佐倉伸哉

　最愛の夫を事故で喪ったアタシ。ある日、偶然出会った“フロウ”と名乗る人物から『望んだ夢を見られる』と評判の商品“夢の浮橋”を試してみませんか？ と勧められ――。 〇カクヨムコ…

　その男は、幼名を“奇妙丸”という。人の名前につけるような単語ではないが、名付けた父親が父親だけに仕方がないと思われた。 　父親の名前は、織田信長。その男の名は――織田信忠。 　…

　慶長五年〈一六〇〇年〉三月三十日、大坂。五大老筆頭・徳川家康は、先日豊後国に漂着した南蛮船の乗務員と対面する。その席上で乗務員から渡来品を献上され、その中に含まれていた眼鏡に感…

　居酒屋で飲み物片手に談義を交わす或る大学生と友人の二人。 　時間も進み、大学生はふと漏らす。「どうして情欲なども“色”と呼ぶのか」と。 　友人も確かにと思う中、大学生はスマホで…

　酒の席でよく耳にする「取り敢えず、ビール」。どうして、ビールなのか？ 　或る大学生と友人が真剣に考えてみました。 （2024/03/21　『どうして“取り敢えず”ビールなのか？…

　室町幕府を開いた足利家の支流で、将軍継承権も有していた名門・今川家。その最後の当主・氏真は今川家を潰した事から世間一般に“暗愚”の印象が強い。 　しかしながら、果たしてそうなの…

　あるお題をテーマに物語を書く課題を課せられた、或る大学生。 　発表された“はなさないで”について、真正面から向き合ってみました――。 　＜『KAC2024 ～カクヨム・アニバ…

　どこの家庭にもあるであろう、空箱。中身を取り出してしまえば用は無く、ゴミとして処分する人も多い筈。 　けれど、目的を果たした空き箱を大切に保管している人も中には居るのではないで…

　文久四年〈一八六四年〉一月。長門国萩の米問屋の跡取り・喜兵衛太は畿内方面の滞在拠点を探す目的で上洛した。 　しかし、それはあくまで方便。本名“七尾喜兵衛太”は長州藩士、しかも尊…

　慶長五年〈西暦一六〇〇年〉九月十五日、美濃・関ヶ原。 　島津勢三千の大将を務める島津義弘は物憂げな表情を浮かべながら目の前で繰り広げられる戦を見つめていた。 　祖父から『雄武英…

　2020年、夏。東京オリンピックで競技に復活した野球。本国開催もあり国民の期待と声援を追い風に戦ってきた日本チームは順調に勝ち進み、決勝の舞台に駒を進めた。 　決勝戦の相手は、…

　元亀三年（西暦１５７２年）十二月、遠江を行軍中の本陣で、武田信玄は激怒した。 　そのあまりの剣幕に、陣の外にある者達も何事かと驚いていた。 　果たして、信玄はどうして激怒したの…

　広島に本拠地を構える“安芸レッドベアーズ”に所属する高卒２年目の若手投手・前園健次郎は、アウェーで日本海ウルブスを相手に６回まで１安打無失点に抑える快投を見せていた。 　その投…

　野球の塁間は、90ft（27.431メートル）。選手は塁に出るべく、この距離を全速力で駆ける。 　時には、遠くへ打球を飛ばすパワーよりも速く走れるスピードの方が優ることがある。…

　なかなか眠れない夜は、気分転換に散歩する。 　皆が寝静まる真夜中、静寂に包まれた世界。見慣れた雰囲気も闇に染まると全然違う景色に映る。 　そんな時に出会うのが、ちょっと不思議な…

　天文二十二年、織田“上総介”信長は一人苦悩の中にあった。 　自らの置かれた立場は、非常に厳しい。考えても考えても打開策は見つからず、真夜中に目が覚めてしまった。 　眠れそうにな…

　今日は５歳になる息子と一緒に、初めての料理。 　息子は作り始める前からテンションは高め。さて、今日作るのは……。 ※『KAC2023 ～カクヨム・アニバーサリー・チャンピオン…

　父はプロ野球球団・なにわクラウンズの熱狂的なファン。週末にホームで試合があると絶対に応援へ行く。 　母と私を家に置いて、朝から一人だけ球場へ。父と一緒に遊びたい私は、寂しい思い…

　本屋の息子の圭一は、大学２年生。 　ある日、店主の父が雪透かしでぎっくり腰を発症してしまい、急遽店番をする事に。 　店を継ぐかどうか正直迷っている圭一の目から見た、街の本屋とは…

　石川県金沢市、ひがし茶屋街。ここ20年で観光地化が進み、特に新幹線が開通してからはその勢いが増しつつある。 　しかし、お茶屋の建物が密集する極一部の地域を除けば、ひがし茶屋街の…

　天正四年（西暦一五七六年）、五月七日。摂津国天王寺。 　石山本願寺攻めの拠点である天王寺砦に籠もる明智光秀以下三千の将兵が、本願寺勢一万五千の兵に囲まれ、絶体絶命の危機的状況。…

　15歳の誕生日から始めた、日記。 　25歳の誕生日。10年の月日を、日記を捲って振り返ってみることにした……。 ※『KAC2022 ～カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシ…

　慶長五年（西暦一六〇〇年）九月十四日、夜中。美濃・関ヶ原の北に構えた、石田三成本陣。 　島“左近”清興が訪ねてきたが、主君・石田三成は松尾山の小早川秀秋の陣へ行っているとのこと…

