11月8日午前11時頃の状況
帝国軍
帝国軍はミッドストン旅団、そしてそれと行動を共にしていたトエナ大隊が潰走。
クロスハウゼン旅団はヘロン高原の尾根の部分に防衛線を構築する。
ヘロン市内からはベーグム師団が出撃。
尾根の中央部から西側はベーグム師団が担当し、第一歩兵連隊と第一魔道大隊がすみやかに戦線を構築した。
ヘロン市内からはベーグム師団第二歩兵連隊と第二魔道大隊が出撃中で、出撃した部隊から順次、尾根筋の防衛線に参加している。
クロスハウゼン旅団の東側にはレトコウ連隊が進出している。
ミッドストン旅団とトエナ大隊は南側に潰走。
幸か不幸か、それ以上、逃げるところがなく、何となくで、尾根の南側に集まっている。
メハン川渡河点ではモーラン旅団が舟橋の建設をほぼ終える。
メハン川東岸では、タルフォート旅団が、とりあえずの塹壕線を構築。
到着しつつあるカゲサト旅団にこれを任せて、舟橋の周辺に移動を開始している。
カゲサト旅団は先鋒が、メハン川陣地に到着するが、半分はまだ行軍中。
クリアワイン旅団も行軍中である。
ケイマン軍
ケイマン軍は、当初の予定では、寝返ったミッドストン旅団と第六歩兵師団でクロスハウゼン旅団の東側を封鎖する予定であった。
しかし、ミッドストン旅団の降伏が想定外の形になり、更に、ミッドストン伯爵の自軍命令権があやふやと判断されたため、伯爵を惨殺。
ミッドストン旅団を潰走させ、それに乗じる形に急遽変更された。
当初の予定では、第六師団の援護として、フロンクハイトの魔道大隊一個(アハティサーリ大隊)が参加することになっていたが、雨が強く、魔道大隊の活躍が困難だったため、参加を中止して後方に撤退している。
第六師団長が自信満々で、フロンクハイトの援護は不要と断言したためでもある。
そのケイマン第六歩兵師団は、第11歩兵旅団第22歩兵連隊第一大隊を先頭に帝国軍に殺到。
帝国正規師団のベーグム師団を避けて、新兵部隊であるクロスハウゼン旅団を狙う。
敗走するミッドストン旅団に紛れての攻撃は、絶対に成功するはず、とケイマン第六歩兵師団長は確信していた。
しかし、先頭で突進する第一歩兵大隊長が、キョウスケ中隊によりあっさりと戦死。
ケイマン第22歩兵連隊長はこの事態に自ら陣頭指揮を執るが、彼も、キョウスケ中隊により除去されてしまう。
これにより攻撃は頓挫した。
ケイマン第22歩兵連隊の突撃は、ミッドストン旅団の潰走に交じっていたこともあり、連隊長戦死に対応できず、混乱状態に陥る。
第六歩兵師団司令部はこの状況を直ちには把握できなかった。
第六歩兵師団司令部は、混乱する第22歩兵連隊に代わって、第21歩兵連隊に突撃を命じる。
だが、第21歩兵連隊の第一歩兵大隊長もキョウスケ中隊により戦死。
第21歩兵連隊長も魔道砲の狙撃により負傷する。
両連隊を統括する第11歩兵旅団長が旅団全体をまとめて攻撃を継続するが、当初の帝国軍戦線を早期に突破する目論見は潰える。
第六歩兵師団は第12歩兵旅団の二個連隊を東側に延翼させるが、この時点ではまだ、戦闘に至っていない。
ケイマン第五歩兵師団はベーグム師団と戦っている。
帝国正規師団が相手なので、ケイマン第五歩兵師団は無理をせず、ベーグム師団を拘束するに留めている。
なお、第五歩兵師団の一個連隊、第18歩兵連隊はヘロン市北門からの突出を警戒している。
北方ではケイマン第二軍団の二個師団が前進を開始する。
この時点では、第六歩兵師団が突破・分断した帝国軍に止めを刺すのが任務であった。