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トレモロ 1巻 1章 1話

宇宙(そら)に浮かぶ球体の宇宙船。
その部屋の中は薄暗く、モニターの画面が淡く光っている。
画面ではアバター同士の会話が続いている。

Rin {今度、そっちに行くからキングペット見せてよ
King {いいけど、会うのは2人だけで会おうよ
Rin {話が違うじゃん、しゅん
King {しゅんとかゆーなし!とりあえず考えとくからログ見せてよ
Rin {え?もういいです

ログアウト
Rin さんは退室しました。

「はあーまたかよ。ここなら会えるって、どこがだよ、 、 、」

ため息混じりに立ち上がり、窓の前で伸びをした。
だるい体に伸びた黒髪が鬱蒼とした雰囲気に映る。

淡く光るペットロボが2回宙返りして擦り寄ってきて、いつも優しい気持ちにさせてくれた。

「チョコー」なでなでなで。

まったりした空気に突如、警報が鳴った。
ー緊急障害物回避。緊急障害物回避しました。ー
ドオォーン。
船体が揺れ、何かが擦れるような音がする。
窓の外を見回してみると、全身赤いスペーススーツを着た人が窓の中央まで這ってきた。

「すみませーん。開けて下さい。」
女の声だった。

チョコは飛び上がり、男は驚き船体に命令した。
「マザー!ブラインド!」窓ガラスが一瞬で曇り、外の景色を遮断した。

声を高くした赤いスーツの女はもう一度頼んだ。
「ちょっとー!事故に遭ったので助けを呼ぶ間だけ、中に入れてもらえませんか?」

中からは何の反応もない。
10秒ほど沈黙。

「助けが来るまで張り付いてますからね!目が合いましたよね?救助拒否は最悪罰金取られますよー?!」
女も必死の様子である。
「緊急ハッチ開けさせてもらいますよー?!」
ガチャ、ガチャ、ガゴン。
「あれ?開かなーい!」
ガチャガチャ。

ブラインドが消え、ペットロボを抱えたまま男が再び姿を現した。
「あなたいきなり来て、乱暴な人ですね。 ガチャガチャやめてもらえますか?救助が来るまで待ってればいいでしょ?トカゲ女さん!」

「あれ?もしかして男の子?ごめんね、びっくりさせて。このスーツじゃあと30分くらいしか持たないの。お礼するから入れてもらえない?」
腕のワッペンを指差したり、合掌してお願いのジェスチャーを必死に見せている。
「お礼って何ですか?」
「中に入れてくれたら話し合いましょ?ね?」
「マザー、緊急ハッチオープン。」
渋々ながらも、初めての来訪者に心臓が高鳴った。

⭐️

しばらくして扉が開き、トカゲ女は一礼して部屋に入ってきた。
「開けてくれてありがとうね。助かりました。私はハニ。お礼を話し合う前に救護呼ばせて欲しいから、借りるね。」

モニターの会話を見てハニは一度振り返った。
座って別ブラウザを立ち上げながらヘルメットを外すと、金色のウェーブヘアーがなびいた。
作業しているハニを眺めていると手が緩み、チョコが尻尾を振りながらハニに駆け寄った。ちょうど作業を終えたハニが目を細めてチョコを抱えた。
「この子なにー?初めて見た!マロ眉カワイイーー!」

「チョコだよ。」男の子は言いながら、チョコとハニが戯れているのを見て照れ笑いしていると「お礼はギルドポイントはどう?すぐ支払えるし。それか何かリクエストある?」ハニは部屋の中を見渡しながら提案してきた。

「ギルドはよくわかんないけど、 、ストレージの容量を増やしたいから2ペタ欲しい。」

「これレトロな作りだからできるかなー?ギャラクシーステーションに向かってるから、そこにある外付けのでもいい?」

「うん、いいよ。」

「決まりね。良かったー。助けてくれたお礼に良い香りがするリキッドも買ってあげる。この部屋、子供のにおいがする。女の子に人気の香りでいいのがあるんだ、キングさん。」ハニは鼻をすんすんと鳴らした。

