本編では希と浩然の会話だけでサラッと書いていた「中国人の日本留学事情について」ですが、この二人はお互い前提としてそこそこ知っているので、あんまり深いところまで会話に出てきませんでした汗。なので、ここで補足します。
●中国の教育事情について
【中国の試験「高考(ガオカオ)」】
毎年六月に行われる大学入試試験。日本のセンター試験のような試験です。浪人もすることはできますが、あまりに試験勉強がハードなので、基本的に浪人はしません。よってこの試験が人生で一度きりとなります。
その上、戸籍による制限というのもあります。戸籍によって入学受入学生数が制限されているため、各省によって合格ラインの格差が生まれます(←これが壮絶)。同じ点数でも、北京生まれだから合格できて、福建省生まれだから不合格っていうのも全然ありえる世界です。
【超学歴社会】
元々科挙文化が残る国なので、まず「勉強できて、知識があった上で事を成せる」という考えゆえに、超学歴社会です。子どもの勉強は親の面子にもかかわるので、超勉強させます。
こういった事情から、留学して学歴に箔をつける、というのはけっこう当たり前のことです。
●日本留学生事情
【昔から変わらない、「日本」を選ぶ訳】
もちろん日本文化が好きという理由で来ている人もいます。アニメやドラマ、映画で日本が好きで留学してきた人たちです。
また、どうにもこうにも英語ができない、という人もいます。漢字だしなんとかなるだろうという考え(安直)。
あとは近さと費用、安全面。地理的に近く、また欧米に比べれば日本留学の方が安い(中国の平均年収から考えれば日本留学は安くないとは思いますが汗)ので、その点でも日本を選ぶ人は多いです。治安も比較的に良いですからね。
【ひと昔前の日本留学事情】
昔まではそこまでレベルが高くなくても、競争率が今より高くなかったので、学歴ロンダリング(言い方悪くてごめんなさい)しやすかったんですよね。あんまり有名じゃない大学を出て、日本の大学院でリベンジとか、高考(ガオカオ)の成績が良くなかったから日本に来たとかそういう理由の人も多かったです。
【今の留学事情】
中国の一流大学出の学生が大学院入試に参入したり、日本への留学を高校生の時から視野に入れてしっかり勉強するようになってきました。つまり中国人受験生のレベルが全体的に向上しているのです。☆『クラス』の話はココ
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いやあ、おそろしい…。もし身の回りに中国人の方がいらっしゃったら「高考(ガオカオ)ってどう?」って聞くと盛り上がるかもしれませんよ。若い時の苦労ってやっぱり面白いですからね。
また『スノージャスミン』で説明不足な部分があればご連絡ください~、できるかぎり解説します(`・ω・´)
参考資料&スペシャルサンクス:
『日本の「中国人」社会 』中島恵著 日本経済新聞出版 2018年12月
『中国人エリートは日本をめざすーーなぜ東大は中国人だらけなのか?』中島恵著
中公新書ラクレ 2016年10月
Educedia(エデュケディア)2018-03-17
『中国の大学事情・入試制度 | 高考(ガオカオ)とは』
https://www.educedia.org/entry/2018/03/17/113014スペシャルサンクス D・Xさん…中国人留学生で大学院生。取材協力ありがとうございました!