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ミッドサマー

 午前中は大学で勉強。食堂脇のテラスで一年生らしき子たちが語学の勉強をしていたのがいじらしくてちょっと泣ける。あの中国語のテキスト、使ったなあ。これっぽっちも頭に入らなくて先生に呆れられたのはもう2年前か、早いなあ。おばあさんみたいに感慨に耽ってしまう。
 午後はK先輩の家にお邪魔して『ミッドサマー』を観る。グロ・エロ描写があるらしく、劇場で見るのは気が引けたけれど、最近Netflixで公開されたらしいので折角ならということで観ることにした。
 感想としては、薄っぺらで申し訳ないが、文明の驕りは恐ろしいな、ということ。生贄に人を捧げること、処女を奪う儀式を行うことなど、「文明化」の過程でわたしたちが「残忍」で「残酷」だと切り捨て排除してきたものは、果たして本当に「非文明的」であったのか。殺される側の人権があるならば、殺す人間の人権は否定されて然るべきなのか。正直、映画の全てを理解できたとは全く思わない。なんで?と先輩と首を傾げながら見るシーンもたくさんあった。それに、主人公カップルのすれ違いの描写にあんなに尺を取る必要があったのかも微妙、台詞回しもちょっと陳腐な印象……と、気に食わないところも結構あった。
 それでも興味深い映画であったことに違いはない。彼女ら彼らを、奇妙で狂気的であると、理解できないから恐ろしいと、結論づけてしまうのは早計だ。彼女ら彼らから見てわたしたちは十分に狂気的であるかもしれない。その結論づけこそ驕りだ。

 帰りしな、強いお酒を飲んだせいか夜風が心地よくて、ちょっとだけマスクを外して、自転車を漕いでいた。そうしたら、どういうわけか知らないけれど、こんな詩のような短歌のようなものが浮かんできた。
 
  年老いた猫は死ぬので精一杯なので明日のはなしはしない

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