「町についた時に匂わせて、酒場で正式に張ったあの伏線。さすがにあれを許容できる人は少ないわよ。物語を冒涜しているわ」
「……分かってる。でも、この伏線と回収は物語の節目であり、幾つかあるテーマの1つでもある。紹介文にも書いた(※今はありません)通り変更することはできない……」
「あなたの拘りのために、離れていくだけでなく不快に思う人がいたとしても?」
「ここは……ここだけは譲れない。譲りたくない。何とかそこにある俺の秘めた思いを汲み取って、みんなにはついてきて欲しい。理解を示して欲しい……」
「本気なのね?」
「本気だ」
「本気でバカなのね?」
「うぐっ……」
「秘めた思いを理解して欲しいなんて単なるあなたの傲慢よ。伝えたい思いがあるなら、分かるように文章で表現しなさい。そのためにあなたは小説を書いてるんでしょう? どうして受け手に頼っているの? そこそこ年齢がいってるからって、介護を受けるにはまだ早過ぎるわ」
「……確かに。でも、情報は段階を追って示される。その答えを最初に持ってくることはできない。それに、この伏線を回収することで、ストーリーをめちゃくちゃにするつもりはないし、それ以後の物語のほうが圧倒的に長い。そこに十分な整合性やストーリー性は備えられてるんだ。序盤の無茶と割り切って、なんとか了承してもらいたい。キャプテン★レインボーを楽しむ感覚で、受け止めてくれればいいだけど」
「そのキャプテン★レインボーが、みんなの許容範囲外だと言ってるのよ。どうして、某ブログで値崩れ横綱級とまで称される、誰もがそっぽを向いたゲームをたとえにチョイスしてしまうの? 本当に他人に何かを伝えようという意思はあるの?」
「うぐっ……」
「この論争を続けることは、後のネタバレになるからもう何も言わない。でも、あなたはその後始末をきっちりつけられる。そう宣言してると受け止めていいのね?」
「…………」
「そう。それがあなたの答えというわけね」
「いや、感性のズレとかもあるからさ。もちろん、自分なりにけじめをつけた終わり方をするつもりではいるんだけど……」
「まあ、フォロワーのいない現状、こんな話をしたところで、実際あなたの小説がどの程度世間に受け入れられるかは分からない。気にする問題ではないのかもしれないけれど……」