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小説は、読者の知識で補完されて初めて存在できて、作者ひとりだけでは成立できないのかもしれない。――だから、読者様ありがとう

 現在執筆中の小説の中に、「非現実的なもの」を出しました。
 空想のものなので、実際には誰も見たことのないものです。
 これをどう説明するのかが、非常に難しい!

 やはり、「読者の知っているものに喩える」しかない、のでしょうか?
 ……「○○のような」「××みたいな」「△△に似た」…………

 私のイメージしたものがうまく伝わっているのか、まったく自信がありません。

 けど、よく考えたら、現実のものでも、「読者が見てない・知らないもの」を小説で出すのって、難しいんですよね。

 随分前に、作中に「カランビットナイフ」という、殺傷能力の高いナイフを出しました。
 現実に存在するものです。

 けれど、大抵の人は見たことがなく――というよりも、私自身、本物は見たことはありません。「強そうな武器」を作中で使いたくて、ネットで検索して知っただけです。
 特徴的な使い方、動き方をするので、動画で研究して、作中で使いましたが……。

「すみません。よく分かりませんでした」
 ――というご感想を多数いただきました。
 しかも、有り難いことに、複数の方々がネットで検索してくださいました。
 拙作のために、本当にありがとうございました。

 カランビットナイフを調べてくださった方々は、この次に主人公がこの武器を使って戦うシーンが出てきたときには、私がイメージした戦闘シーンを描いてくださると思います。
 でも、それは、わざわざ調べてくださったから、なわけで、私の文章力、表現力のなさは変わっていないわけで……。

 書き直すか、どうするか。いろいろ考えた結果、その後、だいぶ経ってからですが、カランビットナイフは作中から削除しました。私が扱うには過ぎた武器だったなぁ……と。

 絵や写真があったり、動画だったら伝わるのかな、と思うこともあります。
 でも、小説は文章を楽しむものだと思うから。文字で勝負したい。

 読者は、小説の中に書かれている文字からイメージを膨らませ、自分の知っている「映像」を頭の中から取り出して、補完して読んでくれるんですよね。きっと……。

 小説は読者の知識で補完されて初めて存在できて、作者ひとりだけでは成立できないのかもしれない。
 ――だから、読者様ありがとう。

 と、思ったのでした。

 読者と一緒に、物語を作っているんだなぁ……。



『di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~』
  https://kakuyomu.jp/works/1177354054881135517

  第七章 星影の境界線で

  5.紡ぎあげられた邂逅ー4

 を、明日、土曜日、朝7時ごろ更新します。
 よろしくお願いします。

※第一部完結まで、毎週土曜日朝7時ごろ、定期更新です。
 近況ノートは、朝寝坊してもいいように(すみません)、前日に上げておきます。



 以下、恒例の執筆裏話「制作ノート」です。
(少しネタバレを含むため、スペースを空けます。
 本編のあとにお読みください)











 制作ノート
「リアルでありながらも、SFファンタジー」

 第七章もあと1話。感慨深いです。
 章ごとのお休みなしの連続投稿を始めて数ヶ月。書き溜めてあっても、読み直したら大幅修正が必要になったりして、結構ギリギリな感じです。
 けれど、第六章~第八章(第一部最終章)は、転機の繰り返しなので、連続投稿したほうが良いと思いました。

 第六章は主人公ふたりの関係が変わる、転機。
 そして、第七章は物語の世界観を覆すような転機でした。

 もともと、SFファンタジーを銘打っているので、「不思議要素は出るよ」と宣言はしてあります。
 それでも、第六章までは「現在の技術では説明できないほど高性能な人工知能〈ベロ〉」以外は、非現実要素は出てきていませんでした。
 別にそうしたかったわけではなく、できるだけリアルに書いていたらそうなった、というだけなのです。
 人工知能も、現在リアル世界でホットな話題なので、「あり得ない性能を持っている」と設定されていても「リアルなもの」として受け入れられたようです。

 それが……。
 第七章で出てきた、〈影〉と〈天使〉。
 非現実です。
 たぶん、多くの方が驚かれたのではないかと思います。
 今まで、そういうものを出してこなかったから……。

 読者を裏切った、という気持ちは、かなりあります。
 実は、このあたりが出てきたエピソードを投稿したあと、しばらく鬱々としていた時期がありました。
 そのとき、励ましてくれたのも、また読者の方々でした。
 本当にどうもありがとうございました。


 次回は、第七章最終話。
 第七章エピローグ。そして、第八章へのプロローグです。

3件のコメント

  • おはようございます(*´▽`*)
    次回で第七章も最終話なのですね。連載を追いかけている身からすると、あっという間だなあと感じてしまいます(≧▽≦)

    読者様の知らない物を出す時、「どうやって説明しよう……?」とよく悩みます。
    私の場合、登場人物の一人が語り手の場合が多いので、語り手が知らない単語(作品のイメージを崩すような現代用語)は使いたくない……。と考えてしまって、ああでもない、こうでもない、と悩むことが多いです。

    月ノ瀬様がおっしゃるように、読者様の優しさや想像力に頼っているところも多々あるなあ、と読んでくださる方に感謝感謝ですね(*´▽`*)
  • 綾束さん
     コメントありがとうございます。

    「読者は知っているけれど、作中の語り手が知らないもの」
     これも説明しにくいですね!
    「○○」と言ってしまえば簡単だけど、それは絶対に言えない。世界観ぶち壊しになってしまう……。
     これ、辛いですね。
     そこに答えがあるけど、ない。それは答えにしちゃダメ。

    「伝える」って難しい……。
     読者様の優しさに感謝です!
  • 春さん
     コメントありがとうございます。

     よく考えたら、登場人物の顔さえ「読者の補完」で出来ているんですよね。
     そして、きっと、「格好いい」と書けば、その読者が想像する中で、一番格好いい顔に補完してくれているはず……?

    「良い意味では虜に、悪い意味だと洗脳」
     良いことを聞きました!
     なんかこう、物書き魂がうずうずします。(厨二心がうずく?)
     こう考えると、やる気が出てきますね。

     アニメのOP、EDがだんだん良いと思えてくるのは分かります。
     物語とリンクしているから? 何故でしょうね? 不思議です。

     小説の冒頭よりも、あとになってきたほうが誤字脱字に気づかないのはよくあります。
     先を読みたい気持ちが大きくて、誤字は勝手に補完されていくのでしょうか?
     どうしても、誤字脱字は一定数あると思うんですけどね。これも不思議。

     要するに、夢中になってしまえば、ノープロブレム!
     ――と、いうことは……。

     洗脳作戦を開始します(笑)!
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