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たぶん、文法的にはNGなんだと思うけど、三人称多視点を使う……

「小説の書き方」の話をするときに、「人称」の話はよく出てくる話題のひとつだと思います。
「一人称」「三人称単視点」「三人称神視点」「三人称多視点」……と、いうやつです。
 私は、この手の話が、苦手です。

#この文章は「小説の書き方講座」ではなく、ただの「ぼやき」です。
 そこのところは、よろしくお願いします。


 一人称と三人称。――これは、理解しやすいです。そのまんまです。
 作品によって、どちらが向いているかを選べばよいと思います。
 私が今書いている作品は、いろいろな登場人物の、いろいろな考え方がぶつかるような作品にしたいので、一人称か三人称か、といえば、三人称のほうが向いていると思います。

 では、三人称の場合、「単視点」「神視点」「多視点」……いろいろあって、どう書くか。
 ――どう書けばいいのか……?

 いや、そもそも自分がちゃんと理解しているのか怪しいです。
 とりあえず、こんな感じに解釈しているのですが……。

「単視点」
主人公の背後霊(守護神)が、動画を撮っている。
背後霊なので主人公と一心同体で、主人公とは気持ちが通じ合っている。

「神視点」
天上の神様が、空の上から地上を眺めている。
神様は皆の神様なので、ひとりひとりの気持ちをいちいち理解してくれていない。

「多視点」
地元の土地神様が、地域の者たちの後ろを順について回って記録してくれている。
フレンドリーな神様なので、各個人の気持ちを親身になって理解してくれている。

 注:この解釈があっているという保証はありません!


 どうも問題になるのは、「登場人物の心情をどう表すか」のようです。
「単視点」で、主人公と一心同体で物語を進めていくのか。
「神視点」で、個人の感情は外からの理解に留め、全体の流れを追っていくのか。

 そして……、「多視点」。
 なんか、これ、ダメっぽいです……。
 コロコロと視点が移動すると、読者にはわけが分からなくなるから、だそうです。

 でも、私はこれなのです……。

 私が書きたいのは、登場人物に感情移入しまくるようなアツい話です。
 複数の登場人物それぞれに信念があって、アツい思いがあって、結果としてぶつかりあう……という。
 これは、「複数の人物」の「気持ち」が分かる、土地神様にしかお願いできないのです。

 何処で読んだか忘れてしまったのですが、三人称の場合「こちら」という言葉を使ってはいけないそうです。(単視点なら、いいのかもしれないですが)。
「こちら」というのは、「ある人物」の目から見て「こちら」なので、主観の入りまくった表現なのだそうです。
 なるほどー。と思いました。

 でも、例えば。

「恐ろしい魔物が、A子を見ていた」

 よりも、

「恐ろしい魔物が、こちらを見ていた」

 のほうが、怖そうじゃないですか。

 ええと、つまりですね。
 NGだと分かっていても、読んでいてワクワクするようなものを書きたいのです。

 そんなわけで、私は土地神様に記録してもらっています。
 ただし、土地神様には、「こっちに来て下さい!」と呼んだ者の話を、じっくりと聞いてもらうようにしてもらっています。一瞬で別の人のところに行って、また戻ってくる、なんてことはしないようにお願いしております。
 これで、読者の混乱を防げるといいな……。


 前置きが長かったです。
 要するに、今回のエピソードは、いつもの主役級ではない人物の視点の話だ、ってことです……。



『di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~』
  https://kakuyomu.jp/works/1177354054881135517

  第七章 星影の境界線で

  4.銀の鎖と欠けた月

 を、明日、土曜日、朝7時ごろ更新します。
 よろしくお願いします。

※第一部完結まで、毎週土曜日朝7時ごろ、定期更新です。
 近況ノートは、朝寝坊してもいいように(すみません)、前日に上げておきます。

※『ドラゴンブック新世代ファンタジー小説コンテスト』に参加中です。
 いつも読んでくださる方々、通りすがりで読んでくださった方々、どうもありがとうございます。
 参加表明&宣伝文句の近況ノートはこちらです。→https://kakuyomu.jp/users/NaN/news/1177354054886013445
 こんな(↑)スタンスで参加しています。


 以下、恒例の執筆裏話「制作ノート」です。
(少しネタバレを含むため、スペースを空けます。
 本編のあとにお読みください)











 制作ノート
「……なんか、理解ある異母弟だね?」

 今回は、「ハオリュウから見た現状」のエピソードです。
 もともとは、「ルイフォンが父を助け出したぞ。じゃあ、そのころメイシアは……?」という屋敷のシーンを「ワンカットだけいれる」予定でした。
 それが何故、こんなに長くなった……?

