町役場からの怖いお手紙に続き、今度はモヤモヤするメールが来た。
差出人は以前通っていたスペイン語学校から。
まずはモヤモヤするメールの件名をお伝えしよう。
「ウェディングの最中に ✕✕✕ の音で大困惑?」
✕✕✕ は男女の睦事である。
こういう見出しのスペイン語のニュースがあったらしく、それを送ってきたのである。見出しが見出しだったので、中も見ずにゴミ箱に捨てた。
捨てたはいいが、何かモヤモヤする。これは冗談の範囲か? 読んだからと言って、「キャッ、恥ずかしい!」となるような年ではないが、学校から元生徒に送る内容としては完全にアウトだろう。
ちなみに元生徒の男性にこういうメールが来たかどうか聞いてみたが、受け取っていないと言う。こういう見出しのニュースを送ってくるのはどう思うかとも聞いたが、「まあ、あの先生のことだから、そんな悪意があるわけじゃなくて、面白おかしい軽い気持ちで送ったんじゃないの」という回答だった。うーん……。
このスペイン語学校はイギリス人男性がワンマンで経営していて、このイギリス人先生がスペイン語も英語も教える。
かつてはどこぞの私立の中高一貫校で教頭までしていたらしいのだが、まあどういう経緯でか自分で語学学校を経営するようになったらしい。
この学校には、スペイン語の「ス」の字もわからない段階から通い、初級スペイン語の習得では大変お世話になった。
快活で話しやすい先生なのだが、段々と授業が進むに連れ、先生のお喋りが授業の半分くらいを占めるようになり、お金がもったいなくなって止めた。
止めた後も、ときどき学校からメールが来ていた。大体は、先生の目を引いたスペインでのニュースが送られてきていた。
タラゴナ地方で夏の山火事が大変だとか、スペインの地方選挙で右傾化が目立つだとか、そんな内容である。
少し気になったのは、メールが来るのは女生徒だけなのだ。元生徒だった男性と、この学校から来るメールの話になったときに、この男性はメールのことを知らなかった。
エラーなのかと思って、学校に男性の名前が漏れてますよ、とメールを送ったのだが、結局この男性はメールを受け取らずじまいだった。
学校に通っている間も「もしかしてこの先生ヤバい人かも……」と思うことが、二、三回あった。
教材で「初恋はいつか?」とか「初キスはいつか?」という内容のものがあったのだ。
初恋くらいだったら、「五歳の時に保育園の同じクラスの男の子と結婚の約束をしました!」で済むが、初キスとか聞く? 初恋だって、教材で聞く内容じゃないと思うんですけど。
「プライベートなのでヒ・ミ・ツ☆」という回答をしたが、男性陣はやはりあまりぴんと来ていないようだった。
クラスにはいつも四人から二人の生徒がいたのだが、たまに一人で授業を受けることもあった。そのときに先生が隣に座ったのもイヤだなと思った。その次から一人になったときは、わざわざ遠いところに座ったものだ。
これが若くてピチピチの娘なら気の迷いもあろうが、こちとらアラフ**のオバチャンである。(どっちにしても隣に座ってはイケナイ)
以降、私の脳内ではこの先生は「何かヤバいものを秘めているので、気を緩めて近寄ってはいけない人」という判定になった。
話に聞くところでは、お金持ちのお坊ちゃまやお嬢様に英語の家庭教師もしているらしいが、私に子供がいてもこの先生には習わせるまい。
そんなこともすっかり忘れていた頃にこのメールである。個人宛になっているのか、グループ メールで送られたのか、メールの宛先をよく見ておけばよかったと思うが、もうゴミ箱に捨ててゴミ箱からも消去してしまったので確かめようもない。
まあ、次回またこういうメールが来たら、今度からスパム扱いにしよう。
こういう微妙に判断がつかない事例は、私は疑ってかかる方を取り、割とあからさまに「疑ってますよ」と態度に示している。相手に失礼などとは考えない。先にこれぐらいはいいだろうと失礼をしたのは相手なのだし、実際に何かあってからでは遅いのだから。
先生や上司、あるいは同僚や友人に同じようなモヤモヤを感じる方には、「あ? 舐めんなや、オラ」と心の中の態度を改めるようにお勧めしておく。心の中の態度は絶対顔に出るので、程よい牽制となるはずである。