ピロン
モニターにテロップが流れる。
ーあと5分で救助が到着します。許可しますか?ー
2人は目で追った。
「マザー、許可する。」

「このマザー、うちのマザーと随分違うタイプね。」

「そーなの?ちょっといじってるけど、 、 。」

キョロキョロと部屋を見回して歩くハニの後ろに、チョコがついて回っている。

落ち着かない空気にそわそわし始めると、一台のバイクがまっすぐこっちに向かって来るのが見えた。ハニとチョコがぴょんぴょんと窓に駆け寄った。

扉が開くと、ハニより背の低い青いスペーススーツの男が入ってきた。
「回収に来ましたー。予定変更あったんでー遅くなり、、んん?!あー!キングペットォー!!あなたのですか?!」

ローテンションから一転、チョコを見るなり男は興奮気味にハニに詰め寄った。

「違う、違う。彼のよ。」
ハニが手のひらを向けて指した。

「えっ?!君が?」
ヘルメットを素早く外し目を見開いた。センターパートの黒髪から驚いた表情のまま一礼した。
「まさかキングに会えるとは、光栄です。」
「ども。」お辞儀を返した。

青いスーツの男は、状況が理解できず不思議そうな顔をしたハニに尋ねた。
「回収のバイクが見当たらないんですけど。」

「あー、それがね、バイクが大破しちゃって、偶然通りかかったキングさんに助けてもらったの。安心して、はい、 これ。」手のひらサイズの機械の何かを男に手渡した。

男は受け取り、不服そうに声を張った。
「バイクはどーするんですか?!これじゃ報酬が下がるんですけど。」

「まー落ち着いて、説明させて。今、私の仲間がバイクを持って向かってるから。それに事故に遭って助けてもらった訳だから、キングさんのサインが貰えたら保険がおりて満額じゃないけど報酬が付くわよ。だからギャラクシーステーションまで同行して。」

一瞬黙り込んで、チョコを横目で見ながら声だけは少し嬉しそうに答えた。
「仕方ないですね。同行します。」

男はハニと同じワッペンをタッチして、ディスプレイを表示させた。
「キングさん、サインをここにお願いします。」

『クラウン・アグニ』

サインを済ませると、ハニもサインした。
「なるほど、クラウンさんだからキングさん。」

「いや、名前はクラウンだけど、キングはみんなが勝手に呼んでるだけ。あと、さんいらないです。2人とも僕より年上ですよね?」

まあね。と小さくうなずいた。
「このステッカー貼ったペットロボがいるって事はゲームのチャンピオンの証なの。1億ユ ーザーの頂点、知らないの?パイオニアイングザユニバース。」青いスーツの男はしたり顔でハニを見る。
ハニは?を顔でアピールして首を少し振った。

3人はぎこちない会話をしながら自己紹介がきちんとできる者は誰ひとりいなかった。何とか探りながらお互いの名前と年齢がわかった。

クラウンは13歳。
ハニは17歳。
ブラストは14歳。

ピロン
モニターにテロップが流れる。
ーあと5分で救助が到着します。許可しますか?ー

「は?また誰か来るの?」
クラウンがハニを睨む。

「サインしたでしょ。バイク届けに来て、ステーションで解散よ。安心して。」ハニはモニターに目線を送り、目で催促した。

「マザー、許可する。」クラウンはふてくされた声で言う。

「今日はついてないねー。バイクは大破したし、オレの報酬は下がるし、この船補給マーク出てるから、どのみちステーションまで一緒だな。」チョコを見ながらブラストは座り込んだ。

