• 異世界ファンタジー

私が回りくどい物語を書く理由

「俺の小説は、なぜこんなにも回りくどいのだろうか?」
「それは、あなたがおバカだからでしょう?」
「うっ……そう言われると身も蓋もない」
「違うでしょう? あなたには身が無いの。中身が無いのよ。だから、初めから蓋なんて必要ない。だって、中はからっぽなんだから」
「中身あるわ~いっ!」
「誇張して言ったことに、本気で反論しないで」
「誇張!? だったら、無いと言ってるのとそれほど――」
「少し黙って。私の話はまだ終わってない。確かにあなたがからっぽだとは言わないわ。だけど、足りないものがたくさんある。もちろん誰しもすべての知識を知り得るわけじゃないけれど、あなたにはあなたが伝えようとしているものに対する知識と理解が足りていない。だから回りくどい内容になってしまうの」
「…………」
「たとえば5という数を示したい時、4までの数しか知らなければ、1+4、2+3という複合的な表現を用いることになる。2までしか知らなければ3つを組み合わて、1しか知らなければ5つを組み合わせて、それを示さなくてはならない。それでも意味は通じるけれど、必然それは端的な表現ではなくなるし、人に回りくどい印象を与えてしまう。そうやって綴られているのがあなたの小説よ」
「な、なるほど……」
「あなたがあまりレビューを書きたくない理由もそこにある。あなたは他人の物語を語るほどの何かを持ってないんだから」
「うぐっ……」
「でも、それが悪だと決めつけてるわけじゃないわ。知識や語彙が豊かになれば、内容が難解になるのは否定できない。それが必要な物語は当然あるし、リアリティの追究に知識は欠かせないけれど、だからといってすべての需要がそこに偏っているわけじゃない。それが面白さを生む決定的な要因になるとは限らないのよ」
「そうなんだ! そのために俺は――」
「別にあなたの知識のなさを認めてるわけじゃない。ある人は提示する内容に応じて幾らでもそれを調整できるけど、持ってないあなたはやり方を選べないんだから」
「うぐぐっ……」
「勉強不足は否めないけれど、それでもあなたはあなたなりに工夫を凝らしている。少しでも読みやすく、面白くなるように何度も何度も文章を書き直している。ひたむきと言えるほど頑張り屋さんではないけれど、それでもそこに努力の跡はあるし、だとしたらそれを理解してくれる人だって出てくる。現状、読者がついてくれてる形跡が見られるのは、そういうことだと思うから」
「……上げてるのか、下げてるのかどっち?」
「そして、世界には多様な需要が存在する。もはや、新たな読者を勝ち取る努力を放棄したあなたには、僅かに縁を持つ人しか繋がって来ないけれど、それでもその中には、あなたの物語に価値を見出してくれる人が少なからずいる。……いいえ、少ないけどいる」
「言い直さないで!」
「そこに報いる気持ちがあるのなら、あなたのようなおバカでも小説を書き続けていいと私は思っている」
「あ、やっぱ下げてるよね。おもいっきし」
「開き直りとか、厚顔無恥とかではなく、今出せる等身大の結果があなたの紡いでいる物語。そこに拙さがあったとしても、そこに未熟さがあったとしても、そこに冗長と思える展開が多分に含まれていたとしても、そこに寒さが介在していたとしても――」
「って、言い過ぎ、言い過ぎ、言い過ぎ~~~!」
「それでも想いは人に伝わる。その気持ちを持ち続けている限り、それはあなたが物語を書き続ける理由になるし、実際にそうなる。この世界の現実は想いが引き寄せ実るものだから」
「……つまり、回りくどいところは気にせず、俺のペースでゆっくり書き続ければいいということね?」
「それはダメよ。発想の枯渇が突然訪れない保障はない。今の状態がいつまでも続くとは限らないのよ? 相対的な早さを追求する必要はないけれど、あなたはあなたにできる最も早い速度で、小説を書く努力を続けなくてはならない。あなたに優しい言葉をかけてくれた人もいるけれど、あなたは自分を甘やかす天才なんだから、それを鵜呑みにしてはいけないわ。それが証拠に、始めた時に比べてどんどん縛りが緩くなっていってるんだから」
「そ、それは本当に物語が進むにつれ、下書きの修正箇所が増えてるからなんだ!……ただ、何らかの縛りを設けないと俺自身が踏ん張れないのも分かってる。というわけで、新たなルールの報告です!」

=毎月1回の更新目安を、3万文字に設定します=

「公開済みの総文字数を、地図や閑話を除いたまともなエピソード数50で割った、1話あたりの平均文字数が約9,600文字。週イチ投稿なら月によっては4万文字以上をこなさなければならなかったところを、月イチに変更して1万文字減らしたというわけね」
「五章以降の下書きはほとんど読み返してないし、俺にとっては描き下ろしと変わらない。それでも月3万文字『前後』は死守すると『○○』に誓って宣言するよ!」
「ちょっと待って。いきなり『前後』を付けて縛りが甘くなっているわね。それに『○○』っていったい何? あなた、いったい何に誓いを立ててるの?」
「え~、年内は下記の予定で更新するつもりです。来年からはそれほど自信のない五章を開始しますので、お楽しみに。それでは皆様良い年をお迎えください。さよ~なら~」
「ちょっと待ちなさい! ○○って何よ!? 何なのよ~~っ!!!」

~今後の予定~

11月 投稿数 2話 (合わせて3万文字前後)
12月 投稿数 3話 (合わせて3万5千文字くらい・四章終了)
来年初旬 五章開始  (15万字くらい?・バトル展開多め?
                  ・一部内容に不安要素あり)
時期未定 六章開始  (過去編・10万字くらい?・シリアス
             展開多め?・一部内容に不安要素あり)
時期未定 七章開始  (終章?・結構長い?・ところどころ
             自信あり?・一部内容に不安要素あり)

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する