※ランキング画面に乗った時にあまりにも見づらかったので改題しました

 最近とんと書いていなかった近況ノート。
 久しぶりに書いた理由はこちらの作品の解説をしたかったからです。
 書籍化作業などというものをやっていると、流石に自分の趣味100%説明省略アクセル全開とかできません。勿論僕が超売れっ子とかになったらそういうこともやらせてくれるそうなのですが、まあ人様に買っていただく物である以上、そういったわかりやすさへの配慮とかしないのは良くないというのが僕の思想です。商品には、面白さ・わかりやすさという実用性が無ければいけません。
 
 それはさておきこちらの作品。ざっくり言うと「今後書きたいもののごった煮クトゥルフ鍋」という感じです。北海道の田舎(リアル度低め)、地元ネタ、ホラー、技術が進歩したところでその恩恵が行き渡らないし不幸な人が減らない未来、中学生の頃にぶっ刺さった戯言シリーズ的な新青春エンタ、古い時代へのノスタルジー、カクヨムダークユニバース、そういうものをクトゥルフ神話出汁で煮込んで鍋にしたあれです。
 信じられないかもしれないですが、北海道の田舎道だとマジでエゾシカが車と併走します。シカたない連中だと連呼して車内を氷点下にしたのは僕自身のエピソードです。
 
 今回の作品の主人公である零斗君。意図的に苗字を書いていませんがこれはそのものずばり「香食零斗」だからです。読んでいる間はあの男の血縁だって事を考えずに居て欲しかった訳ですよ。香食って苗字自体がなんかこう神の生贄にぴったりって感じで被害者枠として気に入っているんですよね。あと肝盗村ですが、実は函館の近くなので、その気になればバスでさくっと行ける距離という設定です。なので三連休とかが有ると零斗君も村に通って心の洗濯とかするんじゃないですかね。厨二病の彼には家も居心地が良い場所ではないので。あと作品の雰囲気変わるので作中では言わなかったんですけど、血肉吸われると滅茶苦茶気持ちいいので男子高校生ならばきっと誘惑に抗えないことでしょう。ええ。読後感台無しですね。でもこれは趣味で書いたので許してください。その内自己再生に特化した滅茶苦茶歪んだ魔術師になることでしょう零斗君。なにせ師匠になってくれるであろう夫妻がアレなので。
 零斗君、僕の作品では珍しくモデルが無いタイプの主人公になっています。大体これまで書いた作品の主人公は、身近な人をモデルにしながらその時その時で自分が抱えているテーマをぶち込んで作り上げていたので、非常に独特なものになったと思います。これはこの作品がもう僕が抱えていないテーマ「思春期における自己の確立」だったので、殆ど今の感情じゃなくてかつての記憶で書いちゃってたんですよね。なのでキャラとしてもその問題と劇的に向かい合うことに全て注力していたような節があります。ただ誰もが持っていたであろう思春期の悩みの代表者としてのキャラでした。僕は彼ほど社会不適合レベル低くないので、最初から自分のやりたいようにしかやってないタイプでしたが、それでも「あー、そういう思いあるよねえ」って言えるようには気をつけて書いたつもりです。逆に社会不適合レベルこいつより低いぜ!という真人間の方にも「若い頃はそんなもんだよね!」と言ってもらえてたら良いなあ……。
 キャラの扱いなんですけど、零斗には今後一流の探索者としてカクヨムダークユニバースの中核を担ってもらう予定なので、頑張って欲しいと思っています。カクヨムダークユニバース……それはカクヨムに存在する僕の大好きなホラー作品(非クトゥルフ神話含む)を一つの宇宙(ユニバース)で繋げるクロスオーバー計画……。具体的に言うと鈴森君と佐々総介が同じ電車に乗り合わせて二人仲良くきさらぎ駅から脱出する掌編とかそういう話をやりたい。書籍化作品は権利がアレなので直接は出せないけどそういうのをやりたい。既に僕の作品は裏設定単位で全部リンクさせているので、きっとできるはずです。天ヶ瀬アマタのママと佐々凛ちゃん、あいつら若い頃二人はプリキュアって感じのコンビ組んでたんだぜ。アマタママ、ガチの異能者だぜ。老いたりとはいえ、対人殺戮特化のアマタよりも総合力では強いぜ。みたいなリンクが実は沢山あります。そういうリンクを自作と他の作品で生やしてそれを見せる短編を書くのをひたすらやりたいんですよ。それが最終的にクトゥルフ神話ならぬカクヨム神話になるまで育ったところで、基本体系を再度整理しなおして、自分の作った設定・キャラに関しては自由に解放したりとかしてみたいですね。まあ実現は難しいので、今はユニバーサル・ピクチャーズのダークユニバースを上手く焼き直そうとしているくらいに考えていいですよ。今回のテーマは「ミイラ再生」でした。次は「大アマゾンの半魚人」か「魔人ドラキュラ」でもやりましょうか。
 それにしても零斗君。なんかこうそこそこのエリート階級に生まれて、鬱屈した物を抱えているので、テロリストにでもなりそうですよねこいつ(偏見)。あとお友達からとか言ってるけど下心マックスだよこいつ。なんか物語になるから僕はとやかく言いませんがね!

