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没ネタを集めてみました。

 誰しもがあると思うんです。
 何かしら書いていて、やっぱりこれはお蔵入りだな……とか。
 没だな……とか。
 言わずもがな、私も勿論あります。今回はそんな没ネタ集を当時を振り返る小話とともにお届けします。それでは、どうぞ。

※没ネタのため、掲載するものはすべて未完となります。
※全ての作品に、仮タイトルすらついておりません。
※誤字・脱字等もあるかもしれませんが、書きかけのまま掲載します。
※いくつか、ありますがどどんと全部紹介します。それなりに長いです。

 まず一作目。こちらは、pixiv様にて開催されたさなコン2の時の没ネタになります。

 そうして人類は永遠の眠りについた。

 今年の流行語大賞が発表された瞬間、その場の誰もがスタンディングオベーションで惜しみない拍手を送った。他の対象候補とされていたワードの数々も、そのどれもが今年一年の代名詞と言っていいパワーワードばかりだった。
「よし、俺の勝ちだな」
 テーブルを挟んで向かいに座る彼を、不満そうに見つめる私はしぶしぶ財布を手繰りよせてから立ち上がる。
「仕方ないな……さっさと行くよ!」
 分かったーと言いつつ、なかなか重い腰を上げようとしない彼の背中を「いい加減にしろ!」とフライパンんで容赦なく引っぱたく。
「痛いなぁもう……」
「この程度痛いわけないでしょう」

 ……いや、痛いよ!(主に中の人の脳内が
 なんでこんな話を書いたかは……はっきり覚えていないんですが、なんで流行語大賞発表の場にフライパンなんて持参してるんですかね? よくセキュリティチェックで没収されなかったですね……開催場所がホテルで、厨房から盗んできたとかなんでしょうか……? 書いている私自身全くわかりません!(キリッ


 お次。こちらはさなコン3に出そうとしていた作品の没ネタになります。

「チャンスは残り三回です」どこか楽しげに声は告げた。
 受話器から聞こえてくる、その合成音声に苛立ちをを隠せないが、冷静になって考える。
 逆に言えば、だ。
「”チャンスは”ということは、チャンスを望まなければ、捨ててしまえば」
 続く言葉は、先の楽しげな声が引き継いだ。
「ええ。チャンスを捨てるのであれば、如何様にも。ただ、このチャンスを活かさずして私をどうにかできるとは思えませんねぇ」
 値踏みするようなその声音には、相変わらず緊張感がない。
 文字通り高みの見物なので、この後自身に降りかかる火の粉……どころではない、ファイヤーボールをどう払うのか。
 まぁこちらとしては、そっちの方が見物ではあるが。



 仕事を終え、自分の城……探偵事務所へと戻ると、ポストに1通の手紙が投函されていた。
 差出人の名前はなく、この探偵事務所の名前だけが書かれていた。
 この手の嫌がらせは、そう珍しいものではない。
 嘆息しながら、部屋のドアを開け室内へ。
 お気に入りのソファに腰かけてから、改めて手紙を検分する。ごく一般的な茶封筒。
 刃物等の危険物がないかを手触りでチェックしてから封を切る。
 中には、一通の手紙が同封されていた。内容は、後で事務所に電話を掛ける旨と、おそらく相手方のであろう、電話番号が記載されていた。
「ほう。これはこれは」


 これは、なんか探偵もの……ミステリー的な何かを書きたくてこんな話を書いたんですが、途中で展開に詰まってそのまま没になりました……。
 この下書きの下の方に
 ・朝、昼、晩
 ・食欲、睡眠欲、性欲
 ・偶然性×3つ
 ・人物像
 というメモが残っているんですが、果たしてこれで何を書こうとしていたんだ……? 偶然性を3つ消費するみたいな感じにしたかったのか、そして受話器の向こうの人物像を何やら設定を詰めようとして、挫折した感じが伺えますね……。



