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「ぼくとわたしの野菜生活」完結

お疲れ様でした。無事、八万文字を超えて完結させることができました。PV、応援、星、レビュー、皆様本当にありがとうございました。ってまあ、別にこれでおしまいじゃなくって、コンテストはまだ続いてるし、作品もこのまま公開しておきますからね。どんどんください。お待ちしております。

では恒例のあとがきスペシャル。なるべく本編読了後にお楽しみください。


・作品そのものについて

監修さんからの指示で、「とにかく明るく、ポップに」という方向で書きました。
ラストでちょっとシリアスな展開もあるけど、極力血生臭さを排除し、あっさりと解決する方向で。
ご都合主義というよりも、児童文学的なノリですね。

「姫様なんてむいてないっ!」でもそうなんですけど、今回はビーズログ向けということで、直接的に人を殺すシーンを書くことは極力避けるようにしました。
また、軽々しく「殺す」という表現も使用しないようにしています。
「ぼくとわたしの野菜生活」はキャラクターの年齢も低く設定してますし、四章のオリビエのシーンとお母様との絡み以外では生命の危機を直接想起させる描写はおこなわないようにしました。
まあ、だからこそあのシーンが冴えるわけで、四章全体の緊迫感も増すわけです。ハイ。
あ、蛇足ながら、「姫様なんてむいてないっ!」でも、戦争のくだりでは「殺す」ではなく「倒す」という表現を用いています。
そのくらいのことはちゃんと意識してるんやで。

一人称で長いものを書くのは、別に難しくはないです。今回の場合基本的に視点は2つ。三章だけ例外的に1つ増える感じですか。
フランシスの内面、ハンナの内面を追いかけていくのはとても楽しかったです。二人とも可愛いよね。

男女入れ替わり、身分違い(王子と乞食形式)、女装、宿屋での小間使い、と色んなネタのごった煮感がありますが。
あえてこれだけは明言しておきたい。「野菜」ネタを入れようと進言したのはNESであると!
場面場面のシチュエーションは監修さんのアイデアから出ているのですが、それらをまとめ上げる「野菜」はNESからどうしても入れてほしいとお願いしました。
だって、それがないとまとまらないんだもん・・・一体どうしろと・・・
最初は「えー、野菜?」とかなり難色を示されましたが、ほら、ちゃんとまとまったじゃん。

「姫様なんてむいてないっ!」が1クールのTVアニメーションをイメージしていたのに対して、「ぼくとわたしの野菜生活」は長編劇場アニメーションをイメージしています。
なので、展開はややスピーディに。本当はもっと細かく書きたいところもあったのですが、さっくりと読めることを重視してかなりカットしました。

一話一話の分割点が微妙な感じがするのは、実は章ごとに書いていたためです。本当は各章の中に分割点は設けていませんでした。
しかし、それだと読む方が大変なので微妙な位置で分割することに。万が一書籍化するような事態になるのなら、分割点については再考したいところです。

主人公二人の年齢をやや幼くしたことで、あんまりドロドロした内容にはならなかったかな、と。
フランシス十一歳、ハンナ十歳は、監修さんとすぐに意見が一致したところです。
入れ替わりをする手前、二次性徴済みだと相当に問題がありますし。
何より、他作品と違ってさわやかな恋愛モノに仕上げたかったのです。本作にはキスもハグもないけど、しっかりと『恋』をしている。非常に満足のいく内容です。


・キャラクターについて

キャラクターの命名は全てNESによるものです。
執筆開始時、監修さんから指定のあったキャラクターは、実はフランシス(男主人公)、ハンナ(女主人公)、シフォー(教育係)の3人のみでした。それ以外は全て、NESが物語を膨らませるために創り出したキャラクターということになります。
そう考えると、ネタベースではだいぶシンプルでスッキリしたものだったということが判っていただけると思います。

フランシス・フェブレ
最初、この名前に関しては監修さんから沢山文句を言われました。「えー、フランシスぅ?」って。
が、終わってみると一転、「フランシスいいねぇ」と。いいでしょう?
心根の優しい、さびしがりの男の子というイメージ。ハンナに一目惚れして、頑張ってハンナに尽くす結構けなげな子。
実は涙もろい。ぽろぽろ泣く。可愛い。
ちなみにNESにはリアルにラーメンのネギすら避けて食べるガチの野菜嫌いの知り合いがおります。アレルギーとかではなく。割とそれでやっていけるそうでビックリ。

