これを読んでいる読者はRPGツクールというものをご存知だろうか。おおまかな詳細は省くが、名前の通り誰でもRPGを作成できるツールである。ロングセラーで多くのシリーズが出ている。
筆者もいくらか持っていて、徹夜でゲームを作っていたこともある。未だに触れることもある。ただし、いずれもろくでもない作品だし、そもそもカクヨムの方針から大きく外れるので、ここでは紹介を割愛する。
このRPGツクールなのだが、前述の通り、徹夜するほど、寝落ちするほどに結構頑張って作ったりもしていたので、夢の中でもRPGツクールが出てくることもしばしばある。勿論、今でもだ。
今回投稿した作品は、実体験というものではないが、昔見たRPGツクールに関わる夢がベースになっている。無論、眠る方の夢だ。
ゲームを作っていると、何処かでその世界の住人に愛着が沸くときっていうのはあると思うんだが、その実、扱いって結構雑なわけだ。必要な存在もあれば、全く要らない飾りみたいな存在もあり、それはまちまち。
特にRPGツクールは素人でもサクサクっと作れてしまうところがあり、そういう無駄が多くできてしまったりもよくある。
昔の、それこそピコピコいってた時代のゲームなんかは容量の都合で楽曲を使いまわしたり、グラフィックを使いまわしたり、ボスの存在を削ったり、ダンジョンそのものを削ったり、節約の世界だったらしい。
らしい、というのはまあ、その時代では作る側でもなかったし、今でも個人の範疇でしかゲームを作っていないので諸事情は詳しくまでは把握していない。
何にせよ、今の時代じゃ、素材だって転がってるし、何十メガだかギガバイト積んだって金が掛かるわけでもない。個人で製作する範囲に制約なんてものはあって、ないようなもんだ。
だから、どんどん増えていくんだ。無駄なイベントやらキャラやらそういったものがわんさかと。贅沢もいいところだ。
だけど、自分も結構な作品を作ってきていて、気になるようになってきていた。勿体ない精神とはまた違うんだろうけど、無駄なものが増えるっていうのが何か違うんじゃないかって思うようになっていた。
そのせいかどうかは自分でも分かっていないが、極力、必要最低限ってヤツを心がけるようになっていた。制約なんてないのだから根本的に意味のないことなのだが、ゲームをザックリ整理するような癖をつけていた。
これって、本当に必要なのかな、って。
これって、本当に無駄なのかな、って。
そういう心境のときに見た、素朴な夢の話。
作ってる最中は、まあ、黙々と作ってるからそんな深くまでは気にしていないつもりではあったんだけど、夢に出ちゃったわけだ。
自分はゲーム世界の中に居て、現在進行形で動いているプレイヤーや、村人のセリフを確認するデバッガーとして、自在に動き回っていた。やろうと思えば、目の前に突然宝箱やらモンスターも設置できてしまう。
ディスプレイの向こうから見ている世界とは違う世界だったが、無意識ながらもこんな世界を妄想して自分はゲームを作っていたんだろうな。だって、そうでもなきゃ夢の中に出るわけがない。
夢の中で見る、ゲームの世界ってのは、本当にシュールなもので、全部自分の思い通りになるものだから、「お? 強そうなモンスターが出てきたな」とか思っても「ここには合わないから消しちゃお」ってポンと消せる。
言ってみれば神様になっているわけだけれども、どうも難しいという気分で一杯なんだ。夢の中の自分。思い通りにしているのに、思い通りにならない。そんなよく分からない気分。
作中のような、理由付けをひたすら考え続けていた。
こいつは村の名前を教えてくれるから必要なんだ。しかし、それだけでは物足りないからイベントを付け加えるべきか?
こいつは必要だったか不要だったか。さっき消したヤツは消さなくてもよかったのでは。もっと活用できるはず。どういう役割にしよう。そんな試行錯誤の繰り返し。
それで、最終的にあることに気付くんだ。
自分は、何のためにこんなことをしているんだろうな、って。
その疑問を今回は作品に叩きつけてみた次第だ。