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コンプライアンスの檻の中

私小説というジャンルがある。
ここでわざわざこんな文章を読んでいる皆様であれば今更強調して言うものでもないだろうと思えるぐらいにはメジャーなジャンルで、日本という国は実際のところ私小説の宝物庫みたいな部分が少なからずある。

仕事というものもある。
悲しい哉、私はまだ作家じゃないのでこの場合当面の食い扶持を稼ぐための悲しい(繰り返す)時間の切り売りである。
ところで仕事とは私小説のネタの宝庫であるが、ここに一つの問題が立ち塞がる。

「守秘義務があります」

アブラ・カダブラ・コンプライアンス。
マントラを唱えよ――即ち、コンプライアンス。
嗚呼コンプライアンス。
悲しい哉、コンプライアンス。
正直無茶苦茶話したい要素ばかりで大変面倒臭いし、家で小説を読んだり書いたりクラシック音楽や古いロックを聴いたり何か得体のしれない映画を観て暮らしていきたい気持ちが非常に強いのであるが、世の中はそう甘くない。プロットだけが積み上がる。
ソルジャーズ・レビューNo.7はプロットだけが完成しているし、他の書きたい小説もプロットだけが出来上がっていく。というか本を読ませろ。小説を!

というわけで、幾らかの時間を労働に費やさねばなりません。
小説との両立は愛と勇気で何とかします。
もっとも、愛は人を救いませんけれど……。

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