1人用の宇宙船に3人目、頭がうなだれた所にグリーンのスペーススーツを来た男が扉から元気よく入って来た。

「おじゃましま~す。・・・あれ?なんか険悪なムード?ハニ怪我はない?」ヘルメットをとると、褐色の肌に青い目の、背の高い青年がハニに声をかけた。

「大丈夫。来てくれてありがとね。」ハニは手のひらをひらひらさせにっこり笑った。

グリーンスーツの男もワッペンを見せて来たが、クラウンには意味がわからず、小さくうなずく事しかできなかった。

「OK。じゃあサインもらって、、」と言いながらグリーンスーツの男がご機嫌にディスプレイを出そうとした時、 警報が鳴った。

ー侵入者 侵入者ー

「え?!ワッペン見せたけどっ?」慌てた男にハニが叫んだ。
「ヴァル!後ろ!きゃあっ!肩!!」
15cmほどのバッタがピョン!4人の真ん中に落ちた。
船内が非常灯で赤く照らされ、警報音にみなパニックに陥った。

ブラストは身構えたが、一瞬ためらうと、バッタが羽ばたきしてブラストの頭にピョン! 乗った途端、うわーっと叫んだブラストが気を失って倒れた。

クラウンは恐怖で声も出せず後退りすると、バッタがこっちに向かって飛んできた。

ハニが前に入って手で払うとバチッと音がした。バッタは鈍く飛び回り、ハニの髪に止まると、ハニは気を失いながらもクラウンの盾になるように倒れた。

「わあー!」
クラウンが恐怖で声を上げると、ヴァルがバッグからスプレーを取り出し、自分のヘルメットをクラウンにかぶせて押し込んだ。スプレーをかけ続けてもバッタはさらに羽ばたきを強め、腹の底に響くほど羽音を立て始めた。クラウンは力が抜け、頭が支えられないほ どふらふらして座り込んだ。スプレーを噴射しながら、ヴァルがクラウンを守るように後退りして、そのまま気を失った。クラウンは部屋の壁がどこの壁かわからなくなって頭が床にゴン!横に倒れた時、光が飛んできた。発光したチョコがアガー!と牙を剥き、バッタにかぶりついた。ムシャムシャ 咀嚼音を聞きながらクラウンは視界が真っ白になっていき 「そんなの食べちゃダメだ、、」と思いながら意識が飛んだ。

⭐️

「お腹こわしてなーいー?」ハニの明るい声がする。
「チョコーありがとなー。よしよーし。」ブラストもいる。
ヴァルが大人の男と話してる声も聞こえてきて、夢を見ていたのか一瞬わからなくなったが、体に力が入り、うーんと唸りながら目を開けた。

「クラウン!」3人が一斉にベッドに駆け寄って来た。

起き上がると、窓の外にはギャラクシーステーションの文字。初めて高層階から見る景色に、クラウンには違うステーションに映った。チョコがベットに上がって来て、嬉しそう に頭を押し付けてきた。
みな無事だった。

安堵したのは束の間、白衣の男がベッドの脇の椅子に座って、説明を始めた。

最初は3人ともそばにいたが、話が長くなりそうな気配を察し、3人はじゃあね。と合図して部屋を退室しかけたので、 クラウンは焦って呼び止めた。
「これでお別れ?」寂しそうな声が漏れた。

ヴァルが首を横に振り笑顔で答えた。
「違うよ。それぞれやる事あるから済ませてくるけど、僕らの船も一緒に補給とメンテでドッキングさせてもらったよ。いやホント悪かったね。ドクターの言うことちゃんと聞けよ~。」

ブラストが後でな。と手を挙げ、ハニはウインクして部屋から出ていった。

それから、こんこんと説教じみたドクターの話は続いた。
チョコが気持ちよさそうに、すやすやと布団で眠りこけている。
500ccのペットロボ用の洗浄液を渡されて、解放された。

「ギャラクシーステーションにこんなトコがあったのか。」
ステーションの奥の商業施設は賑わっていた。
久しぶりにステーションに降りたせいか、色んな種族、見たことのない建物。「随分増えてるな。今日はお祭りか?」と、足を何度も止めたり、見回したり、何度も振り返ったりしているうちに疲れてきて、どこにも寄らずに自分の船に帰りたくなった。ウィンドーに映った自分の姿を見るのも嫌だった。

クラウンは、ギャラクシーステーションとマーズ間を回遊するルートを自動巡航に設定していた。
周期的にギャクシーステーションに補給に来ても、降りずに同じものを食べ、同じ服。その服もリラックスウェアのスリープタイプ。ホスピタルの入院患者とほぼ同じ服装だった。

