あとがき
山々に囲まれた小さな町に暮らす、幼なじみの二人の高校生、古萩未玲と三穂由貴子。
このお話は、「私は彼女が好きじゃない」の少し後、文芸部員の未玲と、未玲について文芸部に通うようになった由貴子を描いています。
「自分が書きたいものを、書きたいように書きたい」
「読んだ誰かに、物語に込めた思いをわかってほしい」
小さな頃から物語を書いてきて、何度も感じた思い。時に相反する2つの思いを、文芸部員の未玲の視点から描きました。
『読んだ誰か』は、未玲にとっては不特定多数の誰かではなくて、特別な一人です。たくさんの人に読んでもらえるのは嬉しい、だけど、たった一人が物語に託した思いを知っててくれたら、もっと…
ただの幼なじみではない、特別な関係。未玲のメッセージを、由貴子は確かに受け取りました。
この後にもう一つ、由貴子が主人公の短編があります。未玲の想いを受け取った後の由貴子の心の動きを、描くことになるでしょう。
*このお話は連作短編の一つですが、前後を読んでいなくても分かるようにと思って描きました。そういうわけで、せっかくの機会だからと思ってカクヨムコン10(短編)に参加しています。
2024.12.7 黒川亜季
(in 魔法のiらんど:2019.10.15)