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ラノベの多様化

 あまりになろう批判が多い根底は、このサイトがなろうが嫌いで集まった作者連合だから…。多分なろう嫌い読者はあんまり居ない。なろう嫌い作者は同時に読者としてもその傾向が強いから。その根底に多分多様化がある。まず作者として上に行けないのを嫌ってるのは省きたい。作者の嫉妬めいた批判はしょーもないから排除したい。

 私が一般文芸セレクションを進めるのは作者が読者として優れた評価眼を持ってるからで、作者自身の嫉妬はどうでも良いから…。自分の作品を掘り起こして欲しいじゃなくて、価値観の違いから埋もれてる作品を掘り起こしてあげたいって読者精神でいて欲しい。この点は曲げて欲しくない。同情であって自己憐憫であってほしくない。

 ラノベ的作品は多様化には向かない。これだけ知って欲しい。過去のラノベは違ったんだろう。過去のラノベは小説と漫画の合いの子だった。これがラノベとしてきちんと独自性を築き上げた。それをもっと肯定的に褒めて欲しい。何故否定するばかりなんだ?ラノベはラノベとして過去と断絶したから個性が出来た。当然ラノベは過去の漫画小説などの要素の寄せ集めになってる。ただその表現方法の根底のリアリズムが出鱈目すぎる。むしろ漫画の出鱈目な部分ばかり伸ばしてる。漫画全体では薄くなる刺激を出来る限り濃くもとめている。

 漫画物語の中でリアリズムがしっかりした作品は古典的な小説や実写ドラマのような作風になりやすい。進化していく過程でリアリズムを重視する読者の淘汰圧が無いと、おのずと進化の先にあるのはリアリズムを軽視した他の部分の刺激になる。ラノベの個性は読者の求めるものと上手く合致した形で進んでいき。極端なコピー戦略が本来残るはずの古典作品を排除して売れ行きが良い先端のコピーばかりになっていく。これをどんどん繰り返す事で多様性が失われる。

 普通は漫画全体ではこういった進化の過程で途中流行したものがきちんと残っていくケースが多い。もちろん淘汰されて消えていく場合もある。ただラノベが市場規模が漫画全体とは比較にならないほど小さいのは考慮してあげても良い。ラノベが多様性を生めないのは全体の規模が小さいのも大きい。

 さて実はこれだけじゃない。だからラノベは徹底的な多様性排除になってる。ライト層の基本は頭を使わない。実はこれ一般でも同じだけど、程度問題としてリアリズムが重視される一般はラノベよりは頭を使う。頭を使った読者に受ける刺激は複雑化できる。これが縦の広がりを持たせることになる。刺激の複雑化による縦の多様性に繋がってる。

 私が言ってきた話しからすべて帰結される結論ばかりだけど…。ラノベに多様性を求めるのはラノベの存在の根幹を壊すことになる。

 きちんと楽しんでる人は分かるけど、なろう系はなろう系の軸の中ではかなり細かく細分化されてて個性がある。哺乳類の多様性と生物全体の多様性を較べたらそりゃ哺乳類の多様性なんてごく一部に過ぎない。ただ哺乳類の中ではきちんと多様化している。要するに一般がもつ不特定多数のターゲットの無い売り方に対する偏った売り方への批判となる。結局こういう発想は、一般も売れ戦を重視する発想になって多様化を阻害する流れになる。

 だから私は、一般、ラノベって分け方じゃなくて、目の肥えた自称優れた小説読みが選ぶベストセレクションを複数の同志をを集めてやれば良いとおもってる。結局一般だろうが、オタクだろうが、ライトな多数派の支持する作品に文句言うのは目に見えてるから。

 じゃ商売の絡まないネット小説はどうなのか?それはすべて金の流れと近いランキングに文句が来るのが読めてるから、私は先手を打ってそれと関わるの辞めろと言ってる。根本的にオタク層中心の今のネット小説ではラノベ的な作品しか支持されない。次に例え一般層が中心でも人気作と似た作品が数多く出来る傾向って点で多様化は阻害されると見ている。それが現実の小説の売れせんと近い性質を持つから。

 多様化を保ちたければ、非人気作を作る人のモチベーションになるようなセレクションで新しい価値を作り上げるのが一番良い。それは人気作を無視してやるのが良いとは思わない。単純に人気作が持つ価値とは違う価値観で選び、それが人気作と重なっていれば人気作を選んでも良い。

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