 少し明かしたいことがあったので、メイシアのシーン自体は必要でした。
 話をスムーズに進めるために、話し相手が必要でした。状況的に、ハオリュウしかありません。(他の人は作戦遂行中だから)
 そして、このとき、ハオリュウがメイシアに会ったら何を言うか……。

「――姉様。あいつと何があった?」

 ……これしかありませんでした。
 そして、長くなりました。

 ただし、実は当初の予定とはかなり違っています。本当は、ハオリュウがもっと徹底的にルイフォンを嫌うはずでした。
 けれど、ルイフォンが、父の救出の計画を立て自ら実行してくれている、という状況に、「これでルイフォンのことをボロクソに言っていたら、ハオリュウが凄くやな奴になるな……」と考え直したのでした。
 ……ルイフォン、策士だね。

 読者にとって、肩透かしを食らったような、物足りない展開になってしまったかな、と思うのですが、ここでハオリュウがごねるのは、彼らしくないとの判断です。
 そんなわけで、正攻法です。これはこれで、ハオリュウらしいと思います。

5件のコメント

  • 「神視点」と「多視点」の解釈素晴らしいです!(笑)
     唯一神か多神教かの違いですね。そうすると日本人の深層心理的にそれぞれのキャラに寄り添った細やかな心理描写が好まれるのかな?

     多視点が悪いわけではなくて、筆力が伴わず読者を混乱させるのがいかんのだと私は思ってます。キャラクターを愛して表現する力のある方がやれば圧倒的に面白くなるのじゃないでしょうか。頑張ってください。
  • 奈月さん
     コメントありがとうございます!
     直接お会いする(というのでしょうか)のは、初めてですが、お名前はいろいろなところでお見かけしており、存じ上げておりました。
     凄い方からコメントを頂いてしまったぞ! と小躍りしています。嬉しいです!

     日本人の心! なるほど! と思いました。
     主役以外のキャクター、サブキャラだけでなく、敵でさえも、日本人は知りたいと思うような気がします。(あ、でも外国の人がどうなのか、知らないや)

     筆力は分かりませんが、キャラクターへの愛だけはあふれるほどあります!
     奈月さんの応援を励みに、愛で(あ、筆力アップの努力もします)頑張っていきます。
     どうもありがとうございました。
     コメント、凄く嬉しかったです。
  • 人称の話、なるほど! となりました。
    月ノ瀬様の物語には、確かに三人称多視点が合うと思います。
    読んでいて、混乱することもまったくありませんし。

    私も月ノ瀬様くらいうまく書けるようになりたいものです(><)
  • 春さん
     コメントありがとうございます。

    「こちらを見ていた」にすると、一人称での書き方に近い(同じ?)のかもしれません。
     だから、迫力が出るのかな、と思いました。

     きっちり勉強している人には笑われてしまうかもしれませんが、とりあえず、今の私にはこれが精一杯。春さんのおっしゃる通り、自分を信じます!

     株を落とすってほどのつもりじゃなかったんだと思いますが、ルイフォンは先手を打って、ハオリュウが猛反対をするのを封じた、って感じかなぁと思います。戦わずして、勝つ?
     あ、あの仕草、思い出してくださいました!? 春さんは、深く読んでくださって、凄く嬉しいです。いつもありがとうございます。
  • 綾束さん
     コメントありがとうございます。

     人称の話は、正しいって保証はないので、そこはよろしくお願いします!
     ふと思いついて、「お、なんか、それっぽい!」と思ったので、書いちゃいました。

     この話は三人称多視点以外じゃ難しいですよね。
     ハオリュウが「ルイフォン、このやろー」と思いつつも、認める感じ。気持ちの分かってくれる神様じゃないと、読者に伝えるのは無理な気がします。

     いやいや。私は全然、うまくないです!
     めちゃくちゃ癖が強い(←読みにくい!)し! 
     それでも綾束さんをはじめ、読んでくださる方がいるって、本当に幸せだなと思います。
     いつもありがとうございます。
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