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「姫様なんてむいてないっ!」完結

カクヨム恋愛小説コンテスト応募作品、「姫様なんてむいてないっ!」完結いたしました。お疲れ様でした、そしてありがとうございました。無事に完走出来てほっと一息です。

色々と書きたいこともあるんですが、ただいまちょっと感無量。終わってみればちゃんと良い話になっている。よしよし。

さて、コンテスト自体はまだまだ続きますし、コンテスト終了後も別に消したりはしないので、読者の皆様には自分のペースでゆるゆると読んでいただければと思います。長いですよね。オーバー十万文字ですから。是非アークライト城の面々を楽しんでやってください。


じゃあ、あとがきスペシャル。
ネタバレばんばんしていくスタイル。


恋愛モノ長編を書く、となった時、真っ先に考えたのが既存作との棲み分けです。
「かみさまクラスタ」にしても「ハルを夢視ル銀の鍵」にしても、作者にとっては大きな輝きを持つ作品です。新しい作品を書くならば、これらに匹敵できる内容でなければいけません。
そして同時に、似たような作品であってはならない、とも思っていました。
だって、それって引き出しが少ないみたいで格好悪いじゃないですか。


メリアはキャラクターとしては早々に確立してたんですけど、さじ加減の難しい娘でした。
とりあえず「姫様」ネタでやる、ということでプロットを書き始めたのですが・・・
出来上がるのは「ひめさまクラスタ」なんですよね。トヨちゃんのキャラと被る被る。まあ確かに似てるんだよな。
かといってヒナみたいに感情に身を任せて突っ走られても困るので。

自分では「むいてない」って言うけれど、実際にはしっかりとお姫様していて、責任感も強い女の子。
恋する気持ちを知って、それに従い、自らを取り巻く環境や立場に負けず、その想いを貫き通す。

仕上がってみるとすごく可愛い子になってくれました。
ただ、お姫様だけあってなかなか崩れてくれないのが難点でしたね。
監修さんにそれを指摘されて書いたのが「力ある者の責務」だったりします。負ける姿も見てみたい、と。お陰様でぐっとキャラクターたちの魅力が高まりました。


ウィルはもう、ただメリアが大好きな人、って感じになっちゃったのがな。
様々なしがらみに縛られない自由人的なイメージでしたが、義勇兵団に所属する以上その制約は存在します。
そして、メリアの警護役という立場もまた、重くのしかかってくるのです。

心優しい少年が、自分の想いだけを信じて。
護りたいと強く願う気持ちが、その存在を英雄にまで押し上げてしまう。

無双的な強さを持つ剣士、という考えは最初からありませんでした。そういうのは他の話でやればよい。もっと何というか庶民的で、温かみのある英雄であってほしかった。
英雄英雄と言われるけど、その実態は知る人しか知らない、みたいな。
出来栄えとしては上々だと思っております。

エピローグでは、メリアのイメージダウンを嫌って一線を超えないようにしていた様子が伺えます。
しかし、メリアの方が一枚上手というか、とんでもない行動力を見せつけて、ということに。
今回の大オチはとてもお気に入りです。


サブキャラ大好きのNESなので、本作でも例外なくカリムとルイザがバンバン目立ってます。クライマックスの主役はこの二人だし。

カリムはライバル、というよりも、もう負け済みの人、という酷い立ち位置で考えていました。過去の男にもなれなかった、って感じですかね。
立場に押しつぶされちゃって、自分から踏み出すことができなかった。不器用だけど、愚直で真面目で、悪い人ではないんですよ。そういう感じを出したかったのですが、どうですかね。
「力ある者の責務」ではケイティを捕まえてみせたり、シャロンに好かれていたり、キャラクターの幅広さを見せてくれました。
ルイザにとっては良い上司であり、王女メリアを支える力強い騎士。最後には全てを捨てて、一人の女性の笑顔のために生きる。何処までも真面目で、真っ直ぐな人です。

ルイザはこの物語では本当にかわいそうな役回りばかりで、まじすまん。でもね、作者はこういう負けヒロインが大好物なんだわ。
だからクライマックス辺りでのルイザの扱いはかなり特別。エピローグだって、ある意味ルイザのためのもの。
女性である自分を隠し、上司であるカリムを慕い、常に力強くあろうとする。カリムのメリアへの恋を応援し、そのためにならなんでもしてしまう。若さと、燃える情熱の人。
監修さんにも「目立ち過ぎじゃね?」と言われる始末。えー、だってあれだけやっておいて目立たないとかないし。静かにフェードアウトさせちゃうのはそれこそかわいそう。