10歳の時に会ったドクターが嫌すぎて、今日は久しぶりにドクターに会ったけど、不思議と嫌じゃなかった。カスタムする前のマザーを思い出して、懐かしい気持ちになった。

「チョコ、補給ドックに案内して。」チョコがキラキラ淡いプリズムを出しながら先導した。

船の前に着いて、自分の目を疑った。
いかつい車にバイクも数台。3船分なのか、わからないくらいドッキングしていた。

恐る恐る中に入ると、体が宙に浮いた。
「マザー、浮遊モードオフ!」
「いでっ」ヴァルの間の抜けた声がした。

「いたんですか?」

「やあ、2人は買い出しに行ってるよ。今夜はクエスト終了を祝してパーティしよう!」ヴァルは軽く踊ってみせた。
スラリとした手足は、軽く踊っただけでも絵になるような、音楽に馴染んでる動きだった。

あっけに取られていると、ヴァルが申し訳なさそうにディスプレイを差し出しサインを求めた。

サインを済ますとヴァルが真剣な顔で言った。
「何から話そうかな。まずはマヒトビバッタを連れ込んで申し訳なかった。蝗害駆除の途中でハニから緊急救助の申し出があって飛んできたら、こんな事になっちゃって怖かったよな。 、、でもまさか君のペットロボが食べちゃって~、そいつがトノサママヒトビバッタだったとは。スプレーが効かない訳だ!ボーナス報酬もついたし、ギルドレベルも上がってお陰で結果オーライだよ。今夜は楽しもうな。」

「あ、ちなみに君もギルドに申請すれば、今回の救助ボーナスと、バッタを倒したボーナス報酬ももらえるよ。いきなりレベル上がんじゃない?2000クレジットでギルドに入れるから、明日行って登録だけでもしなよ。ま、その後のクエストやるかは自由だけど。とにかく、サンキューな!」

ヴァルはブラックミュージックを流し始めパーティーの準備を楽しそうに続けている。クラウンはペットロボ用の洗浄液をタンクに詰め、大手柄のチョコをなでて誇らしい気分になった。

そうこうしていると2人が大荷物を抱えて帰って来た。
「ただいまー。」ハニの声にチョコが走り寄った。

ベジタリアプレートにソーダの飲み物、ブラストがチョコ用にオーガニックフードまで。4人と1匹は贅沢なパーティーを楽しんだ。

ヴァルは「今日はシビれたね~。」と、ハニに何度も言っていた。2人は同い年で聞いてる音楽も近く、後半はずっとソーダを飲んで踊っていた。ブラストはここぞとばかりにクラウンにゲームを申し込み、何度も負けたが楽しそうだっ た。ここで恐怖とマヒに倒れたのが半日前だったのが嘘のようで、生還した喜びにみな浮かれていた。

ハニが部屋に戻る前に、約束の2ペタと良い香りがするリキッドをくれてセットしてくれ た。部屋のモニターにテロップが流れた。
ー2ペタ、ストレージの容量が増えましたー
ー森林の香り、初めてのインテリアトロフィーを取得しましたー
ー3人とドッキングしました、初めてのトロフィーを取得しましたー
スーッとした香りが鼻の奥に気持ちよく届き、よく眠れた。

⭐️

ぱちっと目が覚めた。体からだるさが消えスッキリしている。昨日のパーティーがよほど良かったのか。窓の外を見るとブラストの部屋が見え、クラウンに気づき手招きしている。

自分以外の人の部屋に行くのは初めてだった。
ブラストとは年も近く、陰キャ同士、気が合う。それでも少し緊張した。「ブラスト。」扉の前で小さく声をかけて部屋に入った。

