「煙草」という短編を書きました。
自分の書いた小説の背景を、説明するのは好きではないですし、とても恥ずかしいのですが、もしかしたら同じようなものを幾つも書くかもしれないので、一度だけ言い訳めいた説明を書いてみようと思いました。
この「煙草」のタカハシさんのモデルは、わたしの恩人です。
タカハシのおじさんとわたしは呼んでいて、あまり明るくない幼児時代に、ぽっと灯った明かりのようなひとでした。
彼が亡くなったのがいつなのか、わたしにはわかりません。
親の都合で引っ越しを繰り返し、小学校高学年にずいぶんと久しぶりに親に連れられてタカハシさんの家に行ったとき。
彼はすでに亡くなっていました。
喪失感は親族をなくしたよりも深く、自分でもおかしいくらい。
数年かけてどうにか落ち着いたころから、いつかタカハシさんのことを小説に書きたいと思い続けてきました。
そうしてようやく、ひとつぽろりと落ちたもの。
まったく自己満足の短編ですが、これが今のわたしの精一杯。
書こうとすると気持ちがいまだに波立ってまとまらなくて。
いつか、いつか。
タカハシさんへの思いと感謝を、余すことなく書きたい。
いつか。
再びタカハシさんの出てくるものがアップされたとき、ああ、またチャレンジしたんだなぁと、見守ってくださる方がいたら、とっても有難く思います。