 次に有葉夫婦についても話しておきましょう。彼らを描く時は逆に影響を受けた方がいらっしゃいまして、小説家の朝井リョウ先生の仰っていた「結婚式のようなものはいらない」というスタイルを自分の中で消化する為に描いた夫婦です。お互いが自分自身の為に相手と一緒に暮らすことを選んだという話が非常に美しくて、僕はとても感動したんですよね。それは勿論一人一人に高い能力が求められる行いなので、簡単に真似はできないでしょうが、そういう憧れみたいなものを込めてあの二人を書きました。ガチ社会不適合者魔術師の夫と、軽度の社会不適合者魔術師の妻で、まあ夫婦二人で仲良く面倒事や付き合いを分担しながら“普通”を求める社会相手に協力してしなやかに躱していくみたいなスタイルです。「今の時代をお互いに健康的に生き抜くために手を組んだ」という奴です。いや勿論お互い好きあってるとは思いますけどね。あやつらの収入は小説家じゃなくて、マジカルな非合法活動がメインです。あと食事は自宅の畑と狩猟でかなりの部分をまかなっていて、食費の殆どはコーヒー豆などの嗜好品に費やされています。
 有葉って苗字、どう考えても有葉緑郎では?と思った方も多いと思うんですが、その通りです。有葉緑さんは今回実験的に書いてみた「もしも有葉緑郎をヒロインとして書いたら?」だったりします。距離感が近くて年齢不詳でミステリアスなところもある残念美人人妻というとんでもない魔球になってしまったのでもはや実験どころじゃありませんね。編集さんと色々話してた時に「この有葉さ~、女の子にできないの~?」という話になりまして。すごい面白いアイディアで、その時の原稿の流れを見るとたしかに女性として描くことでヒロインポイント荒稼ぎができると気づいたのですが、残念なことに原稿の流れが既に決まっていて! そのときにはちょっともう修正効かないレベルで! あと男性向け作品として可愛い女の子は必要だけど、親友ポジのキャラが魅力的ってそれだけで一歩差をつけられるポイントだと思うので! 残念ながらその路線には舵を切りませんでした! じゃあ夫の方は何者だって話になるわけですが……有葉緑郎に限りなく近い邪神の類ですね。自分大好き系夫婦です。
 あの膨大な邪悪アイテムが詰まった蔵は、あの邪神が一つ一つ集めてきて、何時か来るべき時まで封印されています。外なる宇宙の神々が再び目覚めて世界を支配する時まで、人間の世界を守る為、同時に終わらせるスイッチとなる為、あの蔵の中で静かに眠っているのです。ダークユニバースにおける諸悪の根源です。ココらへん説明すると只の異能バトルものになるのであえて説明しませんでした。何か邪悪なものが持っていた呪われたアイテムで、本来触れちゃ駄目だったくらいにとどめてます。その呪いを享受して、愛することができるなら、それは生き方として最高にクールじゃないですかね。僕はそう思うんです。

 続いてミイラの女の子。ニトクリスがモデルなのですが、ニトクリスのミイラが残っているとも思えないですし、あくまで架空の女性ファラオです。イムホテップじゃないよ。名前が明確に決まったらこの先の作品で明かすと思います。イムホテップをもじった名前にするかもしれないです。あれで意外とLINEとか使いこなしちゃう都会派ミイラさんです。ちなみに作品の時代だと体内にスマホ的チップを埋め込むのが普通ですが、勿論宗教的理由や個人的な趣味でチップに拒否感を持つ人は多いので、普通にスマホもあります。零斗君は誘拐対策も含めてちゃんと身体の中に埋め込んでもらっているタイプですね。作品の中の近未来の日本は貧富の差が広がっていて、犯罪も多くなっており、色々危険なんですよね。今の日本の人口が減って、生産力も少なくなって、お金が一箇所にとどまったままろくに動かないで、お金持ち達は城塞のような街の中に引きこもる日本です。個人的にはそういうことが現実に起こる可能性が決して零ではないと思っています。そういう荒廃した日本を描くことで、古い時代を描く作品に漂う荒涼感やノスタルジーを擬似的に描くことが今回の挑戦の一つでもあります。しっかし零斗が家から出た途端棺の中からラインでめっちゃ声かけてくるとかこう……面倒な奴の匂いがプンプンですね。零斗君とはちょうど良い関係性なのではないかと思われます。零斗君も大概面倒ですからね。面倒には面倒をぶつけんだよ!というさだかやメソッドです。
 あと舞台を荒廃した近未来にしたのにはもう一つ理由が有って、人間の時代の終焉とか人間の作る世界の限界が近づいていることを匂わせたかったんですよね。人間が限界を迎える時に各地で解き放たれる魔の数々。過去へ未来へ津々浦々へ。そうして各地で弱りきった人の心に漬け込んでろくでもない出来事を起こして回るって寸法ですよ。でもそれによってこれまでの常識や制度みたいなものもぶっ壊れて、人間の……オーガニックな力がのびのびと発揮できる無法地帯になるんだ……神と人の原始的で生き生きとした地獄が……。
 そんな世界への先触れになったのがイムホテップ子ちゃん(仮)と零斗君な訳で、まさに時代を零から始めるさきがけになったのですよ零斗君は。零斗くんを三回呼んでいる事が多いのは、魔術的な意味合いがあります。三回呼んで、三回答えさせることで、結びつきを強固にしているんですよ。
 ちなみに零斗くんのことは友達としてなら良いけど異性としてはまだ考え中くらいに思っています。そんな関係なのにとんでもない頻度でLINEで連絡してくるあたりが本当にそういうところだぞって感じがして可愛いですね。お前ら仲良くしろよ、ヒュー!

