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三国志・中島敦・俳句など

・きのうは俳句を二つ作ったが、選外。これで今年はおしまいかな。

https://kakuyomu.jp/works/16818093077683285321/episodes/16818093079014588346

〇八十五 野球に飽きる おばあかな
 中日ドラゴンズがなかなか勝たないので、業を煮やしたのだろうか。

〇眠れぬ夜 575が 我救う
 PS2のドラクエ5を遊び始めたのだが、最初の洞窟の場所がわからずに苦労した。やはり、3Dマップは苦手である。
 3Dに酔って、夜眠れなかったので、俳句を考えていた。寝付けない夜に俳句はうってつけかもしれないと思いつつ、逆に目が醒めてしまうかもしれないとも思う。


・読書は人並にしてきたつもりだが、世上に評判の高い作品で趣味に合わない作品がけっこうある。
 筆頭は夏目漱石の「こころ」である。これは、けっこう同意してくれる人がいるのでまあいい。
 問題は、中島敦である。最初に読んだとき、文章も内容もよさがよくわからなかった。
 文章のほうは、前にも何回か書いた話だが、旧かなで読んだら、そのすごさがわかった。これは、太宰治や志賀直哉にも言える話である。新かなで読んで、「富岳百景」や「城の崎にて」を名文とおだてる人を私は疑ってかかっている。
 中島敦の問題は、その内容にある。「山月記」も「李陵」もピンとこない。小説を、とくに歴史小説を自分で書いていながら、おもしろさがよくわからない。なぜ、だろうか。
 ただ、「名人伝」は別で、あれは単純におもしろい。おすすめ。青空文庫に入っている。短いのですぐに読める。


・亜咲加奈さんの三国志(歴史)に関するエッセイを2作読んだ。

もう三国志なんて書かない(「評価されたければ曹魏だけは書くな」)
https://kakuyomu.jp/works/16818093076339773954/episodes/16818093076339857589

歴史ものを書きたいな~ファンタジーにも使えるかもしれない創作論
https://kakuyomu.jp/works/16818093079372453547/episodes/16818093079372695374

 転生などがない、純粋な歴史小説が読まれにくいという話だが、たしかにそれはあると思う。また、歴史小説を書くうえでの苦労についても、自分のストレスを思い出して、同意する部分が多かった。
 私も架空の歴史書である「スラザーラ内乱記注解」を書いている。ただ、スラ内は、転生などのない歴史ものとしては読まれた気がする。そこには幾ばくかの自負がある。どこがよかったのかと考えてみると、オリジナリティーがあったからだろうか。
 亜咲さんは三国志もので評価されたいのならば、曹魏はやめて、蜀漢を書くことを勧めているが、それは、まあ、その通りであろう。
 ここで、私の三国志のスタンスを書いておくと、まず、三国志との出会いは、小学生のとき、演技を読んだのがはじまりである。
 そこで、私は劉備という人物の造形に非常な不快感を持った。こんな人間についていく連中が本当にいたのかと。それですこし三国志ぎらいになったのだが、それを矯正してくれたのが、陳舜臣の「秘本三国志」である。主人公は曹操だった。この中の劉備は乱世の英雄然としていて格好よかった。
 そのあと、正史三国志を読んで、私は蜀漢びいきになった。いちばん好きな人物は劉備である。彼は祖先である劉邦のように柄が大きくてよい。
 そんな私のバイブルは、高島俊男の「三国志きらめく群像」。曹操と丁夫人の別れのシーン、曹操と毛沢東の比較(両者とも英雄であると同時に、中国史に残る詩人)などなど、読みどころがたくさんある。お暇なら、一読あれ。


 ではでは。ゲリラ豪雨にご注意を。

9件のコメント

  • ・杜若さん

    こんにちは!
    勉強になりました。参考にさせてもらいます。
    私の中で中島の評価があまり高くないのは、高島俊男の評価に引きずられているところがあるからかもしれません。いけないことですね。
    ではでは〜。
  • こんにちは。

    馴染みがないのですが、短いということで「山月記」と「名人伝」を読んでみました。
    まず、「名人伝」を青切さんがおもしろいとおっしゃるのがとてもしっくりきました。青切さんの文章をいくらか読んだことがある人は皆分かった気になるのではないでしょうか、と思ったり……。
    「山月記」の方は、なんだか「小僧の神様」みたいな読後感でした。つまり、僕は白樺派っぽさを感じたのかも知れません。「名人伝」よりも、こちらは「気持ち」を描こうとしているように見えました。で、退屈せずに読ませているフックは「虎」であることではないかと思います。そこに読者として引っかかれるかどうかじゃないかという気もします。歴史小説に馴染みのない僕のような者の方が「わあ、虎かあ」となるかも知れないですね。
  • ・森下さん

    こんにちは!

     言われてみるとなるほどと思うコメントでした。 たしかに「気持ち」は書きませんものね、私。書けないし、書きたいともあまり思いません。星新一の影響かな。
     でも、「小僧の神様」は好きですけどね(笑)。

     虎。そうなんですよ、まったく引っかからない(笑)。うーん、よくわからんというのが正直な感想です。
     でも、とても評価が高くて、無数のパロディがあるし、後世に大きな影響をあたえているんですよね、山月記。
     学のない人間にはわからんのかな。

     ゲリラ豪雨にみまわれる地域もあるそうです。森下さんのお住まいがそうなら、お気をつけください。ではでは〜。お便りありがとうございました!
  • 「山月記」

    教科書で読んだ名作ですね。
    あれは、十代のころ、とくに一部マセガキのひねくれて舞い上がって(思春期にはよくあることで、あたたかく見守る理解者がいればいいんですが)、そのせいで闇落ちする、そんなこともあるんだよ、そうならないように気をつけたほうがいいよって、そういうおはなしですよね。
    じつは、そこらへんの良さが染みて分かったのは大人になってからです。あれを、授業で読んですぐ自分のものにできた(いいとこ吸収して栄養にできた)人はえらいなあと、思います。
  • ・小山さん

    こんにちは!

    なんとなく、山月記のもつ意味がすこしわかったコメントでした。李徴という人物に多少の親近感を持つからこその、同族嫌悪があるのかもしれません。

    ではでは〜。
  • こんにちは。

    私の初めての三国志は、本宮ひろ志先生の『天地を喰らう !』でした。

    そう、アレを読んだせいで、最後には劉備が勝つと思っていましたね。

    成人してから、横山光輝先生の三国志(60巻)を大人買いして読んで……ショックを受けました。

    しばらくしてから、蒼天航路を読んで曹操が好きに成ったのは、我ながら影響されやすいと思い知りました(笑)
  • ・るしあんさん

    こんにちは!

    いいですよね。「天地を喰らう!」。もう少しで劉備が勝ったのに。惜しい!
    ゲームもおもしろかったです。本宮先生では赤龍王も好きですけど。

    国交がなく、資料が手に入らなかった中で、三国志を描ききった横山先生には頭が下がります。横山先生はチンギス・ハーンが名作です。

    蒼天航路。きのうから読み直しています。原作者が途中で亡くなったのが残念でしかたないです。王欣太先生は達人伝も読みごたえがあります。

    長々と失礼しました。ではでは〜。
  • 拙作に言及くださいまして、誠にありがとうございました。
    劉備ほど、造形の難しい人物はそういないと、個人的には思っております。
  • ・亜咲さん

    こんばんは!

    劉邦と劉備は人間の柄が大きいですよね。そこが魅力です。本邦では足利尊氏でしょうか。不思議な魅力がある。

    ではでは〜。
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