『龍に至る道』のメモ代わりの登場人物紹介です。第1章『アウロラ』に関してとなります。適宜更新。
アウロラ
〈私生児の乳母〉。第1章のメインPOV(主観視点)。
帝都出身の人間の女性。25歳。瞳は緑色。髪の色は栗色。髪は動きやすいように結って纏めている。たいていはエプロン付きのワンピースのようなものを着ている。背は低い。童顔。左目に眼帯を付けている(眼球がない)。
アグナルの乳母だが、赤子の世話係という意味での乳母。経産婦ではない。
元、剣闘奴隷だが、剣闘試合で隻眼になり、戦うことが難しくなっていたときにアグナルの母親に拾われて乳母となる。アグナルの母が死んでからは後見人ということになっており、アグナルの世話を焼いている。料理が好き。
10年以上剣闘試合からは離れているため、かなり弱くなっている。アグナルのことを歳の離れた弟のように思っている。彼の姉のミアのことが苦手。帝都騎士団のジリーに好意を抱いているが、特に深い仲ではない。
アグナル
〈龍王の私生児〉。POV。
帝都出身の人間の男性。11歳。瞳は赤銅色。髪の色は金。男性にしてはやや長め。服はアウロラに選んでもらっている。同年代と比較すると背は低く、痩せている。一人称は「わたし」だが、心の中では「ぼく」になる。
帝都を治める龍王ラーセンの私生児。父親には見放されていて、ほとんど喋ったことはなく、尊敬はしてはいるものの苦手意識のようなものを抱いている。腹違いの姉ミアのことは好いている。母親とは幼い頃に死別している。現在はアウロラが唯一の家族。
王位継承権は(基本的には)ないため、玉座への関心はまったくない。しかし次に玉座に座るミアの騎士になろうとしており、同年代の友人であるミーナとともに帝都騎士団のジリーなどに剣術や兵法を習っている。
クマ
〈隻腕の人狼〉。POV。
東方出身の人狼の女性。19歳。瞳は金色。髪の色は黒で長い。帝都に来てからはアグナルの母親が着ていた服を着ている。豊満な体付きで、年齢よりは大人びて見える。一人称は「おれ」。右腕の肘から先がない隻腕。名前の意味はそのまま「熊」。
皇都の暗殺者。元は改宗者という立場で、実質的な奴隷。幼い頃、東方から無理矢理連れてこられた。娘がおり、皇都の上層部に人質に取られている。ラーセンを暗殺すれば解放されることになっていた。
使い捨ての暗殺者としての張り詰めた人生を送ってきたため、反動で基本的には怠惰な性格。何もなければ日向で寝ている。アウロラのことは「五月蝿い女だ」とは思っているが、嫌いというわけではない。
ラーセン
〈龍王〉。
帝都出身の人間の男性。40代。瞳は青。髪の色は金。髭も金。下の毛も金。むさくるしい。筋骨隆々とした大男。
帝都を治める王。帝都は世襲制だが、前王を無理矢理追い落として玉座に着いた。指導者となるや否や戦にも治世にも比類なき才能を発揮し、富国強兵軍備拡大に努め、彼が王となってからの戦略的敗北は一切存在しない。戦場では得物を選ばずに武器を振り回す勇猛果敢な戦士となるため、部下たちは仕方なくそのあとをついていく。豪放磊落な性格。女好きで酒好きだが、かつて毒を飲まされた経験から、酒は安全だと判断したものしか飲まない。子どもは多いが、存命している者は少ない。
彼の率いる軍が〈半島〉の三都が一角である皇都を攻めようとしたときから、物語は始まる。
ジリー
〈人狼の騎士〉。POV。
東方出身の人狼の男性。20代。瞳の色は赤。黒髪の単発。痩身で背が高く、手足も長い。細身だが非常に筋肉質で、張り詰めた鉄の糸のような肉体。治安維持隊の制服を着ていることが多い。独身。耳がよく動く。
