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「零丁弧苦」の裏話

零丁弧苦:社会的地位や身分、財産などを失い、身寄りもなく苦労すること。
(出典:四字熟語辞典オンライン)

というわけで、今回の主人公は中天幇会舵主羅錦威の娘、羅珠でした。
初登場は「岷山隠棲/書簡の中身」です。そんな子いたっけ? な方は今からでも遅くありませんのでどうぞ読み直しを(遅いよ)。

最初はただのわき役で登場しただけだったのに、作者が要らないアイディアを思いついてしまったのでこんな散々な目に遭うハメになってしまった不憫な子です。
今回の話は「岷山隠棲」のラストにて誘拐された彼女の脱出劇……と見せかけての敵側の動向を見せる内容だったので、ラストはあんな感じになりました。果たして彼女に救いはあるのでしょうか?
私にもわかりません。(おいこら

鬼子母神・範琳は初め羅珠を可愛がっていましたが、次第に扱いがぞんざいとなりました。この辺を補足すると、範琳は羅珠が成長していることを疎ましく思っていました。
初登場時の羅珠が十歳程度、女子ならば体が大きくなり始めるころですね。羅珠が寝具に付けて範琳が激怒した染みは、初潮の証です。作中は表現をぼかしたのでここで明言。
範琳がなぜ子供を攫い、そして捨てていくのか。それが明らかになるのはあと少しだけ先になりそうです。

範琳が手放した子供たちは地下の石牢に押し込められ、目的も何もわからない土木作業に従事させられていました。またその中でも一部の子供たちはどこぞへと連れて行かれ二度と戻ってきません。
どこへ連れていかれるのか?
その一部についてはすでに公開済みの別エピソードで語られています。具体的には「無悪餓鬼」あたりで。

脱出を果たした羅珠が駆け込んだ未完成の寺は、当初は峨眉山で最も広大な「萬年寺」とするつもりでした。
しかし脱稿後に実際に峨眉山へ取材に行ったおり、作中で描写した「峨眉の峰々を眺望する断崖」に相当するような場所がなく、また羅珠らが逃げ込んだ際にただ一人の僧侶も現われないのは不自然と言うことで、名もなき放置寺に変更されました。実際に当時そのような建築を放棄された寺院があったのかどうかについてはわかりません。
なお萬年寺には岩壁の上に立つ回廊のような場所はあり、そこの風景はなかなかのものです。元よりロープウェイに乗って行くような場所ですし。

次回の更新は一週お休みをいただき、7/31から再開の予定です。
タイトルは「虚言託宣」。お楽しみに!

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