先日、『DOGMAN ドッグマン』という映画を観ました。
警察がトラックを止めるシーンから物語は始まります。運転席には傷だらけの女装した男と、荷台にはたくさんの犬たち。ドッグマンことダグラスは警察に留置されますが、警察は男女どちらとして処理すればいいかわからず、精神科医が呼ばれます。
そしてその精神科医に話を聞かれ、ダグは淡々と自分の半生を語るのですが……父と兄に虐待され、犬の檻に閉じこめられて、母は隠しておきなさいと缶詰だけ与えて去ってしまう。そしてあるとき、産まれたばかりの仔犬を護ろうとして父に逆らい、銃で撃たれて指が一本吹っ飛び、おまけに脊髄まで損傷して下半身不随になってしまいます。
……もう、このあたりの回想シーンは観ててつらくてつらくて。女装をしてお店のステージで歌ったり、犬たちに指示して悪い奴らをやっつけたりしてるところは痛快なんですけど、主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの表情が……! 壮絶な人生を生き抜いてきた者特有の穏やかさとか、悟りきった微笑みとか……目を見てるだけで涙が出そうになるんです。演技すごすぎ。
で、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズという俳優さんが気になってしょうがないので、今日は『ニトラム / NITRAM』を観たんです。
あ、一日空いているのは、昨日はネットで萩尾望都先生の漫画がたくさん読めるというのを知って、そのサイトに登録して一日中読んでいたからです。『半身』『11人いる!』『バルバラ異界』『イグアナの娘』『海のアリア』『メッシュ』『AWAY―アウェイ―』……読めるものを片っ端から読みました。すごすぎる。これをこれまでまったく読まずにいたなんて、人生の3分の1くらいは損していたと思いました。
なかでも衝撃だったのは『残酷な神が支配する』です。性的虐待にドラッグに男娼? こんなキャラどっかで見たなあとか(笑) こんなん刺さるに決まってる。
話をケイレブに戻します。
『ニトラム / NITRAM』は、1996年にオーストラリア、タスマニア島のポート・アーサーで起こった銃乱射による大量殺人事件の犯人マーティン・ブライアントの生い立ちと、事件を起こすまでの経緯を描いたものです。……と、観終わってから調べて知りました。
こちらも、ケイレブの演技はすごかった。憑依型の人なのかな、とにかく目が離せなくなるんです。
お話の途中についてはすみません、省きます(笑) で、映画はポート・アーサー事件をケイレブ演じるニトラムが起こすに至って終わるんですが……なんだろう。ケイレブの演技の所為だろうか。思っちゃいけないのに、理解っちゃいけないのに、事件を起こすのが必然と感じてしまったんです。辿り着くべきはそこしかなかったよなあ、みたいな。
そして、映画を観終わってしばらくすると……あれ。かくん。重い。自分の腕が、脚が。動かん。
直感的にわかりました。ケイレブのあの目に持っていかれた。久々の気鬱ぎです。
『イグアナの娘』と『残酷な神が支配する』もいけなかったのかもしれない。なんかいろいろ深く刺さりすぎたみたいです。
というわけで、浮上するまでちょっとかかるかもしれません。ああ、でも家事だけはなんとかやらにゃ。。。
ってか、こんなこと書かなくてもいいのにと思いつつ(^^; 誰かに引っぱりあげてほしいのかなあ私。甘えてしまって申し訳ない。ドンパチ系とかコメディとか、なんか楽しい映画教えてください、アマプラで観れるやつ。