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恐ろしいこと①

約束した時ほどそのことを忘れ、返って適当なことを言っていた時ほど、遂行する。人間の神秘です。

さて、手元には雨月物語があります。そしてうっかり忘れていた仏法僧という・・・挫折の苦い思い出のある短編があります。
因みに仏法僧に関してはまあ、一番最初にやった「白峯」とちょっと似た作品でもあり、また途中かなりめんどくさい・・・いえいえ、格式高い(?)やり取りが多分に含まれているため、取り上げるのはかなりめんどくさい・・・いえ骨が折れる、ということで、ひとまず仏法僧はスキップさせていただきます。

因みに早くたどり着きたいのは次の吉備津の釜でも、またその次の蛇性の淫でもなく、青頭巾なのですが。ここは我慢です(笑)

さて、では最恐の編、吉備津の釜に参りましょう。大雑把に言うと、嫉妬怨念ものです(笑)

最初の文
「妒婦(嫉妬深い妻)の養ひがたきも、老いての後其の功を知る」

・・・実は先日、四谷怪談の台本を読んだばかりなのです。読んだり見たりした方ならご存知かもしれませんが、嫉妬や恨みつらみを抱えた女性ほど恐ろしいものはありません。嫉妬深い妻を持った場合、 年老いることができるかどうか疑問です(オイ)

余談でした。本題に入りましょう。

これは全訳系にするしかなさそうですね。はい。途中飛ばすかもしれませんが、最初の方は丁寧に行きましょう。

「嫉妬深い妻は扱いにくいけれど、年老いてからその値打ちがわかる」と。ああ、いったい誰がそんなことを言ったのだろうか。

ここに注がついているのがなかなか笑えますね。言ったのは正徳二年の「当世智恵鑑」という書物らしいです。うるさい話です。

害の軽いものであっても、家業の妨げとなり物を壊し、隣人の悪口は止めにくく、害が甚だしくなれば、家を失い国を滅ぼし、天下の笑い者となるだろう。古くからこの毒にあたる人、どれほどいるかしれない。

死んでみづち(蛇に似た空想上の生き物)となり、あるいは激しい雷を振るい恨みを報いる類は、その妻の肉を塩辛にしても飽き足りない。しかし、このような例は稀である。夫が自分の行いをよくおさめ、妻を教育すれば、この手の憂いは自然に避けることができるものを、ただちょっとした出来心から、女のねじけた性質を募らせて、我が身の憂いを自ら招いてしまうのである。
「禽を制するは気にあり。婦を制するはその夫の雄々しきにあり」
というのは、本当にもっともなことである。

※「小鳥の飛ぶ自由を抑えて動けなくするには、人間の気合による」

ちょっと古臭い思想ですが、考えてみるとまあ、当時ならばその発想になるかもしれないとも思いますね。ただ、この作者が男性ということも、忘れてはいけませんが。


さて、男尊女卑が激しかった時代、立派な男性と結婚できた女性は、まだ救いがあったでしょう。むしろ今のように、家政婦すら雇う余裕もないのに見栄ばかり張りたがる男性に嫁ぐよりは、幸せだったかもしれません。
では、その昔にあって運悪く、ちゃらんぽらんな男を捕まえてしまったら。それでも耐え忍ぶことも多かったようですが、どこかでぷっつり切れてしまうと、鬼に変貌するのですね。

なんだか恐ろしげですが、哀しい話です。
怠惰の虫が騒ぎ出したので、今日はこの辺にしておきます。

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