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あとがき『愛に手向ける藍の結晶』

そろそろ恒例と言っていい感じになってきた、短編投稿後のあとがきです。

『愛に手向ける藍の結晶』
https://kakuyomu.jp/works/16818093078700982751

本作は約5000文字の短編ですが、短いなりに語りたいことが多い作品なんですよね。

そのため、きっと長くなります。投稿直後に書いたあとがきはちょっと冷静さを欠いていたので、書き直しているんですが、それでも長めになるかもしれません。

まあ、緩い裏話として読んでいただけると幸いです。

6月に入ってから、相互フォロワー様の自主企画に参加するために何かネタがないかと、考えていました。

そんなとき、目の中に短いまつげか眉毛かが入ってしまって、夜中2時過ぎに目を水道水で洗っていたんです。痛いねえ、目薬差さなきゃねえと思ってたところ、あることを思い出しました。

「そういや昔、この家に幽霊出たな」

僕は訳があって一人暮らしから実家暮らしに出戻りしていますが、子供の頃に実家のマンションで幽霊が出たことを突然思い出したんですよね。なぜかはわかりません。丑三つ時だからかなあ。

寝ていると髪の毛を引っ張ってくる幽霊、夜中に何度もシャワーを出す幽霊、天井からじっと見てくるだけの幽霊。

最後に関しては、単に天井の模様がそう見えていただけ説が濃厚ですが、残り二つに関しては本当に謎です。全員寝ているのに、何度シャワーを止めても流れるんですよ。

説教したら止まりました。髪の毛引っ張るのも、説教したら止まりました。なんだったんだろうね、まじでね。

それを思い出して、「そうだ、幽霊とのラブストーリー書こう」と思ったんです。

ただ、自主企画のレギュレーションに「制服」がありました。よくよく確認すると、制服と言っても結構広範囲に考えてよさそうだったので、お仕事系で考えたんです。

そうこうしているうちに、脳内ではストーリーが固まっていきます。

幽霊とのラブストーリーなら、どういったストーリーがふさわしいか、どういうストーリーを書きたいかを突き詰めていった結果、幽霊のヒロインに男性が生気を搾り取られる話ということになったんです。

続いて登場人物二人の設定を固めていくと、自然と「ホテルマンがいいな」ということになりました。

作中でも書いている通り、ホテルマンの制服というのはお客様へのホスピタリティの象徴だと思うんです。あのパリッとしたフォーマルな制服に身を包んだ人を見ると、なんだか安心するんですよね。

ああ歓迎されているんだ、と。

ホテルマンに限らず、執事などもそうだと思いますが、より身近な存在と考えるとホテルマン一択でした。

ストーリーに関しては、まあ割と重めではありますが、幽霊をテーマに選んだ時点でこういう決着になるのは僕のなかでは決まっていたことです。幽霊というのはそう都合良く生者に対して仕えたりしないだろうという考えが僕のなかにあります。

だから、単に元人間の人外とのイチャラブにしたくなかったんです。

ただ、今回は幽霊である愛ちゃんの思い人に取り憑いたので、死の運命から逃れるという選択肢を藍さんに与えています。

とはいえ、それも愛ちゃんのわがままです。藍さんは、心のどこかで死を求めています。最終的には愛ちゃんはそれを察して、死期が来る前に藍さんを吸い殺すことにしましたが、基本的には愛ちゃんのわがまま。

そこに、藍さんへの想いが乗っかっているというイメージです。

愛ちゃんの「せめて最期くらいは気持ちよく良い想いをして死んでほしい」というのも、結局のところは彼女の願望。

藍さんがどうされたいのかをすり合わせたわけじゃないですからね。

藍さんが愛ちゃんを押し倒したときにはじめて、愛ちゃんは自己中心的な藍さんへの愛情から来る行為ではなく、本当の意味での藍さんの望みを叶えるということをやったんです。

また、本作のラストは最初は、違うものを予定していました。

吸い殺した後に、亡骸にキスして終わりというラストを考えていたんです。

まあ、僕の考えそうなことだなあと思います。なんかね、隙あらばビターな終わり方にしようとする自分がいるんですよ。

ただ、本作の場合は、それは相応しくないなと。キャラクターのことを考えたときに、藍さんがあのまま成仏するという未来が見えませんでした。

「この人ここで素直に成仏するわけなくない?」
「愛ちゃんもまだ成仏できないよね?」

そういうわけで、幽霊同士になって結ばれるという終わり方になったんですよね。

人によってバッドかハッピーか意見が割れそうなメリーバッドエンドかもしれませんが、僕はハッピーエンドだと思っています。

とはいえ、好きに受け取っていただくのが僕としては一番嬉しいです。裏話書いておいて言うことじゃないかもしれませんが。

本作は、書いているときは結構難しい顔をしていたと思います。ポメラを使って布団の上で、寝転がったり壁にもたれかかって座ったり体勢をコロコロ変えながら、百面相で書いていました。

幽霊話を書くうえで避けられない死や死生観というのが、書くときに百面相になった理由です。

難しいね!

なんか、短編のあとがき、「難しいね!」って毎回書いてる気がします。そんなことないかもしれませんが。

そういうわけで、本作のあとがきはこれくらいで終わりにしておきます。これ以上語ると、キリがなくなるので……。

キャラクターの名前の話やタイトルの話などは、本当に好きなようにお受け取りいただければと思います。今回は名付けの元ネタや、タイトルが手向けると来ておいてなぜ「藍の花」じゃなく「結晶」なのかなどについては、敢えて語らないことにしましょう。

本作『愛に手向ける藍の結晶』を読んでいただいたすべての方、本あとがきを読んでいただいた方には、本当に感謝しかありません。

最後になりましたが、御礼申し上げます。

ありがとうございます!

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