• SF
  • 現代ドラマ

本日休館日

やってしまった。
図書館の予約資料(スレイヤーのCD)が届いていると言うので、『何の疑いも知らぬ純真無垢なポメラニアンのような私』は図書館へとトコトコ歩いていった。

「本日休館日」

入口は閉じられている。
本日、休館日。
その言葉がリフレインする。
やってしまった……いつぶりだ?
恐らく一年ぶりだろう。
仕方がないので昨日読み終えたゲンロン6を返却ポストに放り込んで帰ってきた。

ところで、私は二十年ほど大久保に住んでいる。
最近は随分と若い人達が多くなり、GWということもあって多種多様な人々が遊びに来る。
ある時、タクシーに乗って
「お客さんも観光ですか?」
と言われ、私は
「いえ、大久保に二十年住んでいるんです」
と答えた。すると運転手は
「あそこは本当人が多いよねぇ。何が良いんだか」
全くである。
大体、大久保の治安の悪さというのは大久保の住民が一番良く知っていて、最近も近所の駅前では警官が警備をしていたほどであり、そもそも治安が良ければ『たちんぼ通り』などと言われるような場所は発生しない(地元住民は良く知っているたちんぼ通り、近くにお墓があり、仏像があり、賽銭箱は盗めないよう厳重にチェーンがなされている)であろう。

……もっとも、最近は先述のように若い客が増えたためか治安も良くなっているのだが。

「前なんて、○○って店までお願いします~とか言われちゃってね」
「ああ、無理でしょうね。あのへん、狭いビルに三つとか四つとか店入ってるんで」
「そうですよね~!」
何故私はタクシー運転手に阿るような言葉を繰り出しているのか?
理解に苦しむ。

図書館の帰り道には、何か楽しげかは知らないが人気店に並ぶ人々の列がある。
長年同じ土地に住んでいるとしがらみが生まれるもので、あの店の店長はウチと仲が悪い、良い、あそこは景気が良い、悪い、適当な仕入れをする……等々の情報まで知っているのであまり良い顔をしない。
ところが、新大久保駅を境目にして人の雰囲気が変わる。
さっきまでそこらじゅうに居た、何かめかし込んだ女性達はどこへやら……何人なのか判別がつかない様々な人々が、少なくとも日本語ではない何かを喋っている。
この方角……新大久保駅から大久保駅の間にある地域こそ、大久保地元住民の利用する地域であり、過去にカクヨムでも投稿した通り、中国人向けの店は中国語しか書いていなかったりするし、大抵の店に同じ人種系列の人が座る席がある。
(得てして、同じ民族の身内の客が座る席は調理場近くの粗雑な席であることが多い。たまに手伝うのだろうし、会話もしやすいんだろう)
最近、コロナ禍のあおりを受けてチェーン店が閉店していく現象が大久保でも起こっているのだが、その跡地にベトナム料理だの四川料理だの、取り敢えず日本の飯屋ではない何らかの飲食店が雨後の筍の如く生えてくるのだから恐ろしい。駆除出来ないタイプの雑草のようなビジネスがこの地域では展開されている。

本日休館日也。しかし大久保通りに異状なし。

創作は最近ちょっと一休みしてインプットをしています。
夏には同人誌の新しい企画があるし、秋になったらまた新人賞向けに幾らか書かねがなりません。いつまで続くこの大いなる助走……

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する