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感想:劇場版「映画大好きポンポさん」

僕は今年既に43作の映画と、「シン・エヴァンゲリオン」を4回視聴している。小説執筆を自身の生きる糧としている僕だが、このように小説以外のコンテンツも好んで享受している。

そんな僕の中で、いささか複雑な心境とは言え、今年一番と銘打っても過言でない映画、それが現在公開中の「映画大好きポンポさん」だ。


※基本的にネタバレはしないつもりだが、シナリオ展開などについて感じたことを語っているので、白紙の状態で観たい方には、これ以上読むのをオススメしない。
ちなみに僕は原作漫画を読まずに視聴したが、何の問題もないストーリーだったよ。では後ほど。

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HPには、
【映画を愛する青年と映画に愛された女性が映画制作を通して"自分"を見つけ出す、映画愛に満ちあふれた作品】

【映画制作の面白さと楽しさ、そして映画監督の尽きない探究心。映画ファンやクリエイターだけではなく、夢と未来を掴もうとするすべての人に贈る、青春“ものづくり”フィルム】と紹介されている。


僕がなぜ、今年一番と感じたか、それは感動の発生理由にある。

感動という言葉を想起する時、どういった状態を思い描くだろうか。
涙する奇跡の展開?それとも残酷だが美しい結末?


僕が思うに、本作の感動は、視聴者が抱く『罪悪感』に起因する。

「自分ではここまで出来ない、いや、そもそも何も出来てはいない」

こういった現在の未熟さを提示するのではなく、あくまでも視聴者が言うなれば勝手に自覚する。
それを際立たせるのは、主人公「ジーン」や、新人女優「ナタリー」の努力を努力として描いていないからだ。


彼は言う、「映画を撮るか、死ぬかどっちかしかないんだ」と。

彼は映画が何よりも好きである以上に、映画以外に何も無いのだ。

ここで、少し視点を変えて、本作の構成について語りたい。
本作は約90分の上映となっており、当然の事ながら無駄なシーンは一切なく、そしてまた、シナリオ自体は簡潔なものとなっている。

個人的にはこういった表現は好きではないが、「陰キャである主人公ジーン」に対して、「陽キャ・アラン」という同じ学校に通っていたキャラを登場させ、ある種の勧善懲悪的な見どころもあったりする。

ここで先ほどの話に戻るのだが、ここでアニメ映画を見に行くような「陰キャ」は喜んではならない(僕も含め)。

繰り返すが、本作は罪悪感を巧みに駆使しているがために、僕には小説執筆があったものの、仮に、特に好きなモノも無い陰キャがたまの休日に足を運ぼうものなら、きっと自身の立場が情けなく感じ、
ともすれば「主人公を平凡みたいに描いているけど、実際は天才だろ」と毒づきかねない。

それほどまでに本作は観る者に、罪悪感と、そして使命感や表現・創作欲というものを大いに刺激するのである。


そして、その罪悪感を一挙にくすぐるのは、編集作業を通して描かれる<取捨選択>に他ならない。
それは創作の場のみならず、人生においても我々に問う。

それに答えられた者は使命感を、答えられなかった者には現実の虚無と反省をもたらすだろう。

既に紹介したように、主人公「ジーン」は、人生をかけて、いや、人生と引き換えに、映画へ挑んでいる。
まさに映画と心中する気でノートに気づいた事を漏らさず記録し、全ての映画をコマごとに記憶しているのだ。

それが現実に可能かどうかは問題ではない。
それどころか、ノートを書き続け、それすらも一言一句記憶することを、僕はしているだろうか、いや、していない。

こう気づいた時、僕は布教という形式ではなく、宣言的な感想として形作らなければならないと考えたのだ。

映画好き、アニメ好き、クリエイター志望。
何かが好きという事は、その分、何かに興味が無いということ。

それは時として悪く影響することもある。だが、それ以上に、好きなモノをより高めよう極めようとした時、確かに新たな人生という作品と昇華される事を、僕は信じて疑わない。

「自分にはこれしかない」
好きを超越した強烈な自我と、それによって為せる業。
本作はそういった一見、理想的だが現実に根ざした、努力よりも努力的な生き方をそれぞれのキャラクターや「映画」を通して、視聴者に発見させる。


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ここからは少しだけ余談を。

熱血的に語っていた例の使命感、実は劇場版「冴えない彼女の育てかたfine」でも感じていたりする。
共通点は主人公への共感と憧れ。言わば先輩への羨望と信頼だろうか。
ともかく2年前?に見た冴えカノfineの影響で、表現に目覚めた僕は、ビブリオバトル(書評合戦)で原作ラノベを持ち出し、あえなく敗退する事に………
カクヨムで小説執筆を始めるの数か月前の出来事である。

それと、ポンポさんや新人女優・ナタリーちゃんや、人気女優・ミスティアさんとか、めちゃくちゃ可愛いキャラが活躍しまくるのに、
やっぱりプロの先輩感というか、いわゆる萌え要素が想像よりも少なかった。
パンフレットにも書かれている事だが、幼女感満載のポンポさんも、敏腕天才プロデューサーとしての精神性は40代くらいであるなど、やはりみんな、大人よりも大人っぽい。
それがまた罪悪感を加速させたり_| ̄|○

つまるところ、やはり本質を残酷なまでに捉えてる作品だなぁとつくづく感じる訳です。本当に観て良かった。漫画買お。

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