• エッセイ・ノンフィクション
  • 詩・童話・その他

自分にとっての一番

自分にとっての一番


尊敬する作家さんたちの作品コメントのやり取りを拝読していて、「ブランドに対する憧れ」についてふと考えてみた。

コーヒー好きの私は、大学の研究室 (全員がコーヒー好きで、日替わりのコーヒー当番制度があった) に配属されて以来ずっと、レギュラーコーヒーを紙フィルターで淹れるのが好きだ。(もちろん、コーヒーの銘柄にはそれなりにこだわりがあって、近所のスーパーの特売日にお気に入りのものを大人買いしているのだが) いわゆる有名ブランドの店舗で飲むお洒落なコーヒーには (決して嫌いではないが) あまり興味がない。

(ローマに行ったら Antico Caffè Greco を訪れて「気分は文豪」になってみたり、パリのカルチェラタン界隈でまったりしながら「大人のコーヒー」を味わうのは人並み以上に大好きだが) 「コーヒーそのもの」に関しては、自分で淹れたコーヒーに勝るものはないと思っている。その日の気分・体調に合わせて、濃さ・温度・分量まで「今の自分にとって一番」の味を作れるからだ。

音楽についても同様で、リヒテルやグールド (私にとっては宇宙人または神々?) のピアノ演奏も大好きなのだが、(技巧的に自分の能力の限界を超えない限りにおいてではあるが) 下手は下手なりに「自分の演奏が一番」だと密かに思っている。緩急・強弱から音を時々外すことまで全て含めて「今の自分が一番必要とする音」のような気がするからだ。

これを、「元少年」の開き直りと解釈すべきか、誰もがやがては経験するであろう悟りの境地と解釈すべきか、私にもよくわからない。

(最近読んだ新聞記事によれば、人間の幸福度 (自己肯定感) 曲線 (アメリカの某大学の真面目な研究) なるものがあって、(私の記憶違いでなければ) 概ね50歳前後に底打ちして、70歳前後に幼子の頃の幸福度まで回復し、そこから先は「無敵の人」の領域に突入するそうです💮 この研究結果の解釈も併せて皆さんにお任せします)

コメント

さんの設定によりコメントは表示されません