編。中でオープンカーは女性格と定義されていたので、実車で女性名のオープンカーの名を引っ張ってきました。
●第6話 異世界ヤバイ
早百合の名前は少女漫画家竹本泉先生の平行世界放浪わちゃわちゃSF「さよりなパラレル」の主人公の岡島さよりからお借りしました。主人公の真上の姓もさよりが気になる男の子、真上シリーズ(各平行世界に真上の名を持つ少年が存在)から。
藤沢弓槻はメガCDで出た竹本先生のインタラクティブコミック「ゆみみみっくす」の主人公、吉沢弓美から。
作者が初めて読んだ竹本作品であり、最も繰り返しOPを見たゲームタイトルであります。