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どこへ行くのだろう④

不思議に思っていることがあります。
私は・・・です。→私=I 、です=be動詞
これ、違いますよね?中学の時そんな風に習ったにも関わらず、高校になると、be動詞はイコールを表している、つまり、です=be動詞ではなく、「は」=be動詞、ってことに気づきます。そもそも英語には、日本語的な「です」に相当する単語はないですから・・・
おかしいなあと、思うのです。

まあ、英語はおいておいて。ちまちま載せて分割四回。これはこれで面倒な雨月物語浅茅が宿に参りましょう。

前回は、京都に出た勝四郎視点の話でしたね。故郷はもう戦の真っ只中で、宮木ももういないだろうと、商人にしてくれた雀部さんの縁者のところへ身を寄せたり京都へ出てみたり、のらくらしているところです。

さて、相変わらずいくさが続く世の中です。(室町の、銀閣の義政の時代という設定ですね)。そんな世の中、京都の近くも危なくなり始め、疫病も蔓延し、死体がごろごろと道の端に積み上げられるような状況下 、人々も、世界の終わりではないかと、この世の無常を悲しむ。

そんな空気は勝四郎の意識も変えさせます。
よくよく考えてみれば、このように落ちぶれてしまって何もすることがない身で、何を頼みにしてこの遠国に留まり、親族でもない人の厄介になって、いつまで生きられる命であろうか。故郷に置き去りにした宮木の消息も知らないで、こんな遠方の地で長く年月を重ねるのは、誠実でない自分の心である。たとえ宮木がすでに亡かったとしても、彼女のために塚(墓)を築くべきだった・・・

彼の立場は居候のパラサイトといったところでしょうか。美人な奥さんまでいるとなると本格的に最低な感じがしますが、とにかく、彼は帰郷することを決意し、人々に別れを告げて帰路につくのですから、取り敢えず 大目に見ておきましょう。

これは旅日記系ではないので、次の瞬間には故郷についた設定になってます(笑)もう夜になっていて非常に暗い中帰って来たわけですが、長く住んでいた場所なので、迷うはずはないとどんどん夏の野原を踏み分けていきますが、昔はあった橋は落ち、しかも馬の足音もなく、田畑は荒れたままになり、元からあった道は分からなくなっていて、昔はあった家々もなくなっています。
まるで、浦島太郎。
まれに人が住んでいそうな家はあるけれど、昔のものとは全然違っている。どれが一体誰の家なのかと迷っていたところに、ようやく、自分の家の目印・・・雷に裂かれた松らしい・・・が雲の合間からのぞく星の光で見えて、嬉しくなって近づいていくと、自分の家は元の姿のままだった。人も住んでいるようで古戸の隙間から灯りが漏れている。
別人が住んでいるのか、それとも、妻宮木がいるのかとドキドキして、門に近寄って咳払いすると、家の中の人はすぐに気づき、誰ですかと尋ねて来た。
たいそう老いてはいるものの、まさしく妻の声であり、夢なのではないかと平静ではいられず、
私は帰って来たのだ。達者で浅茅が原(草生い茂る野原)に住んでいることの不思議なこと
そんなことを言う声が、聴き覚えた夫の声であったので、妻はすぐに戸を開ける。
宮木は大変ひどく垢にまみれて黒っぽく、目は落ちくぼみ、結い上げた髪も崩れ背にかかり、元の妻とは思われないほどの有様。
そんな彼女は夫の姿を見るや、さめざめと泣く。
勝四郎はしばしば呆然としていたけれど、しばらくして怒涛の言い訳大会が始まります。
もし生きてるってわかってたら、こんな長く留守にしなかったし。 しかも途中で強盗に襲われるわ、関所は閉じられるわ、大変だったんだぞ!

いやいや待て待てと思いますが。宮木がどんな思いをして待っていたかを思うとちょっとないような。

お前が死んだ後も見届けてやりたかったから、とにかく帰って来たんだけど、まさか生きておいでだとはこれっぽっちも思っていなかった。巫山の雲、漢宮の幻のように、消えて無くなってしまうのでは。

作者秋成さん、やはりうざいと思ったのでしょうか。くどくどと愚痴が終わらなかったと、勝四郎のセリフの後に書いています。
さてそんな話を聞かされた宮木、涙をおさえて、
貴方と別れたあと、約束の秋より前に恐ろしい、戦乱の世の中になり、里の人たちは皆家を捨て、海に漂い山へこもりましたが、ここに残った人には虎狼のようなケダモノの心があって、私の一人暮らしを都合がいいと、言葉巧みに誘惑して来ました。私は、たとえ貞操を守って死ぬことになるのだとしても、不義をして生きながらえたりはすまいと、何度かあった辛苦を耐えました。
しかし、天の川が冴える、七夕の秋になっても、あなたは帰ってこなかった。冬を待って、春を迎えても、手紙も来ない。今は私も京へ行き、お尋ねいたしましょうと思ったけれど、男の方でも容易く通れない関所を、どうして女の私が超えられる道があるだろうかと諦めて、待つ甲斐もない家で、軒下の松を相手に、狐やフクロウを友として今日まで過ごしました。あなたに再会した今では長い恨みもすっかり晴れてしまいましたことが、嬉しゅうございます。会う前に恋い焦がれて死んだのなら、相手にわかってもらえない口惜しさはどれほど深いでしょう。
と、またよよとなくのを、勝四郎は、夜は短いからと慰め、共に寝入った。

ああ、やっとの再会。長かったですね。 浅茅が宿は次で終止符を打ちましょう。

注意!
あんまりあてにしてはいけません。

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