「ちょっとペースが早過ぎるけど、大丈夫なの?」
「一旦は公開していた修正作業だからね。大急ぎで手直しして、早く新規投稿しないと――」
「違うわ。私が言ってるのは、近況ノートのことよ。まるでこっちを連載してるのかと疑うくらい次々に書いてる」
「ああ、それなら問題ないよ。近況ノートについても書き置きのストックがあるから――」
「そこが問題だと言っているの! 遅筆で何十回も書き直さなくてはならない、お粗末な力量しかないくせに、余計なところに時間を割り振るゆとりはないと言っているのよ」
「でも、だったら近況ノートを楽しみにしてる人に、どう顔向けしたら――」
「ど・こ・に!」
「うっ……」
「フォロワー数ゼロのあなたを、いったい誰が待つと言うの?」
「いや、でも、フォローしてなくても、ゲリラ的に読んでくれてる人が――」
「僅かについてるPVは、ログインせずにあなたが閲覧した名残り。3件ある他の閲覧も、プロローグを覗いただけで、すべてスルーされてしまった。しかも、そのうち1人は、あなたが自信を持って改稿した後の文章を読んでね。私が言ってる意味、理解できるわよね?」
「……分かったよ。書きたまった5つを放出したら、小説の投稿に専念――」
「5つ!? ちょっと待って。どうして、近況ノートがそんなにたまってるの?」
「え? あ、ああ、なんというか、ピピッとインスピレーションが来ちゃって、書いてたらそんな量になっちゃったんだよね~」
「それを小説に生かしなさい! まったく。よくもまあ、誰にも読まれない近況ノートをそれほど書いたわね。もしかして、意外にハートは強いのかしら?」
「そうでもないよ。プロローグを読んだ3人目の人が、続きを読まなかったと分かった時は、結構落ち込んだから……」
「それは昨日の話でしょう? そして、今日これをアップしてる。驚くべき復帰の早さと言えるわね」
「後ろを振り返ってる暇なんてないよ。だって未来は俺の前にある。そして、その道は前に進むだけの一方通行なんだから……」
「…………」
(記憶力の問題だとは言及しないほうが良さそうね。それに、そのタフさがなければおそらくここではやっていけない。かなりの数に埋もれた中、書いてる小説はなお間口が狭い。いつ日の目を見られるかも、或いは埋もれたまま朽ちてしまうかもしれないんだから……)