帝都騎士団第2隊(治安維持隊)の隊長。彼より若い隊長格は存在しておらず、非常に優秀な存在。彼が隊長の任に就いてから、特に剣闘奴隷に関する被害が減った。
元、剣闘奴隷だが、才能を見出されて騎士団に取り上げられたという経歴を持つ。「傷を負ったことがない」と言われるほどの華麗な剣技を持つが、実際には傷を負ったことがないわけではない。
面倒見が良い性格で、アグナルやミーナに頼まれ、剣術や戦術、戦略に関する講義を行なっている。クマと同じく東方出身だが、文化が少し違う場所であろう、と名前から推測される。彼の住んでいた場所では人狼ではなく「人虎」に相当する呼ばれ方だった。本名は梓睿(ジルイ)。
ミア
〈王の娘〉。POV。本作の主人公。
帝都出身の人間の女性。10代。瞳の色は青と緑。ウェーブした長い金髪。さほど豪奢ではない、機能性を優先したドレス姿。杖をついているが、駆けたり跳んだりはしないので足が悪いのかどうかは不明。
龍王ラーセンの娘(帝都ではあまり「姫」に相当する呼称は使われない)。一年前に帝都の王位継承候補第一位となったが、女性での継承記録はないため、玉座の継承が危ぶまれている。父親とはやや距離感がある一方で、腹違いの弟であるアグナルのことは憎からず思っている。しかしアグナルが私生児であり、ミアは王の娘という立場であるため、接し方がいまいちよくわかっていない。
ミーナ
〈騎士に憧れる少女〉。
帝都出身の人間の女性。12歳。瞳は焦げ茶色、髪の色は赤。ポニーテールに結っている。動きやすい恰好をしているため、少年のようにも見える。本名はヴィルヘルミーナ。
父親が元、帝都騎士団第1隊(王直属の護衛)だったが死亡している。父のような騎士になるのが夢で、アグナルとともにジリーから教えを請うている。性差と年齢差のぶんだけミーナのほうが強い。
ティリル
〈亜麻色の修道女〉。20歳前後。女性。
亜麻色の長い髪は基本的に頭巾の中に纏めている。目の色は薄い青。
帝都中央の教会の責任者。主権を握っている皇都、学問と連携しているためにある程度の影響力がある学都と比べると、帝都の教会は非常に力が弱い。先代は病で退き、彼女が帝都中央教会のトップであるが、だからといって何か役職があるというわけではない。そもそも信者や(宗教的な)実務的な活動はほとんどなく、寄付院や孤児院としての機能が主。
基本的に見た目通りの穏やかな性格だが、善性と同時に悪性を信じており、自分の考え方に固執しがち。
ヒェテイル
〈簒奪の扇動者〉。40代。男性。
額を出した脂の乗った黒髪。少し生え際は後退しているが、髪は薄いというほどではない。顔が四角い。目の色は焦げ茶。顔の四角さ以外は平均的な体格。
女性であるミアが王位を継ぐことに反対している貴族。帝都では女性も帝位を継げることになっているが、その優先順位は低いうえ、実例もほとんどない。ヒェテイルはそれを背景に「私生児ではあるがアグナルが帝位継承すべきだ」と主張している。だがその思考はその主張ほど単純ではない。
ねっとりとした喋り方をする。知識がない人間や彼を嫌う人間からは己の思想に執着する薄っぺらで愚かな狂信者に見えるが、深く知り合ってくると得体の知れない人物に見える、どちらにしろ危険な男。商売人。
エッダ
〈龍の娼婦〉。
アグナルの母親でアウロラの雇い主。故人。
ファヴニル
〈火龍〉。
帝王ラーセンを喰らい、皇都の暗殺者クマを帝都まで連れてきた龍。北方の到達不能山脈からやってきた。空を飛び、火を吐く龍。体表はワインレッド。目の色は青。金色の鬣と顎髭が生えている。