奥に座ってるブラストは膨大な機器に囲まれ作業しながら眠そうにたずねた。
「今日ギルド行くよね?」

「あ、うーん。ギルドってよく知らないけど、昨日ヴァルに報酬もらえるって聞いた。登録だけだっけ?行こうかな。」

「じゃ準備って。オレ、ハニから回収したやつ持ってくから一緒に行こうよ。」

「準備って?」クラウンは目をパチパチさせた。

「はー。その服で行く感じ?」ブラストはため息をついて自分のクローゼットから服を出して、クラウンに優しく投げたが、キャッチできなかった。

「無頓着すぎるよー。あとこれ。どっちが良い?」クラウンにはキャップとヘアアクセの2 択を迫り、ブラストは黒のニットにドクロ柄のミミがついたパンクっぽい帽子をかぶった。

「じゃこっちで。」ヘアゴムにシルバーのスカルヘッドがついたアクセサリーを選んだものの、結べずにもたもたしていると「かしてみ?」と、手早く髪を結んでくれた。着替え終わると、鏡越しに「似合うじゃんっ。」と、ブラストは得意げな表情をした。

⭐️

ギルドに着くなりブラストにワッペンと同じマークの入ったポッドに押し込まれた。インストールが始まり、実際には狭い空間にいながら、視界は無限に広がった。映像を見ながら質問に答えていった。様々な環境において合うギルドスーツが作られるのに2000クレジット支払った。インストールが終了すると、クエスト終了ポイントが精算され、足元から頭にかけて全身が金色にバシューっと音をたて3回連続光った。レベル3と表示され、アビリティが解除された。メインメニューにはクエスト、アビリティ、体力や経験値のバー、所持金などが表示されたが何がなんだかわからず、退室を選ぶと元の狭い空間に戻り、蓋が開いた。

ふー。息を大きく吐いて出ると、ギルド内にある3Dプリンタの前でブラストが覗き込んでいた。「スーツの色、白だよ。スッゲ!稼ぐとそのうちカスタムできるから。後でみんなでフレンズ登録もしよ。」

クラウンはうんうん、とうなずいた。ゲーム内でのフレンズはいるが、実際に会った事は一度もなかったから嬉しくなった。

「これは後で届くから、買い物行かね?」

「僕、昨日のごはんとチョコのフード買いたい。」

「おー、気に入ってくれて嬉しいねー。あと、拡張ショップにも寄ろうよ。」

2人はショッピングを楽しんで船に戻った。
メンテナンスと補給が終わっていた。
クラウンは部屋に荷物を置き、青いリボンのついた箱を持ってハニの部屋を開けた。

ハニとヴァルがパッと離れて、ヴァルが「おう。」と一言発してハニの部屋から出ていった。

変な感じが一瞬したけど、ハニが「どうしたの?」と、普通に話しかけた。

「これ、はい。」箱を手渡すとハニの顔がパーっと華やいだ。

「カワイイー!開けていい?」ガサゴソ。
「オーガニックケーキー!お菓子も入ってるー。ありがとー!」

クラウンは頬を赤らめた。「ブラストと選んだんだ。今日でお別れでしょ。」

ハニはうなずきながら「けど、ギルドやってたらまたどこかで会えるよ!きっとね。」

「そっか。」
ハニの部屋の奥に目をやりながら、女の子の部屋っていうより、軍の基地、武器庫みたいだな。と思ったけど口には出さなかった。

ヴァルが船内放送で「えー、ギルド諸君。新人の部屋に集合。」

クラウンの部屋に集まると、昨夜のパーティーと同じ席にみな自然と座った。

「ギルドにちゃんと登録できた?」ハニがブラストに聞いた。

「いきなりレベル3、そんでスーツは白。」ブラストは自慢げに言った。

ヴァルが目を細めて話しだした。
「ギルドの仲間になったな。おめでとう!クエストは自由に選べるけど、せっかくなったんだから、次のクエスト一緒に行かね?」

「ずるい!私も今、誘おうと思ってた。少し遠いところだけど。」

「お二人さん、悪いね。クラウンはオレと行くの。危ないクエストは慣れてからがセオリーでしょ。さっき服買いに行く約束したし。な?」

3人がクラウンを見ている。
思ってもみなかった展開にクラウンは固まった。

⭐️

続く。

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