そしてパメラ。影武者のために用意された侍女であり、メリアの幼少からの友人でもあり、相談役でもある。
メリアの良き理解者、常識人。という設定だったのに、監修さんからの指摘などを受けて何故か「謎グルメ」の称号を得てしまう。
あけすけにズバズバとものを言う。いつも大体お茶を淹れている。怒ると怖い。世話焼き。
レビンに対して、「二人を許すことはできないか?」と訊いたのも、パメラの性格が出ています。茶目っ気はあるけど、人間関係のバランスには人一倍気を遣うタイプ。
パメラは最終的にカップルにはなりませんでしたが、自分の幸せは二の次にしてしまいそうな感じはありますね。とか言って、メリアが片付いた後なら、さらっと城の中の誰かと結婚してしまいそうな気もします。多分一番したたかなキャラなのではないかな。


他のサブキャラたちもみんな大好きです。

シャロンは後付追加キャラなんですが、騎士団だって評価されている面もある、ということを知らしめる大事な役回りでした。もっとお城の中を探検させてあげたかった。

レビン王子は、「こいつとメリアはくっつかんだろう」という大方の予想を受けつつ、どう動かすかがポイントだった人。周囲の空気に焦る、背伸びした子供。個人的には可愛いし、子供っぽいレビンと本性丸出しのメリアの二人を書いてみたかったかな。いい姉弟のような関係ですよ。

ウェイドはもっと出番あげたかった・・・ほとんどいるだけだったね。レビンにフォーカスするとどうしても話がダラダラと長くなってしまうので、その辺はかなり思い切ってカットしました。で、つられてウェイドの出番も消える。すまぬ。王子の警護役兼教育係であり、世界に関する広い知識を持つ。レビンを第三王子として小さくまとまってしまわないように導いていこうとしている。

後は誰だ、義勇兵団師団長バークとか、白銀騎士団騎士長デイルとかか。オッサン枠はいいや。
孤児院の子供たちとか、みんな可愛くてお気に入りです。


そして、没ネタ。あるいは機会があればやるかもしれない小ネタ集。

メリアの教育係をしていた男とか。
『孤高の牡鹿』亭に看板娘を置きたいとか。
激辛料理を食べて涙目になるメリア。それをお土産に持って帰って絶叫するパメラとか。
レビンからお土産としてもらったコーヒーを初めて飲んで、カリム以外全員苦味に耐えられないとか。
お姉さま一時帰国とか。
シリアスなら騎士団領とか、帝国に対する反乱軍とか。
リゼリアに移った後のカリムとルイザとかも。

結構ありますね。全部書くとすごいことになるので、今回はだいぶ駆け足でメインストリームだけを書き上げたことになります。
よーし、書籍化するならやってやろうじゃないか。とか言ってみるテスト。


ふむ、アークライト城の面々は、やはり書いてみるといくらでも出てきます。かなり思い入れが強いです。
旧作品群にも負けない、NESの新しい看板の一つであると、胸を張って言えそうです。読んでくださった皆様に感謝。

カクヨム恋愛小説コンテストの方はまだ続きますからね。
他の作者様の力作の方も是非ご覧になってください。


それでは。


ようやく。


このセリフを言うことができます。


そう。



「ピーマンが甘いわけないだろう」
「パプリカ! です!」



・・・いつから書き下ろし作品が一つだと錯覚していた?


カクヨム恋愛小説コンテスト、書き下ろし作品第二弾。
「ぼくとわたしの野菜生活」


(割と)近日公開!

2件のコメント

  • 突然ダイレクトマーケティングに押しかけた挙句、レビューだのフォローだのいただいて大変恐縮です。
    国立にいらしたんですね。実はトヨちゃんの神社のモデルになった神社は国立にあります。だいぶローカルな話ですね。

    eyelis、まさにそれです。
    「姫様なんてむいてないっ!」は実はそのイメージで書いていたりします。
    ああいう空気感を出したかったのですが、どんなものなのかどうか。

    こんなところまでお越しいただきありがとうございました。
    お互い、頑張って行きましょう。
  • 立川の、特に駅前の変化はすさまじいですね。
    もうほとんど面影が残っていません。
    「今日の良き日に」の神社も、実は一度火事で焼け落ちて、私が子供の頃見たものとはだいぶ変わってしまっているのです。

    テーマソング妄想は実は全作品に対してやっています。
    この作品はこのイメージ、こっちはこのイメージ、と。
    やっててかなり楽しいのです。

    恋愛小説コンテスト、まだまだ時間はありますので、自分のペースで頑張っていきましょう。
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