ハンナ・ハセン
あ、フルネーム出るのこれが初めてか。
美味しそうにご飯を食べる、宿屋の下働き。この設定を膨らませて現在の形に。
お仕事大好きな元気っ子。真面目で責任感が強い。
家庭の境遇について本編中で何も書いてないですけど、地方から出稼ぎにやってきてます。この世界では割と当たり前のこと。
こちらもリアルに生のニンジンをぼりぼり齧る野菜好きの知り合いがいます。料理中に材料が消えていく不思議。

シフォー・アリフ
当初設定が何もなく、「教育係」とだけ言われていた。
それだとあまりにもアレなので、NESによって沢山肉付けされました。
インテリ崩れ、悪人になりきれない口だけワル。フランシスとハンナにとっての、いい大人です。
一応三番目の主人公。シフォーの設定については監修さんも気に入ってくれたようでなにより。

メラニーさんと親方
結局名前も出番もほとんどなかった親方。メラニーさんの旦那で、『至高の蹄鉄』亭の料理長にして店長です。
メラニーさんは二人の良き理解者であり、ハンナの母親代わり。下働きたちのリーダーです。
『至高の蹄鉄』亭はフランシスにとって理想の家族のような姿に映ってほしかったので、こんな感じに。

サンドラとナディーン
フォーク持ってるサボテンの化け物ではない。
ハンナの同僚たち。ハンナの世界が、フランシスと違って色々な方向に広がっていることを示すために登場。
どちらもハンナより年上の設定。サンドラが十四歳、ナディーンが十七歳。
ナディーンは酒場のホールの仕事もしています。

オリビエと召使いたち
オリビエは本来「教育係」が持っていた役割を分割して設定されたキャラクターです。
っていうかそうしないと召使いたちがホントにバカばっかりに・・・
ちゃんと屋敷の中にもフランシスのことを見ている人間もいるんだよ、ということを示す大事な役回り。

お母様
野菜設定の肝。同時にこの話の要でもある存在。
野菜作りが趣味というところからも判る通り、実は平民出身。色々とこじらせてあんな性格に。
ハンナが来るようになってからは、だいぶ丸くなった様子。


・料理について

楽しいんだけど考えるのが大変な野菜料理たち・・・
肉料理もただ焼けばいいってわけじゃないので、うんうん唸って考えました。
そもそも「野菜」って言い出したのはNESですし、引っ込みがつかない。

・・・なに? 温室で冬野菜ができるのかって?
春キャベツとかなんだよ、きっと。

第一章の野菜料理「米ナスとタマネギのステーキ」
大きいナスは米ナスですね。
作中にある通り、チーズでまとめるのが定石だと思います。
ナスに何を吸わせるのかで味わいがだいぶ変わります。ハンナが食べたのは野菜スープベースのソースを染み込ませたもの。

第二章の野菜料理「ダイコンとエシャロットの東方風サラダ」
ダイコンは、薄い輪切り、千切り、荒いみじん切りの3種類。
そこにおろしポン酢をかけていただきます。エシャロットはアクセント。
切り方によってダイコンの味が歯ごたえと共に甘いのと辛いのに変化することが判る、不思議なサラダです。

第三章の野菜料理「リンゴの入ったポテトサラダ」
荒めにジャガイモを残したポテトサラダに、小さく賽の目に切ったリンゴを投入、混ぜ込みます。
粗挽き黒コショウとビネガーで味付け。
濃いめの酸味の中に、時折しゃくっとリンゴの歯ごたえと瑞々しさが出現する、おかず向きのサラダです。

第四章の肉料理「スコッチエッグ」
しまった、四章には野菜料理が無い・・・
そういえばフランシスが食べようとしていた大きな肉団子、実は中にゆで卵が入っているスコッチエッグでした。
食べて驚いてもらうシーンを書こうかと思っていたら、タイミングを逃してしまった。残念。


・おわりに

さて、なんだかいっぱい書いてしまいました。
フランシスとハンナは可愛い主人公で、書いててとても楽しかったのです。ハッピーエンドで良かったねぇ。
その後の二人を想像するのも楽しいですが、今はしばしのお別れ。
なんとか恋愛小説コンテスト、書き下ろし2本を終えてほっとしております。いや、頑張った。やり過ぎとも言う。

ちょっと一休みしてから、今度はカクヨムじゃないところの方に長いのを投下して。
それからまた戻ってくるんじゃないかなぁ、と。そういう予定でおります。

何にせよ、またなんか書きます。うへぁー、次はまた難産そうだ。

ではまた、次の作品で。

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