読者様から頂いた応援コメントを読ませて頂きながら、「すでに完結した作品との関連性に気づいて下さったんだ!」と嬉しくなる時があります。


「ディーネ」という名前について、『懐かしい名前です。ロスタルの妹ですよね』との嬉しいコメントを頂きました。

前作「最果ての、その先に」に登場したディーネは、妖魔と人間の女性の間に生まれた『罪戯れ』でした。月色の髪を持つディーネは、愛する人を救うために妖魔「ヤムリカ」に身体を譲り渡し、人の子としての生を終えました。ヤムリカは腰から下は虹色の鱗に覆われた蛇の姿ですが、真珠色の翼を持つ美しい妖魔です。

本作「静寂(しじま)の闇に」に登場するディーネは、獰猛な毒竜に似た姿ですが、美しい白い翼を持つ愛らしい妖獣です。


同じ名前を持つ一人と一匹ですが、つながりはありません。ただし、翼を持つ白い竜の描写は、「有翼の蛇」ヤムリカを思い起こさせるよう意図的に書きました。妖魔や妖獣は人間に危害を及ぼす恐ろしい存在ですが、本作の白い竜ディーネやヤムリカのように、人間を庇護する心優しい「魔の系譜」もいるのだということを、知って頂きたくて。


***


「ディーネ」という名前は、中世の錬金術師によって「ウンディーネ」の名を与えられた水の精霊をイメージして名付けました。

人間との悲恋物語が多く伝えられる水の精霊は、自然の具象化です。姿形は人間に似ていますが、魂を持たない存在です。不滅の魂を得るためには、人間の男に心から愛され、その伴侶となる必要がありました。ですが、男が精霊を裏切れば、精霊は男を自らの手で殺さなければなりません。

禁忌の恋に身を落とし、涙ながらに愛する夫を噛み殺した水の精霊の話が伝えられています。一方で、「心優しい女性は、死ぬと水の精霊に生まれ変わる」という伝承もあります。


「罪戯れ」の娘ディーネは、自らを犠牲にすることで、愛する男性を救おうとする強さと優しさを合わせ持っていました。

本作の白い竜ディーネは、妖獣狩人セサルの使い魔ではありますが、セサルとフェイドラが大好き、食べることも大好きな、お茶目で心優しい妖獣です。


この一人と一匹に共通するのは、愛する人のためなら、危険を省みずに闘う強さを秘めている、ということです。『大陸』世界では、「ディーネ」という名は「気丈ながらも、心優しい女性に育って欲しい」との願いを込めて付けられる名前なのです。

3件のコメント

  •  こんばんは。
     応援コメントでおっしゃっていた、お名前秘話ですね。
     待っていました! ありがとうございます!

     あまり神話に詳しくない私ですが、「ウンディーネ」という名前は知っていました。
     由海さんが神話にお詳しくて、そこから少し変えて命名することも知っていたので、「もしかしたら、『ディーネ』は『ウンディーネ』からきていて、わりと一般的な名前なのかな?」と思っていたら、その通り! びっくりです。

     初めは、「えっ? ディーネって、同一人物?」と思ったのですが、ヤムリカのほうの名前でなかったので、別人と分かりました。
     でも、無関係でもなかったんですね。意図的に似せていたとは! なんか、嬉しいです。
     ふたり(ひとりと一匹)とも、凄くいい子ですよね。

  • 静流さん、

    只今、絶賛時差ボケ中。一日中、ぼーっとしてます。スーツケースもずっと片付けられずに置きっぱなしだったのですが、シュリが寝床にし始めたので、ようやく荷ほどきを終えました。

    時に、驚くほど鋭いコメントをさらりと仰る静流さんらしく、今回のコメントも「おおっ! ディーネだけでなく、ヤムリカまで覚えていて下さったのね〜」と嬉しくなりました。



    「もしかしたら、『ディーネ』は『ウンディーネ』からきていて、わりと一般的な名前なのかな?」

    はい、その通りです! ウンディーネ、物語のネタとして結構使われていますよね。人魚姫のお話も、元はウンディーネですしね。

    すでに「水の精霊」が登場していますが、彼女らのモデルはアイルランド民話の「メロウ」と呼ばれる人魚達です。古アイルランド語で「海の歌い手」を意味するメロウは、ギリシャ神話の海の怪物「セイレーン」に酷似しています。女のメロウは人間の若者が大好き、と言う点がアイルランド民話のとくちょうかと。

    やがて妖魔に取って代わられる身のディーネが、人間の若者と恋に落ち、愛るす人のために命を落としたのも、ウンディーネやメロウのお話をベースにしたからで、特に「うひひっ、愛し合う恋人達には悲恋がお似合いだよーん!」などと思っているワケではありませんよ〜。

    さて、時差ボケボケボケの文章になってきたので、今回はこの辺で。

    コメント、ありがとうございました。

  • おはようございます🍀

    ノートへのご訪問ありがとうございます😊🌸
    嬉しくてこちらにお邪魔させて頂きました。元遥河でございます。


    リアルの忙しさから、続きを長いこと読めておらずで、申し訳ないな……という日々が続いてしまいまして、最近やっと続きから最後の更新まで読ませて頂くことが出来ました。
    更新をお休みされている様子から、コメントなどを書かせては頂かず物語の展開を楽しませて頂いていましたが、文章や表現の美しさと物語の流れ……登場人物の関係性とか魅力がいっぱいですね。

    寄せられていますコメントを読ませて頂き、皆様の物語への想いや捉え方なども楽しみのひとつでありました🍀


    大変な状況の中、私の応援が力になったのだと思うと、由海さんと物語との巡り会わせに感謝しかありません。

    気長に待っていますので、焦らずご自分の時間を大切にしてくださいね🌸
    物語が完結後にレビューを書かせて頂くつもりです。


    私のほうこそです。
    今後ともよろしくお願いします😊✨

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