・羅刹(らせつ)
『人無き夜に 出歩くなかれ 瞬く間 悪鬼羅刹やってくる』
人気の無い道で夜な夜な通り魔的殺人を行っていた妖怪。羅刹一族の末裔であり、人を殺すことこそが一族の栄光と考えている危険思想の持ち主。忍者のような格好をしているが、顔は般若の顔そのものである。妖気の炎を纏わせた刀や、口から吐く鬼火などを武器にして戦う。物語では、朝の新聞に書かれた無惨な事件を見た秀次が「人間の為せることではない」と判断し、独自に事件解決に動き出した凛条兄妹と交戦。玲子を戦闘不能にまで追い詰めるものの、怒りの炎を纏った秀次の一撃により、一族の繁栄は終わりを迎えた。
・雫(しずく)
『寒威 寒声 唸る吹雪が如く 冷たき子よ』
雪を降らせたり、人を凍りつかせる能力を持つ妖怪、雪女一族最後の生き残りであり、凛条玲子の「雪女としての」姉である。雰囲気や表情は玲子にそっくりだが、人を傷つけることになんの躊躇も持たない文字通りの冷たい心をした性格。家族を失った影響と姉としての立場からか、妹の玲子に依存しているかのような描写もある。絶対零度の温度を誇る妖刀「氷雪花(ひょうせっか)」による素早い斬撃を得意としている。また、冷たすぎるあまり炎でさえも凍らせるという物理法則を無視した芸当も持つ。
物語では、夏の時期に差し掛かった頃に各地の村を一夜にして大雪にするなど雪女としての使命を果たしていたが、被害にあった村の男性の依頼によって凛条兄妹と対峙する。最初こそ得意の素早い剣術で兄妹を圧倒していたが、途中で玲子の名前を聞き、攻撃を止めると玲子の前世が雪女である事実を語り出す。直後玲子自身に前世の記憶がフラッシュバックし、自分が雪女の生まれであったことを悟る。「思い出したのなら自分の元へ戻ってきてほしい」と誘う雫だが、これを「人間としての兄」である秀次が阻む。なおも秀次と交戦するが、炎さえも凍らせる力で圧勝。秀次を人質に取り、玲子に一日だけ考える猶予を与えた。その翌日、兄を助け出す覚悟を決めた玲子と交戦。高速の抜刀から放たれる氷の斬撃や、氷の壁を瞬時に生成して優位に立つものの、玲子の言葉によって彼女自身に眠っていた雪女の力が覚醒。新たな力によって形勢を逆転される。最後は、自分のことを「姉」として看取ってくれた玲子に優しい笑顔を向けながら消滅した……かに思えたが、最終作「恋想完結編」にて思念体として再登場。初めて美子と喧嘩別れをした玲子に「今何をすべきか」を説き、玲子が美子とのわだかまりを乗り越えるための引き金となった。
・酒王(しゅおう)
『湯煙の中 酒飲み交わし 再生の兄』
無印「大正百鬼夜行」中盤から登場したシリーズの準レギュラーキャラ。再生妖怪の兄であり、妹に酒殿がいる。妖怪と人間の種別関係なく接してくれる面倒見の良い性格で温泉と酒が何より大好き。また、洞察力が高く、秀次を一目見ただけで職業や家族関係などを瞬時に見抜いた。戦闘では長年培ってきた我流の拳法を酒殿とのコンビネーションで発揮する。加えて前述の再生能力によって四肢を斬られても短時間で再生するなど能力にも磨きをかけている。友人関係には「仙妖」の異名を持つ天閣がいるなど、長生きなりに人脈も広いようだ。
物語では、日々の疲れを癒しに温泉へと入った秀次と出会う。秀次自身は妖気で酒王の気配を感じ取って少し警戒したが、本人に戦闘の意思が無いことを確認した後すぐに意気投合。兄妹を強くするべく稽古をつけた。秀次の死後は何かと美子(玲子)を気にかけるようになり、「遊女屋敷事件編」では女性に近づかれるのが苦手なことが判明した。
・酒殿(しゅでん)
『天真爛漫 拳合わせ 再生の妹』
酒王の妹である再生妖怪の妹。兄と同じく準レギュラーキャラである。姉御肌な性格で美子と玲子とは姉妹のように仲が良い。酒王のことは「兄者(あにじゃ)」と呼ぶ。戦闘では兄と同様に我流の拳法を使って戦う。非常にグラマラスな体型だが、本人は太っていると思っているらしい。
物語では、前述した温泉で初めて美子(玲子)と出会う。兄の秀次が少し警戒したのに対してすぐに打ち解け合い、後に酒王と共に稽古をつけることとなる。「遊女屋敷事件編」では、美子(玲子)と共に遊女屋敷の雑用として働くことに。仕事をしている場面は描写されてなかったが、それなりに貢献していた模様。最終作の「恋想完結編」では、狼の妖獣であるコハクのことを気に入ってる様子。