何も考えずに最後まで読み進めると、何もかもが理解できないと思われる。
今回の作品は、かの有名なロナルド・ノックスが定めたとされる推理小説のお約束事である十のルール、通称「ノックスの十戒」を一つ破った、ミステリー小説の皮を被る何かだ。
推理できる要素はあるが、答えは提示しない。
あえて読者に問うならば、作中の真実は何だったのか。それに限る。
このような作品をミステリーというジャンルで出していいものか、甚だ疑問ではあるが、読者が一ミリでも頭をひねってくれたらとりあえず嬉しい、くらいで留める。
読み直してみて改めて思うが、やはり自分の書く作品というのは不親切さがハンパないように思う。もう少し分かりやすい表現の仕方が思いつかないものだろうか。
推理小説の難しいところは、読者に読ませるところにあると思う。ただ、どうにも「The推理もの」となると、予め用意された答えを、ただ紹介していく、流れ作業のような作品が最近多くなってきたような気がしてならない。
多分これは自分が触れている範囲の推理ものというジャンルが偏っているからそう感じるだけなのかもしれない。
だからあえて、答えを提示しない推理ものっていうのはどうなんだろう。真実は読者に考えさせる。まるで悪質なクイズゲーム。もしかしたら意図した答えとは違うものが正解になりうるかもしれない。
もし「ズバリ、答えはこういうことでしょう?」と全く考えてもいなかった推理が飛び出してこようものなら、あまつさえ、全て筋が通った推理だったりしたならば、果たして自分はソレに「不正解」と答えられるのだろうか。
今のところ、かなり温めている推理ものの中に今回のような答えを提示しない類の作品があったりするわけだが、邪道を邪道と言い張れる度胸が身につくまで今しばらくはお蔵入りのままになりそうだ。
まあ、何にせよ、それはさておいて、一先ず今回で達成したことが一つ。
このカクヨムに投稿できる十個のジャンル全てを網羅できた。単発の短編ばかり投げておいて、随分こじつけ臭いやり口だが、当初の目標が達成したことには変わりない、と解釈する。
さて、次の目標を早く定めなければ。