　プロ野球において、過去に主審へボールを渡す“ボールドッグ”を実験的に行った球団がある。 　その前例を知った千葉グレートキャッツのオーナーは、伸び悩む観客動員数の起爆剤を狙いチー…

　出勤中の電車内で、不意に悪阻が襲ってきた。 　内から込み上げてくる強烈な吐き気、ひどい倦怠感で立っているのも辛い。だが、出勤ラッシュ真っ只中というのもあり座席は埋まっている。席…

　藤堂高虎。 　戦国乱世において主君を変えること七度。その変わり身の早さから高虎を快く思わない者達から“風見鶏”と揶揄されていた。 　節操のない変節を繰り返していると思われがちだ…

　年度末で仕事も増加、今日も２時間の残業を強いられた俺。 　疲れた……帰って何食べよう。自炊派の俺ではあるけど、こんな日くらい楽がしたい。 　そんな中で訪れたスーパー。お店の前に…

　小学３年生の僕は、夏休みの宿題で初枝おばあちゃんに話を聞く事にした。 　初枝おばあちゃんが話してくれたのは、77年前のとある夜のお話でした……。 ※『KAC2022 ～カクヨ…

　とある家に、ほぼ笑わない赤ちゃんがいました。 　ずっとムスッとした顔をしているので、みんな「可愛げのない子どもだな」と思っていました。 　そんな赤ちゃんでしたが、なんと笑う時が…

　時価８億円のコインが忽然と消えた！ 容疑者は３名、怪しい人物はいるが決定的な証拠がない。 　そんな時、呼ばれてないのに現れたのは、影で“アホの子探偵”と呼ばれているミズキと助手…

　世界的な流行病の影響で、日常生活にも色々と制約を余儀なくされる昨今。 　そんな中でも、応援したい気持ちをちょっとした行動にしようと心がけている。ほんのちょっと、気持ちを添えて。…

　日本のプロサッカー１部リーグ、最終節。首位・帝都ロイヤルズと２位・オレンジロビン松山の首位攻防戦。 　両チームの勝ち点差は僅かに１。ホームのロイヤルズは引き分け以上で、アウェー…

　天正七年（西暦一五七九年）秋、“雑賀孫一”こと鈴木重秀は、供を連れて本拠である紀伊国・十ヶ郷の山で狩りをしていた。 　孫一が山の中を歩いていると、一匹の大きな猪を発見。失敗が許…

　６月第１週の土曜日。この日は金沢で年に一度開催される“金沢百万石まつり”のメインイベントである百万石行列が行われる。金沢市内の中心部は交通規制が行われ、武者行列や地元伝統の出し…

　金沢・ひがし茶屋街。兼六園・近江町市場と並び、金沢を代表する観光地の一つだ。 　大学合格を機に金沢で一人暮らしを始める事になった新田晴継は、春休みに新生活の下見も兼ねて観光で訪…

　就職を機に、故郷の大阪から東京に引っ越した俺。 　慣れない土地で一生懸命頑張り楽しんでいた中、とある感情がふと芽生えた。 ――あぁ、透き通ったおうどんが食べたい。 　ホーム…

　２０２１年９月某日。一通のメールがスマホに届いた。 　相手は、連絡先に登録していない知らない人。ただ、名前が私ではない。 　最初は無視しておこうと思った。でも、もう一度同じ相手…

　疲れた。しんどい。楽になりたい。 　精神的な病が理由で退職後、再就職を目指すも連戦連敗。実家暮らしなので衣食住は何とかなっているけど、無職で肩身が狭い。貯金も底をついてきた。 …

　午前中の外回りも終了。時刻は13時前。腹が、減った。 　さて、今日は何を食べようかな……。 ※KAC2021（カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2021）参加作品…

　元亀元年（西暦1570年）９月、畿内へ再び侵攻してきた三好三人衆勢を叩く為に出陣した信長だったが、それまで中立を保っていた石山本願寺が突如として反織田の旗幟を鮮明にした事で、状…

「……カノジョと喧嘩した」 　昼食の時、高校２年の拓海がテンション低めで友人の龍馬に漏らした。 　夏休みに告白して5ヶ月、彼女のアリサと小さな喧嘩が多かった。 　拓海曰く、今回で…

　異世界？ 転生？ チート？ ハーレム？ ラノベ？ 　人気ジャンルの要素一切ゼロ、当然ながらPV数は伸びない。正直な話、他の小説サイトの方がまだ反応がある。 　それでもカクヨムを…

　突如発生した、謎の伝染病。現代社会では“当たり前”となりつつあるスマートフォンが突如起動しなくなる奇々怪々な病で、恐ろしい事にこの病気は機械から機械に伝染するのだ。 　日本で最…

　冷蔵庫に保管していたショートケーキが、帰ってきたら忽然と消えていた。 　食べるのを楽しみにしていたのに、許せない……!! 必ず犯人を見つけ出してやる！ 　人が死なない、一滴の血…

　球界に、不思議な男が居る。 　武蔵武蔵（むさしたけぞう）、42歳。打率は一割を下回り、肩も衰えが顕著。とっくにクビを切られていてもおかしくないのに、途中出場ながら一軍の試合に出…

　天正11年、４月。羽柴秀吉の小姓・加藤清正は挙兵した織田信孝が籠もる岐阜城を目指していたが、大垣で足止めを食らっていた。 　妻を娶り、子どもの頃からの友が手弁当で仕えてくれてい…

　土曜日の朝。今日はお休みで、特に予定もなし。 　朝起きてから始めたのは――。 ※KAC2021（～カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2021）参加作品 　1回目お…