KAC2023エントリー作品は、第1回「泥蓮洞主人の横顔」(お題「本屋」)、第2回「送る日」(お題「ぬいぐるみ」)まで書いた時点で、「シリーズ松映物語」として古書肆泥蓮洞と絡む777字縛りの幻想短編と決めた。かつ、可能な限り出題当日のうちに公開にこぎ着ける、言い換えれば数時間で完成させる即興小説だ。
https://kakuyomu.jp/works/16817330653875466274https://kakuyomu.jp/works/16817330653942167025 さあ第3回のお題はなんだ、と勢い込んで本日12時過ぎに出題を確認した。お題「ぐちゃぐちゃ」……どないせちゅうねん。
若い頃はグロい描写も嫌いではなかったが(二十代の「髑髏」とか「聖なる旅」とか)、この歳(アラカン)になると心身が保たない。777字縛りでスラプスティックな混乱を描くのは難しい。うーん。ぐちゃ、ぐちや、ちやぐ、やぐち……よし、主人公は矢口だ。通称ぐっちゃん。でも「ん」が余分だな。矢口を「ぐちゃ」と呼ぶ……ちっちゃい子か。そこに小泉八雲と幻想性を絡める。嫌な事があって心を乱した主人公が、子供の「ぐちゃ、ぐちゃ」の呼びかけで柔らかくなる。この筋立ては手癖だ。まあ、前二話と毛色の変わったライトな内容になってもいいかな。
問題は「嫌な事」の中身。迷いながら書き始める。いろいろ固まるが「嫌な事」が定まらない。上司が理解してくれない。運転中に煽られた。親が頑固で子供扱いする……どれもしっくりこない。
天啓のように陰謀論が下りてきて、これがブレイクスルーとなった。毛色は前二話とそれほど変わらず、ラストは漱石「夢十夜」みたいになった。
https://kakuyomu.jp/works/16817330654079363865