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「偽令嬢魔王」第七章完結

 桜の花が舞い散るような季節。一時は夏のような陽気に見舞われるも、まだ冷たい風も吹いてくる、そんな寒暖差の激しい時節。
 無事3月中の毎日更新を完遂し、偽令嬢魔王の第七章も完走となった。

 最終的に745,000字 / 246話となり、ぷらぎゃには2万字ほど足りないまま終えてしまったことがやや心残りではある。
 個人的には1,000,000字を越える作品を一本でも作りたいという願望もあるので、ぷらぎゃか、偽令嬢か、いずれかの続編を考えたいところ。

 さて。

 一応、偽令嬢魔王の本編を読破したことを前提として、ネタバレ全開で語るのだけれども、最終話は主人公の死で完結となった。

 第一話冒頭でも死に、最終話でも死ぬ。ある種の原点回帰的なこの展開は、なろう小説のメタファーでもある。死んで、生き返って、なんやかんやで活躍していく、テンプレお約束を意識しての展開のつもりでいる。

 聡明な読者がどのような解釈されるのかはさておいて、作者としては本作は狙いすぎなほどのパロディを強く意識しているところがあり、その上で徹底した逆張りを仕込んできている。

 もし読んでいて「いや、それは無理やりだろ」と思われていたら自分の技量不足なのだけれども、作中の主人公は一度死に、弱体化して生まれ変わっている。これがなろうのテンプレなら生まれ変わった時点でチートスキルを獲得して無双するところだ。

 だが、主人公の弱体化は留まることを知らず――というか作者がそのように意図していたのだが――物語が進むにつれて、何処までも弱くなっていく。身も心も等しく。

 終盤では才能のない人間レベル――なんて設定のくせして結構チートかましてる点には目を瞑るとして――にまで落ちており、最終的にはただの人間として死を受け入れる。

 まるで「ベンジャミン・バトン数奇な人生」みたいな逆張り展開を盛り込んで、その儚さを演出させている。

「そんなの後付けだろう」と言われたら言い返す言葉も証明する手立てがないのだけれども、この構想は割と早い段階で考えていて、具体的には2019年9月頃にプロットだけは用意してあった。

 勿論、当初は悪役令嬢だとか、追放ざまぁだとか、なんかパロディ推し推しの展開までは考えてすらいなかったが、「魔王が生まれ変わり、弱さを知る」物語はその実、予定調和だったりする。

 まだ当時は、ぷらぎゃも更新途中だったし、弱くなるだけの物語なんて面白みに欠けるからもう少し面白いネタが混ぜ込めるまで温めておくか、と保留していたわけだ。

 後に、SNSとかでなんやかんやあった結果、流行り物を容赦なしにぶち込んでやるか、と決意し、ようやくしてあの結末まで辿り着いた。
 実に長かったような気もするし、かなりの突貫工事のような気もするし、本当に当初の通りのオチでよかったのかも正直分からない。

 ともあれ、書きたいところまでは書ききったので、あとは誰かの評価を見て判断するとしよう。作者としての仕事はここまでだ。

 一人でも多くの読者の心を、ほんのちょっぴりでもいいから動かせたのなら、作者としては勝利としておこう。

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