下記はあるパソコン雑誌に載っていた、怪談とされる話である。
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ある男性が山で遭難し、春まだ浅い頃発見された。冬登山で一人山に入り、吹雪になってから行方が途絶えていた人物だった。
そこで捜索隊は、遺留品から彼のメモ帳を見つけた。
それには彼が遭難してからの様子が綴られていた。
【 ●月×日
吹雪が強くなって来た。一応予備の防寒具は持って来たが寒さが半端じゃない
とにかく吹雪が収まるまで、この簡単なカマクラでやり過ごすしかない
どうも吹雪が止みそうにない。本当に寒い。家族は遭難届を出してくれたかな
登山ルート計画書をちゃんと出して来れば良かった 】
などなど…………
それから長く続く吹雪に、ひたすら救助を待ちながら寒さに耐え忍ぶ呟きが延々と綴られていく。
しかし寒さのためか、次第に文字や言葉さえ乱れていく。
最後には何が書いてあるのか分からないくらい象形文字と化していた。
…………と、
しばらく白紙のページが続いていたが、最後のページに再び書き込みがあった。
やはり手がかじかんでいるのか、始めの手記とは異なる筆跡でこう書かれていた。
【 お父さん お母さん ほんとうにごめんなさい
そうしてここまで育ててくれて ありがとうございました
たのまれたので かきました 】
捜索隊は最後の一行を切り取って、遺族に渡した。
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もうその雑誌は手元に無く、記憶で書いているので詳細は異なると思うが、覚えている限り最後の一行はそのままのはずだ。
さて、上記の話を読んで皆さまはどう感じられただろうか?
『 ゾッとした 』
『 可哀想 』
『 やっぱり山は怖い 』
私はつい、いい話だと思ってしまった。
いや、もちろん本人やそのご両親は本当に気の毒だとは思うし、助かってくれるのが一番なのだが、せめて最後の言葉を残したいという気持ちに、ナニカが力を貸したというポイントについ『イイネ』を感じてしまった。
―― やっぱり私はちょっとズレているのだろうか。
最後の一行に、怖いよりも『いい話』とつい思ってしまったそこの貴方!
我がちょっとズレた日々のエッセイ
『ちょっぴり奇妙……❓な日々是々 』 が、お勧めですえ(●´∀`)/
https://kakuyomu.jp/works/16817139559020228200 ガチ宣伝でした(笑)