「思ったんだけど、ここにさらしてる俺のスタイルって、少し気持ち悪いと思われてるかな?」
「……今ごろ気づいたの? 男女2人の会話形式で、自虐に交え時には自らを慰める内容の、いったいどこに気持ちいい要素があるの? 少しどころかそうとう気持ち悪いわよ」
「いや。気持ち良さは求めてないけど。ただ、1人でノリツッコミしてたら、もっと変な人だと思われるかと……」
「はあ~。いったい何を心配しているの? どう転ぼうが、あなたがまともに見えるわけないでしょう? 書いてる小説がその最たるものよ」
「うっ……」
「どんな理由があろうとも、人は型通りを好む傾向にある。そこになんの保障もないと理解しながら、それを選べば高い確率で安心に辿り着けるのを経験で知っているから」
「だったら、今からでも――」
「いいえ。あなたは今のスタイルを変えるべきではないわ。それこそが、誰しもが安心するあなたの理想の姿なんだから」
「……?」
「これが普通の小説を投稿してる人の近況ノートなら、あなたのスタイルは異常に感じる。異端に感じる。気持ち悪く感じる」
「…………」
「だけど、あなたの小説は違うでしょう? あなたはテンプレ小説を書いてるわけじゃない。みんなが求める小説を書いてるわけじゃない。間口がものっっっすごく狭い、暴走小説を書いてるの。やっちゃってるのよ……あなたは既にやっちゃってるの!」
「うぐっ……」
「そんなあなたが普通を装えば、逆に違和感を与えてしまう。この人、本当は何を考えてるんだろう? と警戒されてしまう。でも、今のスタイルなら、なんの問題もない。あなたはなんの問題もない、気持ち悪さを示しているのよ」
「結局、気持ち悪いことに変わりないんだね……」
「当然よ! こんなスタイル、誰がやったって気持ち悪いと思われる。その事実は動かない」
「うっ……」
「でも、突き抜ければそれは道になる。あなたは時々ふと我に返って小さくまとまろうとするけれど、先駆者は常に逆風の中を歩むもの。その中を突っ切らなければ、あなたの気持ち悪さは認められない。変態性はブレイクしない!」
「……そんな風に認知されるのが、正解なんだろうか?」
「この世にはゲテもの食いが存在する。そして、その人がウマいと思ってくれれば、それはメジャーな食べ物に昇格する。だって、あんなナマコのように気持ち悪い食べ物でも、誰かが食べてくれたおかげで市民権を得てるんだから」
「……俺はそのジャンルなんだね」
「だから迷いは捨てなさい。恥じを捨てなさい。何もかも脱ぎ捨て、すべてをさらすのよ!」
「思考領域だからいいけど、現実だったら犯罪だけどね……」