してみますのですよ。
皆様は自分の話のどのキャラがお好きですか?
やっぱり主人公ですかね、自分と近すぎて逆に遠いキャラの方が好きだったり、書きやすかったりするんでしょうか。
裏設定も含めると、1期だけで概算六十人出てる、「走れ!〜」ですが、
好きなキャラはアルバルト・トロイメライ、ついで学長です。
「誰?」って感じですね。
いいんです、こういうのは誰にもわかってもらえないところが楽しいです。
トロイメライ子爵の方は、愛称に悩んで、アールもアートも持ちキャラにいるので却下、じゃあバルトかバートか、バールとかぶるじゃねーか、じゃあアットくんで! ウケる〜と一人で阿呆なことやってたのと、いざ書いたら背中に定規入ってる人の話し方がツボったせいです。
よーく考えると、ツッコミどころの多い発言をしているんですが、ブレてないよー、揺るぎないよー。
そうした、話に積極的に絡まないちょうど良い位置にいる人は、いじりやすくてグッジョブです。
残念ながら上記の理由で、バールとの絡みは多いのですが、書くほどのことでもないので出番がほぼないです。
学長もそんな感じ。
これから書くJ×Jやエルーカも好きですが、作者が好きってことはあんまり魅力的なキャラじゃないかもしれませんね。
【番外編】
〜書くほどでもない、お見舞いに鉢植えを持って行ったわけ。
すすめてくるんですあの人が!!〜
2週間後の食堂。
「バール」
「あ、アット子爵? こんにちは」
「愛称に子爵はおかしいよ。きみ、それよりこの間は大丈夫だったのか?」
「え?」
「あの後、図書塔は入館規制がかかったろう。僕は戻る途中で、上から降りてきたきみの師匠や管理官たちに会ったんだ」
「なんと」
「あなたの弟子とさっきまで一緒にいたが、下に降りていったようだと伝えたよ」
「それ言っちゃだめなやつ……」
「なんか固まったような間があったがね、入館制限がかかったから、残っている者を見かけたら声をかけて誘導するよう頼まれた。きみは避難したのかちゃんと」
「しました。師匠にも会ったし」
「外に出てからしばらく待ってみたが、きみは出てこなかった」
「……師匠たちの手伝いをしてたんです……その、いろいろ大変でした。心配してくれてありがとう」
「いや、いいんだ。図書塔で何があったんだろうな……」
これ以上追及されるとまずい、とバールは思った。
「アットくん、お見舞いにはやっぱり花かな」
「花?」
「食べ物の方が衛生的にいいのかな、でも、まだ食べられないかもしれないのに持って行ってもねぇ」
「女性には花だよ」
「女性じゃないです」
「ただ、その人に似合う花が必ずしもその人を癒すとは限らない」
「?……えと、花言葉で選んだ方がいいとかそういうこと?」
「恋人に贈るのかい」
「恋人じゃないです」
「心が欲する花を持って行ってあげるといい。相手の好きな色や季節はわかるかい」
「いえ、ぜんぜん」
「困ったね。マリテュスの生徒?……出身は?」
「あー……ヘリテージの北、シャー、シャーロットじゃなくて、」
「五大諸侯のひざ元か、北は寒いからまだ花の季節じゃないかもしれないな」
「シャーロット村?」
「たぶん〝シャムロック〟村だね。痩せた土地を開墾するため、白クローバーを栽培して、家畜業で成功したんだ。人の手で植えたという四葉の群生が、どこまでも続く平原に絨毯のように敷き詰められているらしい。人生で一度は行ってみたい土地だよ」
「三つ葉じゃなくて、四つ葉? 全部?」
「夢のようだよね」
「んー、めずらしいね、でも四つ……」
「バールこの件は一度、僕に預けてくれないか」
「アットくん……まさか」
「クローバーはこの時期、そこらにいくらでも生えている!」
「そうだねっ? 九分九厘三つ葉だけどね!?」
「それとも急ぐのか、彼女の容体は?」
「急がないけど、彼女じゃないから」
「わかった。三日ほしい、必ずめがねに叶うような素敵な鉢植えを用意しよう」
「ステキな鉢植え用意しちゃうの?」
「なにか問題が? 僕のことは黙っててくれていい」
「カノジョじゃないって。じゃあ、お願いしようかな……花が好きなの?」
「花を見るのも好きだけど、育てる方が好きだよ」
「魔法は?」
「? 魔術士は仕事だ」
「そっか……」
それから本当に三日後、手のひら大の鉢植えには、見事な四つ葉の群生が植えつけられていた。
大事そうに捧げもつアットの手から受け取るのも、花をもらう女の子の気持ちのような倒錯した気恥ずかしさがあったが、相手に渡すにはおかげでなおさら勇気が必要になった。
ちなみにアットくん、花言葉は土地によって変わるから気にしないそうだ。
子爵らしくまっすぐで潔い。
バールは誤解を招かないよう、花言葉は知らないんだと言って渡すようにしている。
潔く生きるわけにはいかない。
終劇。