 お次。これもさなコン3の没ネタなんですが……詳細は↓に。

「チャンスは残り三回です」どこか楽しげに声は告げた。
「楽しんでる暇があるなら、少しでも楽なルートの開拓をお願い!」
 手元のデバイスを確認する。蛍光色で表示されたスクリーンに映る現在時刻は、深夜0時。
 多くの人々は眠りにつき、静寂が訪れる時間だ。
 そんな中、一人の少女にスポットライトが当てられる。
 黒と紺を基調とした制服に身を包み、リュックサックを背負いながら夜の街を疾走する。
 お気に入りのゆるキャラのストラップが風に揺られながらも、振り落とされないようにファスナーに括りつけられていた。
「未成年が深夜徘徊……スリル満点!」
「緊張感を持て、そんなこと言っている暇があるなら前を見ろ。ついでに後ろも見ろ。それからその角を左だ。安心しろ。死んだら骨くらいは拾ってやる」
 時計に内蔵されたスピーカーからナビゲーターの声が聞こえてくる。
 アドバイスを叱責でサンドして、彼女の逃走経路に的確な指示を出す彼女に、
「ねぇねぇ。全部終わったら、どうする?パンケーキ屋でも始めちゃう?」
 軽いノリで返したら、完全に沈黙してしまった。……まったく、冗談の通じない奴め。
 そう嘆息して、階段状に積み重なったパレットの上を駆け上がっていく。
 登り切った先には、『楽園』が広がっていた。その光景を眺めて、今すぐにでも焼け野原にしてやりたいと拳に力を込めていると、後ろからにぎやかな足音が向かってくる。
「私っていつの間に人気者になってたんだろう? まぁ日頃の行いの良さが実を結んだってことだよね。あー……こほん。順番にサインしてあげるから、ちゃんと1列に並んでね」
 誰に向けてのものか、可愛くウインクなどして見せる。すると即座に、
「ファンです! あなたのその能天気さにすごく憧れてます! 今、色紙は持ってなくて……このタブレットにデジタルサインをお願いします!」
 ディスプレイには、恥ずかし気に目線を反らし、タブレットの画面をこちらに向けてサインをせがんでいるナビゲーターの姿が。よく見ると、タブレットの画面には小さく、『これで満足か?』と書かれている。
「さっすが。では、さらさらさら~っと。はい、一丁上がり」
「……連絡はマメによこせよ。向こう側からだって通信は普通にできるんだから」
「オーケー。じゃあ一旦通信切るね。案内ありがとう」
 少女は目線を目の前に戻してから軽く頬を叩いて、目の前の追っ手にしっかりと向き合って。
「やあやあ、皆さんお揃いで。これから始まるのは、喜劇か笑劇か。はたまた惨劇か。いずれにせよ、最後までお楽しみいただければ幸いです」
 スカートの両端を軽くつまんで、足を交差させ軽く頭を下げるのだった。



「それでは、現地からお伝えします。長い間、ベールに包まれてきた
『ユートピア』がこの度完成したとのことで、今正面ゲートの前にいます」
 リポーターが熱く語る視線の先には、高い壁に覆われた建物があった。
 取材班と思しき複数のグループが一様にその瞬間を待っていた。
 現地から、数百メートル離れた小高い丘に立つ少女は相棒であるナビゲーターに声をかけた。
「どんなところなんだろうね……ユートピアって……って聞いてる?」
「聞いてるよ。私とあなたはペアだって。そんな当たり前のことを言われてもな」
「ユートペアじゃない。ユートピアだって。


 実はこれ、元々は長編を書こうと思って書き始めたんですが、先の展開につまり、そうこうしているうちにさなコン3が開催され、それ用に少し微調整して出そうと思ったのですが、やはり展開に躓いて没になりました。冒頭は割と気に入ってるんですけどね。こっからどうするよ……ってなりまして。

 これで最後になります。
「暑い」
「暑いねぇ」
 いやいやいや、そんな涼しい顔して言われても。私は、あまりにも現実離れしたこの猛暑の中、わずかばかりの風を受けて飄々としている彼に言う。
「あんただけそんな涼しい顔しているなんて、なんか許せない」
 少しだけムッとして、彼のブルーハワイのかき氷を強引に掬ってやる。これで少しでも涼を奪われてしまえ。
「許せないって言われてもなぁ……まぁ、暑い暑いって言ってるから暑いって感じるんじゃねぇの」
「だって暑いものは暑いんだもん!」
 そんな精神論では、私の暑さが拭えるか! と心の内でつぶやいて。もう一つの熱さを冷ます為にももう一掬い……と手を伸ばしたら、咄嗟にカップ毎引かれて、私は前のめりに突っ伏した。上向いたスプーンからブルーハワイのシロップが垂れてきて、指に青い筋を作る。
「……ケチ」
「ふっ。二度目を許すと思うか」
 いまだ顔をテーブルに押し付けたままの私にさらなる追い打ちをかける彼は、そこで一旦言葉を切ってから。
「そちらのいちごも、一掬い……いや、二掬いで手を打とう」
 その言葉に、にべもない。私はパッと顔を上げて自身のイチゴシロップと練乳がかかったかき氷を彼の前に献上する。
「どうぞ、お収めください」とばかりに、大仰に両手で差し出したので彼が盛大に笑っていた。

 これは、1000字ぴったりの小説をシリーズ化しようとしていた時の没ネタです。シリーズ化しようと思っていながら、結局一本しか書けていないのですが……。
 これも単純に、先の展開が……ってなったものです。彼女視点で、ただ彼氏といちゃついているだけの話を、この先どう転がすんだ……↑で550字程度あるのであと450で何を書くんだ……? となりまして。これに限って言えば、ここまでで作品として公開しても良いような気もしますが、まぁ……没ネタは没ネタということで。


 ということで、ここまで一挙に没ネタを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか? ちなみにこれと同じ位二次創作の没ネタもあります……。(ただ、二次創作に限っては、再び手を付ける可能性がある為、今後どこでも公開する予定はありません……)
 また没ネタが溜まってきたころに、こうやって放出して、当時を懐かしむのも面白いかもしれませんね。それではまた~ノシ


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