 ざっと話すべきはこの辺りでしょうかね。
 ちなみに懐かしいあの頃の気持になるですよーとか言いながら東方ヴォーカルアレンジ流しまくって中高生の頃の気持ちになって書きました。
 そうそれで思い出した。新青春エンタ。
 何を隠そう僕は中学生の頃に戯言シリーズと紅を読んで育ったマン。だから何時かあの頃の自分に刺さるような青春パワーに溢れた作品書きたいなあと思っていたんですよ! どうですか担当編集H様! こういうのも書きたいんですけど! 邪神任侠が売れた暁には! 一つ! 思春期の男の子達に、口に合えば女の子にも、グッと来る新青春エンタホラー! という感じでした。様々なコンセプトをごった煮にしていて、食べやすいとは言い難いものの、此処から洗練させる方向性は見えてきたでしょうか。物書きとしての海野しぃるはまだやりたいこと、できそうなことが沢山あるので今後も期待して待っていて貰えればありがたい限りです。暗い未来を笑って愛する作品を書いていきたいと思います。
 それでは近況ノート以上となります。おやすみなさい。

●追記

 都市伝説セピア、魔女集会タグの作品、戯言シリーズが参考作品となっております。近未来の描写については強いて言えばツイッターで流れるツイートとかからインスピレーションを受けました。
 あと大事なんですが東方ヴォーカルアレンジの中でも、フランちゃんの曲をメインに聞きながら書きました。

6件のコメント

  • 海野しぃる様

    どうも帆場蔵人です。このたびはしぃるさんの作品を題材に拙い詩モドキを描くのをお許しをいただき、遅ればせながらお礼を申し上げます。

    とりあえず二編の詩をアップしました。
    正直、作品の読み込みが不足のなかで二編目などはいずれ描き直してぇ!、と叫びながらもしぃるさんの作品の熱に浮かされアップしました。
    非常に面白い試みを個人的にさせていただきました。

    では、また。今夜は失礼します。

  • どういたしまして!
    どちらも好みでしたが一本目のほうが好みでしたね!
    でも僕自身が元々恋愛系をあまり書いたり読んだりしない人なので、好みの傾向も有るのかもしれません
    二本目は少女の方の思いを綴っているのもあって、女性的な作品になりましたね
    ここだけ抜き出すとなんてロマンティックなのだ……

  • 実は僕も最初の方が好きです。
    二作目はもう少し推敲すると描き手の自我が引っ込んで良くなるかもしれません。

    帆場蔵人

  • そこら辺は常につきまといますよねえ
    出しすぎた自分というか、何処まで自分を出すかの向き合い方みたいな……

  • またまたお邪魔します。
    近況ノートのしぃるさんの覚え書きを読み、また読み返してたので、さらに描けそうなのでまたご迷惑をおかけするやも-_-b
    もう少しクトゥルー的?な詩にしたいですね。クトゥルフ詩集とか。
    荒廃した近未来、題材としては面白いなぁ。

    新青春エンタ、戯言を読んでた時期で年齢の違いがわかるなぁ。彼の方と僕は一つ違いぐらいで戯言と申します一名を読んで一度、筆を置いたのが懐かしい。
    戯言の一巻は我が町の近海の孤島が舞台でした。

    は、長々と失礼を。ではまた。

  • 近所の島なんですか!
    羨ましいですね……
    荒廃した近未来というのは、貧しい過去の相似形になるし逆説的に希望みたいなものを描けるのではないかなどと考えてたりしました
    次も楽しみにしております

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