――舌の根――
それは舌の根っこ。根元の部分である。
『舌の根も乾かぬうちに』という表現があるが、舌から水分が失われることも稀なのに、その根っこが乾くことなどあり得ない。即ち舌の根はいつもびしょびしょなのである。
「……で、何なの? この説明は?」
「いや、つまり、俺は2日前に毎週2話投稿を近況ノートで宣言したけど、それを今回のノートで撤回したところで『舌の根も乾かぬうちに』撤回したことにはならないんだ。だって、舌の根は絶対に乾かないんだから!」
「ほ~う」
「べ、別にサボッて投稿が間に合わなかったわけじゃない。昨日と今日合わせると、かなりの時間を修正に費やしたし、そこに確かな努力は見られたんだ!」
「ア~ハン?」
「でも、いかんせん今書いてるところがギャグ主体じゃないからさ、うまく文章をまとめるのに相当な時間とエネルギーが要求されるわけ!」
「パ~ドゥン?」
「もちろん、見通しが甘かったのは素直に認めるよ。でも、時間には限りがあるし、物理的に不可能になることだって――」
「黙らっしゃい! どれだけ言い訳を並べ立てたら気が済むの? 今ちょうど『言霊』のくだりを書いているのに、あなたのやってることは全くの真逆。そんな説得力のないことをしていて、自分で恥ずかしくないの?」
「いやいや、アレはあくまでフィクションだから。それに難しいからこそ達成すれば力が得られるという設定だし、俺がそれを実践することに――」
「違うでしょう?」
「うっ……」
「あなた自身、言葉はもっと重いものだと訴えるためにアレを書いたんでしょう? 世間には軽い言葉が溢れている。その責任を取る気もない口先だけの言葉に、いったいどれほどの価値があるのか。そこに疑問や憂いを感じるからこそ、あの表現が生まれたんでしょう? だとしたら、少なくともあなたは嘘を口にしてはいけないわ」
「……面目ない」
「どんな理由があろうとも、結果として前回ここに書いたあなたの宣言は嘘になってしまった。それを知る人が少ないからといって、その事実は変わらない。そして、あなたはそれを忘れてはならないわ。2度と同じ過ちを繰り返さないためにも」
「……分かったよ。保険をかけて『目処』と書いたから、正確には嘘をついたことにはならないけど――」
「ちょっと!」
「えっ?」
「あなた、本当に反省してるの?」
「もちろん反省してるさ! 新規投稿できなかったことが悔しくて涙が出そうだよ!」
「……本当かしら?」
「ということで、改めて宣言します! 毎週1話投稿を『目処』に頑張ってゆきますので、今後ともど~ぞよろしくお願いしまっす!」
「1話減ってる! 目処の強調! 言葉の軽さ! まっっったく、反省がないっ!」
(実際2話投稿で行くつもりだったのは事実です。達成できなくて、申し訳ございません。今回の2話分はGW明けまでに調整し、今後は毎週1話以上投稿できるよう努力いたします)