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あとがき――夕闇 蛍火 夢の続き


このお話は、2021年の秋に魔法のiらんどで行われた「公式ハロウィン企画2021」に参加するために書いたものです。

創作仲間の海瀬瑛さん(@ei_umise)と何かのはずみで「夢ってどうしてあんなに忘れてしまうんだろう?」 という話題になり、その後であれには何か意味があるんじゃないか… と考えたことがきっかけになりました。

ハロウィンはケルトの人たちの記念日で、日本のお盆に似ていると言われます。10月の最後の日は1年の終わり、季節が冬に移り変わる境目で、その日には死者の魂がこの世に戻ってくると信じられていたそうです。

カボチャのランタン、お菓子といたずら、魔女やお化け…。今は楽しいイベントになっているものたちの裏側に、この世とあの世をつなぐ何かが隠れている。そういう秘密めいた空気が私はとても好きです。

不思議な話を書くなら、この日だろう。ハロウィンはそんな日の一つだと思っています。

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物語の主人公である花音は大学1年生、親元を離れ、北海道よりは暖かく、関東よりは寒い地方にある都会で一人暮らしをしています。

何もかも自分で決めていい自由と、誰も何も言ってくれない寂しさ。花音が覚えたそういう感情に、私も覚えがあります。

最初は慣れるのに必死だった生活もだんだんとリズムができて、少し退屈を覚え始めた頃。日常というこちら側から、非日常というあちら側に踏み出す境界として、そういえばハロウィンはちょうどいい日なんじゃないかなと思っています。

もう一人の主人公、朱音は、今私が住んでいる沖縄にいる "誰か" をイメージしました。特定のモデルはいませんが、夏には太陽が容赦なく照りつける島で暮らしながら、時々びっくりするくらい肌の白い、不思議な雰囲気の人に行き合うことがあるのを思い出しながら描いています。

遺念火や、女系で(母親から娘へ)つながる不思議な力も、沖縄からモチーフを借りています。住み始めてから何年かになりますが、まだまだ知らないことの多い、魅力的な島です。

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このお話の副題は、アイルランドの歌手 Nightnoise のアルバムの中の曲から採りました。

一日が昼から夜に移り変わる狭間で、大切な人と、自身を取り巻く世界に思いを馳せる、とても雰囲気のある曲で

"黄昏とともに 全ての色は褪せ 私たちは闇に溶けていく"

という歌詞が印象的で気に入っています。

End of the Evening - Nightnoise
https://youtu.be/Ob3BcJqwRxg


何処かの誰かに、楽しいハロウィンと不思議なハロウィンが訪れていますように!


2024.10.31 黒川 亜季
(in 魔法のiらんど 2021.10.29)

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