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インタビューを読んで

 本日カクヨムトップページにお知らせがきていた逢坂冬馬さんという方のインタビューを読んで(なげー、と思ったので摘み読みでしたけど)、いろいろ思ったことがありました。僕とかなり境遇が似ていて、カクヨム利用者にもこういう人がいるんだなあと安心しました。

 僕がWebに自分の小説を投稿しようと考えたのは、公募だと受賞しなければそれっきり、何の糧にもならないと考えたからです。
 投稿サイトからコンテストに応募すれば、結果はどうあれ、何人か読んでくれる方がいて、反応を返してくれたりすることがあります(たとえ読者が0人だったしても、少なくとも自分の作風だと読まれないんだという事実を知ることができる)。

 僕はライトノベルというものをほぼ読んだことがないし、これはライトノベルですというものを書いたこともありません(小説の専門学校に通った時、僕以外のほぼ全員がライトノベル作家志望だったのでびっくりした。僕は学校に通って初めてライトノベルというものが世の中に存在するということを知ったぐらいだった)。
 そういう出自なので、Web小説には合わない作風かもしれませんが、それでもやっぱりただただ賞に応募して何の反応も得られない生活を続けるよりはいいと思ったんですね。

 そして実際、僕はカクヨムという投稿サイトを利用したことでいろんなことを知ることができ、自分にとって大きな実りもありました。
 その一つが、『殺戮のダークファイア』という作品を書けたことですね。

『殺戮のダークファイア』は、第6回のカクヨムコンの「どんでん返し部門」宛てに書き下ろしました。当時、僕はスマホ版の『OCTOPATH TRAVELER』というゲームをプレイしていて、ストーリーがすごく面白いなあと思っていたんですよね。ファンタジーなんだけど、(言い方悪いけど)人が次々死んでいく大人向けのストーリーで、こういうのもありかなあと思って自分でもダークな作品を書いてみることにしたんです。

 結果的に、『殺戮のダークファイア』を書けたことは自分の中ですごく大きな手応えとなりました。自分で、面白いと思いました。初めてどこに出しても恥ずかしくない小説を書けたような気がしました。自分の書き手としての方向性が少し見えた気がしました。読んでくれた方々から多くの反応をいただけたことも大きな自信に繋がりました。たぶん、カクヨムを利用していなかったらこの作品は生まれていません。自分の書けるもの、そしてどういうものが求められているかなど、いろいろなことを考えて執筆した作品でした。

 その後、『銀翼の絆』というまったく方向性の違う作品も書くことができましたが、それは先に『殺戮のダークファイア』を書けた自信があったから書けたところがあります。
 そして、自分のポジションは一般文芸でもライトノベルでもなく、中間のライト文芸のラインが向いているような気がして、去年からライト文芸を意識して作品を書くようになりました。これもカクヨムをやっていたから気づけたことですね。

 と、長々自分のことについて語ってきてしまいましたが、逢坂さんのインタビューはカクヨム利用者にとって非常に興味深い記事だと思うので、まだの方は読まれるといいかもしれません。

 それとインタビューを読んでもう一つ思ったのが、もし僕がそういうインタビューを受けたら絶対もっとふざけた受け答えをするぞ、ということです。僕は新人賞を受賞した小説家の受賞コメントなどを見て、「真面目か!?」と思っちゃうタイプなんで。もし僕だったら、「自分が受賞するのは当然だと思っていました」とか言っちゃいそうです(本当に思っていたかどうかは別にして)。僕は1対1の場面では謙虚に誠実に、公の場では「悪どく大胆に」を心がけている人間です。小説家って、読む人を楽しませる職業ですよね? せっかくのチャンスを逃してどうすんだ、と思ってしまう。『笑葬』に出てきたおじいちゃんだったら絶対そうするでしょう。

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