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おにぎり

100円ショップに「名言名句カレンダー」という商品が売ってあった。ぱらぱらめくってみると、日付ごとに野口英世やヘレン・ケラーなど偉人の名言が載っていた。
その中に山下清の名言もあった。内容は「おにぎりを食べられるまで歩き続けるから、おにぎりを食べられないということはないんだな」というようなものだった。
この名言の良いところは「おにぎり」だと思う。これが「成功するまで頑張り続けるから、成功しないことはない」だったら、全然違う。「おにぎり」を食べられるまで「歩き続ける」という具体性と良い意味での主張のなさが素晴らしい。
名言には「愛というのは」とか「幸せになるためには」とか、ピンとこないものが多い。その点、山下清の「おにぎり」はすごく身近だ。
抽象を書いて、読者が具体例を考えるのではなく、具体を書いて、読者がそれを一般化する。その方がよりリアルに響く。そんな気がする。

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